都会に潜む地雷原、または悲劇の前兆(笑い話になると…いいなあ)

あずきさんの語る昼下がりのお話、実に地雷原に満ちている怖い話である、あるよ。  そして、宣伝も、あるよ、あるよ!(をい ステマに潜む日常とその恐怖、わかる人にはわかるかと。
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加藤AZUKI @azukiglg

速達メール便と同着で届いたSDカードに、古いカードのデータを移転中なう。そのついでに、「まだ始まってない怪談、になるかもしれない小咄」を語ってみるなど。

2012-11-08 13:58:38
加藤AZUKI @azukiglg

僕が今住んでる家というのは、越してきて今年の末で12年。家探しして、建て売りを衝動買いという、僕の衝動買い人生の中でも一番高い買い物だった。買い手が付かなくてちょうど値下げされた直後に買ったのだった。

2012-11-08 13:59:38
加藤AZUKI @azukiglg

普通、家の下見というのは「昼間」にしなきゃいけない。なんでかというと、「家にどのくらい光が入るのか=採光」がわかんないし、家の周囲に何があるかというのがわかりにくくなるから。が、このときは下見が日没後、つまり夜という鉄則外下見の上、即日契約というある意味勇気のある行動だったw

2012-11-08 14:01:08
加藤AZUKI @azukiglg

で。この家の近所の辻に、大きな石碑があった。高さ2mくらい。僕はこれを、長いこと(越してきて一カ月くらい)何かの記念碑だと思ってた。不定形の自然石を削って、なんかの文字が太々と揮毫されていたからなのだが、特に興味を持たなかったので「記念碑あるなあ」くらいにしか思ってなかった。

2012-11-08 14:02:22
加藤AZUKI @azukiglg

そして、その石碑をはじき出すようにトタンの囲い塀があって、トタンの囲い塀が切れたところには古い造りの月極駐車場がある。車もちらほら停まってる。少し影になっているところがあって、その塀の奥はちょっとわかりにくかった。その奥も駐車場なんだろう、くらいにしか思ってなかった。

2012-11-08 14:03:51
加藤AZUKI @azukiglg

で。住み始めて一カ月くらい過ぎたところで、僕はいろいろ思い違いをしてたというか、不注意でよく見てなかったwことに気付く。まず、石碑。これは石碑じゃなかった。個人名を揮毫した、個人の墓だった。そんで、囲いの内側は駐車場じゃなかった。墓地だった。

2012-11-08 14:04:50
加藤AZUKI @azukiglg

囲いの中に墓地があるというのに気付くのが遅れたのは、隣に駐車場があったせいと、塀が案外高くて卒塔婆が外から見えなかったこと、それと家に籠もる仕事なので家の周囲は「通過する場所」で、あまり気にしてなかったことなどが理由だったような気がする。まあ、それはいい。

2012-11-08 14:06:02
加藤AZUKI @azukiglg

囲いの中に墓があり、そして一際でかい個人墓は、囲いの外――墓地の外にある。他の墓が囲い塀を背にして墓地の内側を向いて立っているのに対して、石碑と間違えてた個人墓は、辻に向かって、つまり通りに面して建っている。つまりこれは、辻墓である。個人の。つまり。その。

2012-11-08 14:07:31
加藤AZUKI @azukiglg

割と最近、とある流れで知ったんだけど、その個人墓の主はスジの偉い人、博徒であるらしい。そして、その墓は非常に大切にされていて、常に花が枯れてない。ピカピカに磨かれ、飲み物も絶やされない。それは別に怪異ではない。墓守がいるのだ。この墓は。

2012-11-08 14:08:49
加藤AZUKI @azukiglg

墓守が、墓の面倒を見ているところに行き合わせたことがある。イメージとしては、近所のお婆さんが……と思っていたら、違った。黒いバンで乗り付けたジャージの若い衆とスーツの若頭だった。夏も冬も花は枯らさず、ゴミもチリも許されない徹底した清掃ぶり。観光地の石碑だってこうはいかない。

2012-11-08 14:10:24
加藤AZUKI @azukiglg

この町ではお稲荷さん密かに信仰が生きてて若い世代に引き継がれてたり、いろいろ発見したり感心したりさせられるのだが、スジの方々に大層大切にされている個人辻墓、というだけで怪異がなくたって怖いというか、まあ敬虔な気持ちにもなる。でも、大切にされているならよいことだと思う。

2012-11-08 14:11:52
加藤AZUKI @azukiglg

この墓と隣接する駐車場と、その駐車場と隣接する古家ここ数年空き家になっていて人の気配がなかった家なのだが、そこが売られたのがこの秋の話。古家の主が駐車場の持ち主でもあったんだけど、高齢で亡くなられたのが数年前。それが、今になって遺産相続人が現れた。

2012-11-08 14:13:16
加藤AZUKI @azukiglg

相続人は遠方に住んでいるということで、都内のいいとこwの土地なら住むより売ろうということになったらしく、その土地はさっそく当地の不動産屋だか開発屋だかに売られた。再開発がじわじわ進む土地でもあるので、きっとここにはマンションが建つのだろうと思う。

2012-11-08 14:14:24
加藤AZUKI @azukiglg

さて、その古家と駐車場。僕の記憶に照らし合わせると、どちらも作られたのはメッチャ古いのではないかと思われる。順番で言えば家が先だ。いまどき新築住宅では見かけなくなったが、木の板を重ね合わせて作った燃えやすそうな木造に瓦屋根。

2012-11-08 14:15:41
加藤AZUKI @azukiglg

実家にあった同じ様式の家と同時期同年代の建物だとするなら、あれは昭和のかなり早い時代の建築物で、戦災を逃れた物件レベル。70年じゃきかない。駐車場はイマドキの目の細かい水はけの良いアスファルトではなく、砕石を押し固めたような水はけの悪い古く粗いコンクリート。

2012-11-08 14:17:12
加藤AZUKI @azukiglg

こちらも、昭和の早い時期(それでも戦後だろう)に作られたのだろうと思う。周囲の他の建築物と比べても、格段に「歴史が付いてる」というか古い。様式が古い、工法が古い、としか言いようがない。開発屋は、古家と駐車場を壊し剥ぎ取って、ここに新しい上物を建てて売るらしい。それは、いい。

2012-11-08 14:18:46
加藤AZUKI @azukiglg

「あの駐車場さあ、元々は隣のお墓だったところなんだよね」

2012-11-08 14:19:08
加藤AZUKI @azukiglg

近所の人の弁。隣接する墓の一部を潰して均して、そこを駐車場にしたらしい。作られた時期は相当古いうえに、持ち主が亡くなっているので子細がわからないのだが、何分にも昔の話だ。 「墓とか、あんまりちゃんとせずに作っちゃったんじゃないかな。駐車場」 え?

2012-11-08 14:20:30
加藤AZUKI @azukiglg

そして、その隣接する墓。いや、辻墓のほうじゃなくて囲い塀の中の隠し墓地のほう。辻墓のほうは埋葬者の素性もわかっていて、墓守もされている。では、囲い塀の中はというと、「誰の墓かはわかるのだろうが、その遺族がどこにいるかわからない。そして墓地の所有者がわからない」らしい。

2012-11-08 14:21:41
加藤AZUKI @azukiglg

この話は、区の役人立ち会いのもと、道路と土地の境界線の確認と確定、のときに周囲の地権者との間で出た話で、つまり区のほうでも「墓地」としか確認できず、それ以上踏み込まずにきているものらしい。辻墓の墓守は今も続けられていることも、彼らには知られていなかった。

2012-11-08 14:22:46
加藤AZUKI @azukiglg

墓地を潰して作ったとされる駐車場、そうであることを知らないらしい開発屋、その上に新たに作られる物件、隣接する所有者不明の古墓地(どこかの寺の所有とかでもないらしい)、スジの人に大層大切にされている辻墓。なにこの、「何か起きる予兆です」と言わんばかりのフラグ。

2012-11-08 14:24:25
加藤AZUKI @azukiglg

で、これはまだ怪談ではない。怪談になってもまったくおかしくないようなフラグが山ほどあるけど、明確にそれと断言できる怪異の体験者がいないので。これからできる(恐らくマンション)の工事は無事に終わって欲しいと思っているけれども。頻繁に居住者が変わる部屋とか出て欲しくないけど。

2012-11-08 14:25:49
加藤AZUKI @azukiglg

そういや、一回だけ変なのを見たことはある。コンビニから帰る道すがら辻墓の前を通りがかったら、墓の脇に蹲ってる若い男がいる。ギョッとしたが、墓を荒らしているのか?捜し物か?とも思った。が、よく見るとそのどちらでもなかった。

2012-11-08 14:27:29