茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第768回「本当に学力を伸ばすためには、どうすればいいか」

脳科学者・茂木健一郎さんの11月7日の連続ツイート。 本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ!
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-11-07 05:20:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第768回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ!

2012-11-07 06:29:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(1)昨日、佐賀にある県立の中高一貫校、致遠館を訪れて、あらためて教育、学びということについて考えた。日本の教育の、システム上の大きな問題(国際化、言語政策、批判的思考の醸成)は別として、現在のシステムを前提にしたとしても「学力」を伸ばす方法論についての顕著な事実に気づいた。

2012-11-07 06:32:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(2)それは、たとえ、目の前の「受験」がとりあえずの目標だとしても、そこで良い成績を上げるためには、単に技術を磨いたり、問題を解いたりするだけでは足りないということである。確かに、そのような直接的な対策をとれば、ある程度は伸びるだろう。しかし、本当に良い成績にはならない。

2012-11-07 06:34:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(3)学びに対する意欲、姿勢がしっかりしなければ、学力は伸びない。知の世界についての、感動と遠い目標がなければならない。そのような、大きな構えのない学生は、いくら小手先の技術を磨いても、ある程度以上は伸びない。これは、学生だけでなく、親、そして教師が心しておくべきことだ。

2012-11-07 06:35:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(4)私が通った東京学芸大学付属高校もそうだったが、他の進学校、例えば開成や灘の生徒に聞いても、いわゆる受験技術だとか、小手先のテクニックなどを教えている学校はまずない。むしろ、教師が情熱を持って、自分の好きなテーマについてじっくりと教えるという形をとっているケースが多い。

2012-11-07 06:37:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(5)これは、実は「予備校」でもそうだろう。すぐれた予備校ほど、単なる受験技術を教えるというだけの場ではないはずだ。予備校に通って、改めて学問の面白さに目覚めた、という体験談を良く聞く。私自身は予備校に行ったことは一度もないけれども、そんなことを言う人の目は輝いている。

2012-11-07 06:38:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(6)私がよく引き合いに出す畏友の和仁陽にしても、センター試験(当時は共通一次試験)が全国トップの1000点中981点だったことは事実だが、彼は卒業文集に「ラテン民族における栄光の概念について」を書くなど、本格的な学問に対する深い志向があってこその受験の成績だった。

2012-11-07 06:40:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(7)つまり、私の言いたいことはこうである。たとえ、今の日本の受験のシステムを前提にしたとしても、経験則として、その中で伸びる子どもをつくるためには、単なるテクニックではなく、本格的な学問への情熱と興味を育むのが一番効果的なのではないか。しかも、効果は一生長持ちする。

2012-11-07 06:41:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(8)同じことは、いわゆる「ビジネス書」にも言える。人付き合いのテクニックとか、プレゼンのノウハウとか、そういう皮相的なことをいくら教えても、その人は偉大なるビジネスパーソンにはならないだろう。もっと深い人間観とか、世界観、哲学を身につけた方が、結局は伸びる。

2012-11-07 06:42:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

ほど(9)急がば回れというが、学問の情熱、ビジネスにおける哲学は、結局は本格派、王道以外の道はないように思う。表面だけちゃちゃちゃと整えればなんとかなるというのは一種の詐欺であり、経験則にも反する。植物を伸ばすためには、枝葉だけいじっても仕方が無い。土の中の根こそが大切なのだ。

2012-11-07 06:43:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第768回「本当に学力を伸ばすには、どうすればいいか」でした。

2012-11-07 06:44:44