【三国志ンデレラ】

横山光輝「三国志」武将かるた_bot @yms_karuta

【三国志ンデレラ01】 プロローグ：銅雀台を完成させた曹操は考えていた。「完成祝いを単なる宴会で終わらせるのはもったいないな。よし、国中の美女を集め、舞踏会を催すとしよう」この思いつきが、ある女性の運命を左右することになろうとは…

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【三国志ンデレラ02】 呉の国では、赤壁の戦いから続く戦乱に疲れ果てていた。そんなおり、孫策の妻大喬、周瑜の妻小喬は目の前に現れた一人の少女を目の前に、どうすべきか悩んでいた。少女は「貂志」と名乗る。あの貂蝉の娘とか。本当だとすれば扱いを慎重にしなければならない。

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【三国志ンデレラ03】 王允の策による美女連環の計により、董卓と呂布の間で立ち回った貂蝉。董卓の死後自ら命を断とうとしていた。実は子を身ごもっていた。その事実を知った呂布は己の子か董卓の子かわからないが、瀕死の貂蝉を助け、密かに産ませていたという。その後貂蝉は亡くなったそうだ。

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【三国志ンデレラ04】 呂布は残された娘を育てようとしたが、その後の戦乱により各地を転戦する中、娘を連れて行くことが出来なかった。そのため、ある商家で引き取ってもらうことになった。その後、呂布とは会ってはいない。もしかしたら、董卓の面影を残す娘を見るのが辛かったのかもしれない…

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【三国志ンデレラ05】 貂志と名付けられた娘は、しばらくは大切に育てられたが、引き取られた家が戦乱により賊徒に襲われたため、流浪の生活を送るようになる。しかし、その商家の遠戚であるということで、呉の国の孫堅の叔母、つまり呉国太を頼ることになった。

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【三国志ンデレラ06】 「お姉さま、いかがいたしましょう」 「にわかには、信じがたい話ですが、とりあえず、貂志という娘が持っていた手紙と、董卓と呂布の印を呉国太様にお見せしましょう」 「私は、夫に相談してみます…」 「小喬、そうして」

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【三国志ンデレラ07】 周瑜のもとに訪れた小喬はあらましを話す。 「なるほど。董卓か呂布と貂蝉の娘か…。美人か？」 「ええ」 「だったら、何かに使えるかな…。」 「え？」 「いや、なんでもない。呉国太様の判断にもよるが、しばらくお前たち姉妹が面倒見るがいいだろう」 「はあ…」

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【三国志ンデレラ08】 一方、呉国太を訪れた大喬。 「なるほどねえ。貂蝉の娘かい。とりあえず、私のところで侍女として働いてもらうことにしますかね」 「よろしいんですか？」 「ええ。ちょうどお手伝いさんも欲しいなと思ってたところだし。」 「では、お屋敷に連れていきますね」

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【三国志ンデレラ09】 こうして呉国太の家で働くことになった貂志。苦労してきたせいか、家事全般はそつなくこなし、呉国太の話し相手になるなど、なんだかんだで可愛がられるようになった。貂志にとっては穏やかな日々が流れるようになった。

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【三国志ンデレラ10】 「周瑜様、曹操からこんな布告が出されています」 「何？天下一の銅雀台が完成したので、祝いとして舞踏会を執り行う？全国より美女を集めよ。未婚、既婚、貴賎は問わぬ、だとう？」 「どうです？我が国から美女を送り込んで、曹操を暗殺するという手は？」 「ほほお…」

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【三国志ンデレラ11】 「というわけです。我が国から美女を送り込んで曹操を…」 「周瑜や。お前はまた碌でもないことを考えますね」 「今ここで曹操を亡き者にすれば、呉の国は安心になるのですぞ。そうすれば劉備との同盟も破棄して…」 「男がそんな姑息な手段を取るものではありません」

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【三国志ンデレラ12】 「まあ、周喩がそんなことを言っててねえ。まったく馬鹿なことを…」 「…呉国太様。その役、私めがやりましょうか？」 「貂志？いいのよ。そなたは十分に苦労したもの。国同士の諍いで若いあなたが手を汚すことはありません」 「でも…」 「いいのです」

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【三国志ンデレラ13】 一方、思ったよりも美女の集まりが悪いと思った曹操は、さらに催促の手紙を各地に出す。 呉の周瑜のもとには小喬、大喬を差し出せとの手紙が。 周瑜「なにい！」

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【三国志ンデレラ14】 小喬、大喬を差し出さぬなら、再び呉を襲うとの脅しに、パニックになる宮廷。善後策を練るために話し合いが行われた。発言したのが諸葛瑾。 「今ここで大戦を起こす余裕はありません。いかがでしょう。呉の国から小喬殿、大喬殿よりも美しい娘を送ると返事をしてみては。」

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【三国志ンデレラ15】 「で、誰を送るのです？」 「はい。呉国太様のところにおられる貂志殿です。かの貂蝉の娘とあらば、曹操も納得するでしょう」 「しかし、我が娘のようにかわいがっている貂志をそのようなところに…」 「はい。なので、ひとつ策を練りたいと思います」

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【三国志ンデレラ16】 諸葛瑾の話は続く。 「遠い西の国に伝わるシンデレラ伝説を御存知ですか？」 「シンデレラ？」 「かいつまんで言うと、魔法の力で美しく着飾った娘が12時になると魔法がとけて帰ってしまうというものです」 「我が国にはなぜか仙人が多いので…」

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【三国志ンデレラ17】 かくして貂志は銅雀台へと行く事になった。先導するのは驢馬に乗った諸葛瑾。左慈と名乗る仙人により美しく着飾ったという娘が銅雀台へ向かうという噂が中華中に広まった。実際、贅の限りをつくした馬車に乗った貂志は、教わった段取りの復習をしていた。

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【三国志ンデレラ18】 「いいですか？午前零時になると魔法がとけるということになっています。その噂も西洋のシンデレラ伝説とともに流しておきます。午前零時に救出部隊が動きますので、出口に向かって走ってください…」

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【三国志ンデレラ19】 銅雀台に到着した貂志一行。曹操は噂の娘が来たとあってそわそわしていた。 「ほう、あれがシンデレラか。さすがに美しいのお」 「曹操様お気をつけ下さい。かの娘は呉から来た上に、呂布の娘との噂もあります」 「なに？」 「あの貂蝉と呂布の娘…」 「ふむう…」

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【三国志ンデレラ20】 かくして銅雀台での舞踏会が始まった。全中華からよりどり戻りの美女が集まった開場は華やかな雰囲気に包まれていた。 周囲を警戒しながらも、曹操は貂志の魅力に抗しきれなかった。伏せ目をしている貂志の手を取り、ともに踊ることを要求する。貂志はうなづき、立ち上がる…

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【三国志ンデレラ21】 運命の時間がやってきた。貂志は「曹操様、お時間でございます。私は帰らなくてはなりません」と言って出口に向かって走りだした。 「待て！逃しはしない！」 シンデレラ伝説を聞いていた曹操は周囲の部下に目配せをし、完全武装の兵士たちが銅雀台を囲む。

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【三国志ンデレラ22】 「！」 銅雀台の階段を駆け下りる貂志は、周囲の兵士たちの姿を見て愕然とする。その時、 「ハハハハハ！」 上空から高笑いが聞こえた。 「あれは？」 「ほーっほっほっほ。曹操よ、我が仙術、とくと見よ！」 「さ、左慈様？」 空を舞う若き仙人、左慈の姿が…。

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【三国志ンデレラ23】 ハングライダーのようなものに乗った左慈は、貂志を抱きかかえるようにして連れ去っていく。その時、貂志の足から一足の靴が脱げ落ちた… 「うぬぬ、シンデレラ。逃しはせん」 曹操は、脱げ落ちた靴を握り締めながら、左慈達が去っていった空を睨みつけた。

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【三国志ンデレラ24】 翌日、全国に布告がなされた。 「シンデレラを探している。変装している可能性があるので、この靴のサイズに合う足の持ち主を連れてくるように」 ところが、靴はガラス製ではなかったので、割と多くの女性が普通に履けてしまったため、シンデレラ探しは困難を極めた。

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【三国志ンデレラ25】 そして曹操は西涼に反乱の兆しありとの報を聞き、銅雀台から都へ帰らざるを得なくなった。一夜の舞踏会での出会いは、その後の曹操の人生観に微妙な影響を与えることになる。