ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード #3

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
書籍 文学 ニンジャスレイヤー
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「ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード」#3
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ドルドルドルドル……ボボルボルボボボルルルル……「ヘイヘイ!ヘイヘイ!」「ヘイヘイ!ヘイヘイ!」「た、助けアバーッ!」「スッゾコラー!」「アバーッ!」KABOOOM!「アバーッ!」「キング!」「キング!」「キング!」 1
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「やれーッ!」「ヘイヘイ!ヘイヘイ!」「キング!」「キング!」夜空に掲げた大漁旗の先端には、ナムアミダブツ!松明めいて燃え盛る死体!油をかけて焼いたのだ!「キング……」側近ライダーが不安げに振り返る……前輪が二つある悪魔じみた改造チョッパーバイクにまたがるカケルを! 2
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「ナメられたらよォ……ナメられたらお終いなんだよ……」カケルは側近を睨み返した。食いしばった歯の隙間から泡がこぼれる。「そうッスよね!」側近は慌てて頷き、前に向き直った。「キング!キング!」ライダー達の狂おしい叫びには恐怖が満ちている。彼らの首領への恐怖?未来への恐怖? 3
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「戦争だよお前ら」カケルは言った。「戦争するしかねえよ。死ぬまで戦争だよ」爆音にかき消され、それを聴いた者は実際いないだろう。串刺しにされて燃え上がるのは、カケルをケジメさせに現れたカタナオカメヤクザクランの者たちであった。 4
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昨晩、カタナオカメヤクザクランの顧問シゲゴを含む揉め事対応部隊は、現場到着後に全員死んだ(さらにそのお目付役であるニンジャも死んだが、知る者はここにはいない)。クランはこれを重く見、事の発端であるカケルに責任を帰し、とにかくケジメさせようとした。面子のためだ。 5
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カケルはしかし、それを受け入れなかった。脚の骨折ギプスに極彩色の見返り美人をペイントし、死亡したライダーのバイク二台を無理やり溶接合体させたものを新たな乗り物とした彼は、既に「ヤル気」だった。カケルは部下を使ってケジメ部隊を取り囲み、容赦無く警棒で叩いて殺させた。 6
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「だってしょうがねえよ……だってしょうがねえジャンよ」カケルは俯き、ブツブツと呟いた。「キング!キング!」ライダー達は必死で声を揃える。カケルは顔を上げた。「やるしかねえんだよ!俺らの人生はよォ、スピードだよ!ブッダスピードなんだよ!」「キング!キング!キング!」 7
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巨大環状道路であるルート808には三つのバイクチームが存在する。ジャージーデビル・レンゴウ、キマリテ・レンゴウ、そしてワンダリングマンモス・レンゴウだ。彼らは長い抗争の果てに協定を結び、日時を切り分け、週ごとに持ち回りで暴走行為を行うに至った。 9
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「当然アンタもその辺の事は調べたうえでの話だろうけどね……」フィルギアは店主が差し出すソバを受け取った。ニンジャスレイヤーと彼は深夜屋台街の一角、「辛味かけ放題」と書かれたノーレンのソバ屋台にいた。深夜であるにも関わらず、通りを忙しく行き交う人々、編笠、コート、ネオン傘。10
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今のニンジャスレイヤーはトレンチコートとハンチング帽を身につけ、市民達に無理なく溶け込んでいる。フィルギアも人間の姿だ。雑踏が、かえって彼らを不可視にする。「俺らは確かに、そいつらに喧嘩を売ってまわってた……」「そうだ」ニンジャスレイヤーは頷いた。「二人が死んだ時期だ」 11
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「三つのレンゴウはうまくやってて、最近は抗争も起こしてない。まして、バックのヤクザや……ニンジャが出てくるような……そんなのは」「そうだ」ニンジャスレイヤーは頷いた。「暴れてるとしたら、俺らシマナガシ……うん……イイ線ついてる」フィルギアは辛味を繰り返しドンブリに投げ入れた。12
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「でも、残念だけど俺らじゃない」フィルギアは辛味を入れ続ける。「楽しく暮らしたいンだよ、俺はね……多分、他の連中もね。カタギをいたぶっても、つまらない……で、死んだ奴、名前何だっけね……そいつ、何してたって?」 13
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「ケンザ・キシオミ」ニンジャスレイヤーは卓上に写真を何枚か置いた。「モママ銀行のサラリマンだ」「銀行!ヘェー!銀行!」フィルギアは赤いスープをグルグルとかき混ぜた。「ヒッデェ死に方したんだね……」手と脚の写真を見て薄笑いを浮かべる。 14
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「ルート808を走行中に、そうなった」ニンジャスレイヤーはソバをすする。「同じ頃、その妻も殺された。帰宅途中にな」「念入りだね……」フィルギアも自分のドンブリに手をつける。「銀行員ねえ……」「……」ニンジャスレイヤーはフィルギアを見た。フィルギアは黙々と食べた。 15
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ヨイトコロー……。ソバをすする二人の後ろでは、空をゆっくりと飛ぶコケシツェッペリンの広告ホログラム映像が、喧しい宣伝ソングとともに、温泉に浸かるゲイシャの背中を流している。「ウチの連中、今頃アマクダリの奴らとやりあッてるかもしれないんだけどさ」フィルギアはドンブリを置いた。 16
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「こんな時でも無けりゃ、アンタと話す機会も無いしね……恩を着せてるわけじゃないぜ」卓に肘をつき、ニヤニヤ笑いながらニンジャスレイヤーを見た。「俺は、ほら、メッセンジャーだからね……」「……」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せ、この男の発言意図をはかる。 17
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「前からアンタの事、結構気にしてたンだぜ」フィルギアは言った。「アンタのその、ナラク・ニンジャの事さ……」背を向けてバイオネギを刻んでいたソバ店主がビクリとして振り返った。ニンジャスレイヤーの一瞬の殺気を本能的に畏れたのだ。だがニンジャスレイヤーは抑えた。店主は作業に戻った。18
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「そうそう、それ、よく抑えてるからさ……よかったなッて。前は、接触するにも、ちょっとね、ヒヒッ」フィルギアは笑った。ニンジャスレイヤーは睨んだまま、声を潜めた。「ナラクの何を知る」「そう、その話だよ」真顔で見返した。「昔みたいにメチャクチャやられたら、困っちまうから」 19
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「昔?」「知ってるか……ニンジャスレイヤーは過去にも何度か現れた」フィルギアは言った。「アンタの事じゃない……別のニンジャスレイヤーがさ。もっと昔……もっと昔。アンタ、どこまで知ってる」 20
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「……」「そうか。何も知らねえか」「……」「信じないか?こんなところで話すんじゃなく、かしこまったシュラインとか、洞窟とかが良かった?俺がもっと……もっとミスティックな髭の爺さんでさ……『汝に啓示を』……ヒヒヒヒ、悪い、笑えねえよな、そうだなァ」21
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「いや……」ニンジャスレイヤーはチャに手を伸ばした。「話を聞こう」「その方がいい」フィルギアは頷いた。「俺の事は邪険にしちゃいけない」ニンジャスレイヤーは一息にチャを飲み干した。「なぜオヌシはそれを知る」「当然、俺が大昔のニンジャだからさ」フィルギアは真顔で言った。 22
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「そりゃあもう、大昔の話になるワケ……俺が寝て起きる前の話さ。まあその大昔の事だよ。フリークアウトしたのさ、罪人が。罪人といっても、モータルだな。ニンジャの連中からしてみりゃ、取るに足らない存在で、俺もそいつの元の名前や顔なんか、知らないよ」23
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「そいつは暴れ狂って、いっぱいニンジャを、モータルを、殺した。殺しまくった。ヒヒッ……当時の俺の妹と恋人も死んだ」フィルギアは目を細め、囁いた。「アンタのせいじゃない……オヤジ、ホット・サケをくれよ」「ハイヨロコンデー」 24
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2012年11月9日
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