【2012米大統領選】町山智浩氏による共和党と民主党の歴史

米大統領選に合わせて米国在住映画評論家の町山智浩氏が共和党と民主党について連続ツイートでわかりやすく解説してくれました。
アメリカ 町山智浩 アメリカ史 アメリカ民主党 大統領選 民主党 共和党
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町山智浩 @TomoMachi
@masaki5120 共和党と民主党の対立は米国建国時に、中央政府が必要だとした連邦党と、中央政府なしで各州が国家として連合するとした共和党との対立から始まります。連邦党は現在の共和党に、建国当時の共和党は現在の民主党へと繋がります。中央政府に対する考えも入れ替わりました。
町山智浩 @TomoMachi
(続き)当初、共和党は連邦制、民主党は各州の自治権を重視しており、共和党は近代化された北部、民主党は奴隷制度を基盤にする南部をテリトリーとしていた。リンカーン(共和党)が連邦法で奴隷制度を禁止したので、南部(民主党)が分離独立。連邦を維持するため連邦が南部を戦争で破って「占領」
町山智浩 @TomoMachi
(続き)もともと北部は信仰の自由を求めた入植者が多かったが南部バージニアに入植した人々は信仰に無関心で土地や財が目的で流刑者も多く、彼らは入植するとすぐに奴隷商売を始めた。しかし南北戦争で焦土と化し、産業革命にも乗り遅れ貧困化した南部では、福音派に救いを求め信者が激増した。
町山智浩 @TomoMachi
(続く)南北戦争後も民主党は依然として南部の貧しい白人労働者の党で、福音派の党でもあった。しかし理想主義者のウィルソンを経て、ローズヴェルト大統領がニューディール政策で南部に公共事業で雇用を拡大。ここから民主党は貧困の撲滅を党是とするようになった。いわゆる「リベラリズム」である
町山智浩 @TomoMachi
(続き)労働者に支えられたニューディール体制の福祉国家アメリカは60年代まで続き、その間に大統領になったアイゼンハウアー(共和党)もフリーウェイの建設、人種統合、米ソ雪解け、とリベラルな政策を行った。戦後の日本にとってのアメリカの民主主義とは、このリベラリズムを指す。
福田陽二郎 @perceptualreco
@TomoMachi 南部のテキサス州に保守の強固な基盤があるのはなぜなのでしょうか?ハイエクの師匠であるミーゼスを理論的支柱とするロン・ポール下院議員が選出されていますが。
町山智浩 @TomoMachi
@perceptualreco テキサスは独立当時から南部について、ずっと民主党の基盤でした。子ブッシュが下院議員に立候補して落選した時もそうでした。その後、だんだんキリスト教保守が民主党離れをして共和党の州に変わりました。
町山智浩 @TomoMachi
(続き)共和党の伝統的な経済思想はいわゆる「見えざる手」に委ねる古典的自由主義だったが大恐慌で失敗し、ケインズ主義によるニューディール政策に道を譲る。その後、保守派は新しい指針を探し、保守論壇誌ナショナルレビューを中心にハイエクやフリードマンに基づく新自由主義経済へとたどり着く
町山智浩 @TomoMachi
(続き)南北戦争後も南部では黒人の参政権は抑圧され、人種隔離が続いていたが、ケネディ-ジョンソンの民主党大統領によって撤廃される。これで南部の白人は民主党から離れていく。ベトナム戦争の継続を掲げたニクソンを再選させたのも、南部や中西部の白人、もともとは民主党支持者だった
町山智浩 @TomoMachi
(続き)人工中絶が最高裁で合法化されると全米の宗教保守はそれを再禁止すべく投票への動員を始めた。最初は福音派のカーター(民主党)に投票したが、彼が進歩的なモラル政策を取ったので幻滅した。彼らを取り込んだのが古き良き価値観の再生を掲げたレーガン(共和党)だった
町山智浩 @TomoMachi
(続き)レーガンはモラル的には福音派の不自由さを選んだが、経済政策では新自由主義による規制撤廃、減税、市場への不介入、自由放任を選んだ。こうして南部の貧しい宗教保守と産業界・富裕層という全く異なる層が共和党の支持基盤となり、この体制は子ブッシュの失政まで続いた
町山智浩 @TomoMachi
(続き)レーガンは民主党によるニューディール体制を「大きな政府」だと批判し、民営化と福祉削減による「小さな政府」を掲げました。建国時に連邦政府を提唱した連邦党が共和党の源流なのに、この時、完全に立場が入れ替わったのです。
町山智浩 @TomoMachi
(続き)アメリカの政治は約30年でパラダイムが変わってきた。1930年から60年代まで続いたニューディール体制(アイゼンハワー含む)、10年の迷走を経て、80年から08年まで続いた新自由主義体制(クリントン含む)。それが金融崩壊で終わったので、今は次のパラダイムへの過渡期である
町山智浩 @TomoMachi
(続き)このように民主党は福祉や公共事業による「平等」を、共和党は市場と競争を重視した「自由」を理念とするが、モラル的には民主党は同性愛や中絶などの「自由」を守って同性愛者や女性の支持を得て、共和党はそれの禁止、いわば「不自由」を掲げて宗教保守の支持を得るという「ねじれ」がある
町山智浩 @TomoMachi
(続き)共和党の理念「自由」も民主党の「平等」も独立宣言に書かれている民主主義と資本主義の両輪で、日本や欧州では両者がバランスを取るが、アメリカではニューディールによる平等が行き過ぎて経済停滞、新自由主義が行き過ぎてリーマン・ショックと、どちらかが破綻するまで突き進む傾向がある
町山智浩 @TomoMachi
(続き)アメリカが世界一の大国になったのは誰でも自由市場競争に参加できるシステムのおかげだったが、自由競争が続くと勝者と敗者の間に格差が広がり、敗者は貧困の中で教育レベルが下がり競争参加ができず下層に固定され、社会は停滞する。そこで政府が強制的に富裕層から富を(続く)
町山智浩 @TomoMachi
(続き)富裕層の富を政府が貧者に再分配して彼らをスタート地点に戻して再び自由市場競争を活性化させる必要が出てくる。これをトランプのカードの配り直しにたとえてニュー・ディールと呼んだ。これで中流が形成され、大卒率が上がり、国民の知的レベルも上昇、巨大な生産力と消費力が生み出された
町山智浩 @TomoMachi
(続く)しかし60年代後半、敗戦国である日独の工業が再生すると労働組合に支配されたアメリカの製造業は市場競争で負けてしまった。市場を再活性化するためレーガンの下で新自由主義が始まったが、企業は組合を避けるために製造部門を人件費の安い海外にアウトソースするようになった。
町山智浩 @TomoMachi
(続く)海外への製造部門のアウトソースで企業は効率良く収益を拡大したが、アメリカ国内の労働者の仕事は激減した。こうして経営者は豊かになり、労働者は貧しくなっていった。アメリカの主力産業はものづくりから金融、投資、情報産業へと移行した。非エリート層にはサービス業しか残されなかった
町山智浩 @TomoMachi
(続き)民主党は伝統的に労働者を支持基盤としたのでクリントン政権は当初、国内の労働者を守るため、対日貿易圧力をかけた。このため今でも日本では民主党は反日と考える人も多い。しかし成果が上がらなかったためクリントンは製造業を諦め、新自由主義経済の政策に転向、金融・情報産業が隆盛する
町山智浩 @TomoMachi
(続き)ブッシュ政権は国内の労働者を守る保護主義よりも企業の利潤追及のためのアウトソーシングを放任する立場だったので2000年代、アメリカは中国製品に席巻された。日本は民主党の保護主義を嫌ったが、ブッシュが保護主義を取らなかったために中国経済はあれほど躍進したのだ。
町山智浩 @TomoMachi
(続き)レーガン政権から続いた富裕層への減税、企業の効率化、労働組合の弱体化等によって、経営者と労働者の貧富の差は何百倍にも広がり、ローンを抱えた中流以下の家庭では子どもを大学に行かせることは難しくなり、貧困層への転落、貧困の固定化のため、自由競争に参加できなくなっている。
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コメント

れもんた @montagekijyo 2012年11月4日
「その他関連」を追加してまとめを更新しました。
Mune-san 技術書典6う38 @MuneOiz 2012年11月4日
誰かに盗用されたりしないか心配だ
れもんた @montagekijyo 2012年11月4日
まとめを更新しました。
okihiro @okihiro1 2012年11月4日
町山さん、大サービスだな。コンパクトにまとまっていて、とっても分かりやすいアメリカ政治史。
Hajime Yamamoto @HajimeYamamoto 2012年11月4日
悲しいかな、現在の日本、アメリカの影響力はつおい… 然るに、この歴史は知る必要がある…
アザラシ@デグーのこてつ @AzaraSeals 2012年11月4日
~/  ´・ω・)<ニコ生番組、デマ杉が出る段階で眉唾しながら聞くべきと警告が必要になるなw
hiroaki(=゚ω゚)ノ @tachikoma02 2012年11月4日
わかりやすいアメリカ近代政治史。コメントにあったけど誰かに盗用されないか心配だなあw
未知神明(みちがみ・あきら) @ontheroadx 2012年11月5日
MuneOiz これと同じまとめがなぜか他に3つありました。昔の茂木健一郎さん状態。 http://togetter.com/li/401613 http://togetter.com/li/401615 http://togetter.com/li/401648
れもんた @montagekijyo 2012年11月5日
セレブ情報を追加してまとめを更新しました。
春川柳絮@日曜日 東-ム19b @ryo_jo 2012年11月6日
あの党は失敗したから、もう選ばないなんていってたらアメリカは無政府になるね。
Okamoto S @so_kamoto 2012年11月7日
素晴らしいTwとまとめ。盗用されないようにどこかに空白が入ってたりして。
BUFF @geishawaltz 2012年11月7日
ゆっくり読んで理解しよう…
nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 @nofrills 2012年11月7日
"オバマの地滑り的勝利なのに、日本ではなぜ接戦と報道されてるんだろう?" (by @TomoMachi) 日本だけではありませんでした。検索すれば、米NBCがnearly-evenと見出しを立ててたことも、英BBCがneck-to-neckという形容詞を使っていたことも確認できます。Too close to callというフレーズもあちこちで見ました。
satakein:limbotemple @satakein 2012年11月8日
エヴァンゲリオン(オリジナル)の最終回でゲンドウが読んでる新聞の見出しに「米国初の黒人女性大統領誕生」とあったのを思い出した。米国じゃなくて南アフリカだったかもしれないけど
zetumu @zetumu 2012年11月8日
「オバマの地滑り的勝利」選挙人という点ではそうだが純粋な投票総数ではそうとも言えないかも・・・。これまでの全体の世論調査のベースはそこだからな。それが選挙人ベースで圧勝というのはオバマの方が上手く選挙をやったということなのだろうな。
takeyshi@大阪ラバーダック連合☆大阪市存続同盟☆ @takeboutyan 2012年11月8日
大統領選挙だけが注目されがちだけど、上院の1/3、下院は全部の選挙もあったでしょ。結果は上院は民主党が多数だけど、絶対安定多数じゃないし、下院は共和党が取った。そういう意味じゃ接戦と言って差し支えないかと。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月10日
盗用も何も常識じゃん。とくに前半部分は。渡邉が言ってたけど、本を読めば済むことをネットで得ようとするのは労力の無駄使いの典型w「世界の歴史」の文庫本で18世紀以降を読んどけw米国は移民による大陸国家としてのダイナミズムを備えた国で、これを超える国家は登場しないかのように思える。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月10日
ソ連がそれに挑戦する国家として登場したが、結果は周知の通り。いま、中国がそれに代わって台頭してきてるが、社会主義的市場経済なんてものに早晩、限界が訪れるのは言わずもがな。結局、自由主義こそ人類の最良の形態であるという米国の認識はF・フクヤマの「歴史の終わり」という書物がよく現している。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月10日
では米国に堤防の穴はないのか?米国は国際連盟の失敗の教訓から国際連合には協力して、本部を自国に置いてはいるが、“世界連邦”的な動きには明白に敵対する。同じ文脈で、エスペラントのような国際文化運動にも極めて冷淡。それは民主・共和ともに克服できない米国のナショナルアイデンテティの問題。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月10日
米国の覇権が将来崩壊するとしたら、国内の混乱でも、国外からの挑戦でもなく、超国家的意識に遅れてしまうこと。そしてそれこそが米国が自身では解決できない米国的自由主義の宿痾-銃規制や、死刑制度は無くても弱肉強食の監獄制度というbarbarism-を克服してくれるだろう、ということ。勿論、そんな時代はこれを読んでる人が生きてるうちには訪れはしないだろうがw
anony_mous @anony__mous 2012年11月11日
知らなかった!アメリカ2大政党の歴史!書籍化決定ですか?
kawonasi @kawonasi4989 2012年11月11日
米国の建て直しに一番必要なのは格差の是正だというのは賛成です。日本も格差が広がってる。菅直人は政権交代前に「日本は世界一格差が酷い国になってしまった!」と大嘘こいてたけど、結局何の手も打たなかった。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月11日
だれが書いても同じ内容になる基礎知識の教科書に著作権なんてあるわけねぇじゃんw米国を批判するのは簡単だが、あれだけの人種がいて先進国として成り立たせているのは奇跡といってもいい。率直に言えば、日本にあれだけの比率の黒人やヒスパニックがいたら、フィリピン並みの国にしかなれてないだろう。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月11日
本来、多様な人種・民族で構成されている米国は、多党制で四分五裂してもおかしくないのに、二大政党制が維持されているのは、有権者登録のときに支持政党を申告して、その党員とされること。および大統領選挙が州ごとに党の選挙人を立てて、勝者総取りするシステムになっていることによるだろう。これだと1位になる見込みの無い小政党に有権者が投票する意味はなくなるから、小政党がいたずらに選挙人を立てるのも難しくなる。大陸国家を統合するのに実に賢明なやりかた。
日向小次郎 @hugakojiro 2012年11月11日
とはいっても、実際には日本の選挙のように泡沫候補は毎回立候補するし、1992年にはペローという実業家が第三の政党として、大統領選のTV討論に二大政党候補といっしょに参加するほど、善戦した。でも大統領選は得票率が反映されないシステムだから、このような第三の候補は支持層が近い二大政党候補の票を食って、結果として、反対側の党の候補を利するという皮肉な結果になる。次の日本の選挙で維新の会が自民・民主のどっちの票を食うかはわからないがw
anony_mous @anony__mous 2012年11月12日
多民族統治は大変ですなぁ…ツンゴはまぁボルシェヴィキ(多数派)としての漢民族優遇政策&農本社会主義(崩壊寸前)ですが、選挙制度が有るとメンドイっすね!ニッポン民じょく←チョソン風の黄泉(読み)はまぁ國家(伊勢)神道で踏絵すればOKだし!
侠華慈徳善堂 @chaoshexa 2012年11月12日
ジェファーソンの共和党は民主共和党の方が通りがいい気が
ゴマすりクソバード@たつき監督を返せ! @animefigure3d 2017年2月13日
町山さんもちょっと偏ってるので鵜呑みにできない。あと、進撃の巨人シナリオクソだわ。
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