引きこもり、うつ、退屈の関係について

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KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

金曜日の斎藤環さんとのトークイベントにお越しいただいた皆様、ありがとうございました。多くの方に斎藤さんの『原発依存の精神構造』をお読みいただきたいです。対談では同書を読み解くためのヒントがたくさん提示されたと思います。 http://t.co/KbL6LiCc

2012-11-04 13:24:51
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

享楽を簡単に説明すると?という僕の質問に斎藤さん「快楽は緊張の放出。対し、享楽は緊張を高めるもの」。わかりやすい!快楽の方はフロイトの言う快原理からすぐに分かりますね。それとの対比から享楽を説明するとこうなる。

2012-11-04 13:27:26
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

脱原発デモなんかが、単に社会運動の享楽に引かれて行われるものとならないようにすることが大切ですよね、と俺が俺自身に対する警戒を怠らぬようにとの意味も密かに込めて斎藤さんに訊くと、斎藤さんは「しかし今の脱原発デモは享楽的なものにはなっていないんじゃないか」とのお答え。うれしかった。

2012-11-04 13:33:43
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

あと『暇と退屈の倫理学』の問題系に関わる極めて重要な情報。斎藤さんから伺う。引きこもりの人は家でDVD観まくりみたいに思われているが全然違う。彼らは横になったり座ったりしているだけで本当に何もしていない。そして、にもかかわらず、全く退屈を感じていない。退屈だ、とは決して言わない。

2012-11-04 13:36:14
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

なぜかと言うと、引きこもりの人たちの心は強烈に焦っている。だから、退屈を感じる余裕がないのだという。そして、彼らが「なんか退屈になってきました」というと、斎藤さんは「ああ、だいぶ回復してきたな」と思う、と。

2012-11-04 13:37:59
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

俺なりの言葉に置き換えると、引きこもりの人はハイデッガーの退屈の第二形式にうまく入り込めずにいる、ということになると思った。依存性の自助グループの方からも、「ちょっと退屈」で「ちょっと寂しい」退屈の第二形式の中でなんとなく生きられるようになるのが回復だと伺ったことがある。

2012-11-04 13:41:08
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

「退屈と気晴らしが絡み合った状態」である退屈の第二形式は、なんてことない日常と思えるかもしれないが、その中で生きることができるようになるためには意外にもなんらかの〈学び〉が必要であり、その中でうまく生きることができない人たちも決して少なくない。

2012-11-04 13:43:47
坂上秋成 @ssakagami7776

@lethal_notion 何度か経験あるんですが、引き篭もりはどうしても鬱とセットになるので、「退屈」を感じる余裕がない。戦ってる気になって、でも後から成果がなかったことに気付き、罪責の念と後悔を感じるというループに入ると「退屈」―「気晴らし」ラインの外に常にいるのかなと。

2012-11-04 13:45:10
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

斎藤さんからは『暇と退屈の倫理学』について、「臨床で使える本はホンモノだと思ってる」という本当にうれしいお言葉をいただいた。本当にうれしい。というわけで、拙著も引き続きよろしくです。 http://t.co/xOdDdOuH

2012-11-04 13:46:32
坂上秋成 @ssakagami7776

退屈を感じないようにするというのが勿論理想だけど、それ以前に國分さんの言う退屈の第二形式の枠組み内で対象化され得る環境をキープすることって多分大事。退屈―気晴らしラインの外側に出ちゃうと、帰ってくるのが割と難しいというのは経験的に分かる。

2012-11-04 13:47:32
坂上秋成 @ssakagami7776

おそらく焦燥―罪責感―後悔のラインの方に入ると、快楽に対するイメージもどんどん薄れていく。なんだろうね、なんかに遭遇してもそれが不快なのか快楽なのかの判断がつかなくなるというか。そういう時にやばい出来事のやばさを判断できず危険になるとかは十分起こり得るように思います。

2012-11-04 13:49:31
坂上秋成 @ssakagami7776

おそらく退屈の第二形式は何かしらの「運動」ができること≒余裕があることは前提になっているはず。しかし、ひどい鬱などで「運動」状態にない人を強制的に「運動」化させるとマズい結果になったりする。鬱の人が一瞬活力を取り戻して自殺への意志が実行されるというのはよく聞く話。

2012-11-04 13:55:26
坂上秋成 @ssakagami7776

そういう意味で僕は自己啓発とか宗教に対して全く否定的ではないというか、一定の客観性を保った上で、自己の感情や「運動」状態を測るツールにするならいいじゃんと思ってる。

2012-11-04 13:57:33
坂上秋成 @ssakagami7776

「運動」状態にあるかどうかって絶対自分で判断できないんだよね、その判断自体が「運動」できない状態でなされてる場合が多いわけだから。そこで「あなたこうしたら」的な外の声を上手く取り入れるのはいいことだし、セラピーとかってそういうもの。でも壺買ったら駄目だよね。

2012-11-04 13:59:18
服部徹也 @bungakuron

RT👈これは実感に近い。我が家の病人の場合、鬱で寝たきりだったのが「退屈」と言って漫画を手に取りはじめたら、症状が動き始める兆候なんだよな。鬱の時は漫画どころじゃないし、退屈なんかじゃない。他方、躁だと漫画なんか読んでる暇はなく、やりたい事の為、時間がいくらあっても足りない。

2012-11-04 14:06:47
服部徹也 @bungakuron

承前)というわけで『暇と退屈の倫理学』は〈病者の時間論〉に引きつけて読むと非常に面白いのでオススメ。書店での國分・千葉両氏の対談でも、精神病論への言及があり、我が意を得た思いだった。注釈に出典がしっかり載ってるので、原典に辿る足掛かりになる本ですよ( ´ ▽ ` )ノ

2012-11-04 14:20:05
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

坂上くん、重要な指摘をありがとう。“@ssakagami: おそらく焦燥―罪責感―後悔のラインの方に入ると、快楽に対するイメージもどんどん薄れていく。…なんかに遭遇してもそれが不快なのか快楽なのかの判断がつかなくなる…。そういう時にやばい出来事のやばさを判断できず危険になる”

2012-11-04 16:12:49
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

斎藤環さんが『暇と退屈の倫理学』に関して教えてくださった、引きこもりと退屈の関係についての話をツイートしたら、それへのリプとして、重要・有益なツイートをたくさんいただいている。引き続き考えていきたい。

2012-11-04 16:15:55
schizoophrenie @schizoophrenie

うつは「止まっていて何もできない状態」ではまったくなくて、むしろ「止まることに必死になっている状態」と言ったのは誰だっかちょっと思い出せないのですが、これは臨床的実感とも符合します。うつ状態(あるいは、ひきこもり?)では退屈はできないのでしょうね。 @lethal_notion

2012-11-04 16:18:44
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

お伺いしたかったのですが、鬱のメカニズムについての精神分析的な説明というのはどのようなものになるのでしょうか?古典的なメランコリーなら、自己愛が強かったため、対象喪失が喪の作業ではどうにもならない落ち込みを作り出すとかいった説明がありますよね。 @schizoophrenie

2012-11-04 16:24:05
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

あるいは精神病なら〈父の名〉が排除されていて、シニフィアン連鎖が脆弱である、など。こういうのと同じ水準で、いま取りざたされているうつ病のメカニズムを説明したものをみたことがない気がするのです。どうなんでしょうか? @schizoophrenie

2012-11-04 16:26:36
schizoophrenie @schizoophrenie

@lethal_notion メランコリー(=精神病)ではない「うつ」はどうなっているのか、ということですよね。ちょうど先月のラカン協会でその話をやったんですが、過去の心的体験(トラウマ)によって規定される精神神経症ではない、現在時の性的な興奮の処理によって生じる現勢神経症…

2012-11-04 16:34:50
schizoophrenie @schizoophrenie

@lethal_notion (承前)というカテゴリーにおいて「うつ」を捉える試みがフロイトから現代のラカン派はあるようで、ラカン協会の発表ではそれをまとめました。ちょうどその中で『暇倫』にも言及させていただいています。よろしければ発表原稿をお送りいたしますがいかがでしょうか。

2012-11-04 16:35:15
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

@schizoophrenie 感謝です。いまiPhoneで冒頭を読んでます。まさしくこれです。これが欲しかった。「喪とメランコリー」は重症の精神病としてのメランコリーを扱っていて、現代のうつ病を解明する上ではあまり役に立たない。ならば、精神分析はどうこれにアプローチできるか。

2012-11-04 17:01:26
schizoophrenie @schizoophrenie

@lethal_notion ありがとうございます。先生が『暇倫』で参照されているスヴェンゼンの本では「アセディア」が取り上げられていましたが、これはラカン派のCorviがLa depressionでかなりの頁を割いて言及していることもあり、ぜひ先生のご意見も頂戴してみたいです。

2012-11-04 17:07:48
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