ハーバード白熱自習室『これからの「正義」の話をしよう』◎まとメモ【第7章.アファーマティブ・アクションをめぐる論争】

NHKのハーバード白熱教室の、 マイケル・サンデル教授著 『これからの「正義」の話をしよう』 を読んで、 みんなで議論する 「ハーバード白熱自習室」 ハッシュタグ: #JusticeJP ◎まとメモ【第7章.アファーマティブ・アクションをめぐる論争】
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ことりちゃん @keikougyo

【第7章アファーマティブ・アクションをめぐる論争】 アファーマティブ・アクションとは、積極的差別是正措置というもので、大学では白人よりもマイノリティの出願者を優遇しています。この章はこの優遇措置が妥当かどうかを、道徳的観点から考察しています。 #JusticeJP

2010-08-06 04:19:04
ことりちゃん @keikougyo

アファーマティブ・アクションが支持される理由は3つあります。まず、標準テストの差を補正する目的。もともと経済的階級で補正はされているらしいのですが、それでもマイノリティのテストの点数が低いという調査結果があります。 #JusticeJP

2010-08-06 04:19:15
ことりちゃん @keikougyo

社会的背景を考慮すれば、マイノリティが白人と同じ点数をとることには意味がある。それは大学の選抜基準とも矛盾しないのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:19:27
ことりちゃん @keikougyo

次に、過去の過ちを補償する目的。これはマイノリティへの差別の歴史を埋め合わせしようとするものです。しかし、補償を受けるのも責任を負うのも現在の人間であり、過去の過ちとは関係がないという反論が出てきます。 #JusticeJP

2010-08-06 04:19:38
ことりちゃん @keikougyo

実際にアファーマティブ・アクションで優遇されるのは貧困層ではなく中流階級のマイノリティが多いのです。だから優遇措置は人種ではなく階級を基準にすべきだという批判もあります。 #JusticeJP

2010-08-06 04:19:48
ことりちゃん @keikougyo

過去の過ちの補償というのは共同責任という概念からきていて、社会の道徳的義務がどのように発生するかを知る必要があります。#JusticeJP

2010-08-06 04:19:57
ことりちゃん @keikougyo

最後に、多様性の促進という目的。これは大学には様々な人種がいた方が社会的に望ましいという考え方です。大学は『成績とテストの点数のみが入学の基準だったことは一度もない』と言っています。この辺は日本とは違いますね。 #JusticeJP

2010-08-06 04:20:15
ことりちゃん @keikougyo

この多様性を理由にした場合の反論は2つあります。1つめはアファーマティブ・アクションを実施しても社会の多元性は高まらない、むしろ人種偏見や不公平感が増加するのではないかというもの、2つめは『本人の落ち度ではない理由で』白人を不利な立場に置くというものです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:20:25
ことりちゃん @keikougyo

2つめに対する反論(反論に対する反論)は、入学選考基準というのは元々『受験者の力が及ばない要素を含んでいる』ので誰の権利も侵害していないというものです。大学の選考基準はテストの成績だけではないのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:20:35
ことりちゃん @keikougyo

これは『入学許可は学生の能力や徳に報いるための名誉ではない』というアファーマティブ・アクション擁護論の核心をついています。大学に入学できるのは偶然大学の社会的目的と一致したからであり、学生たちの能力や努力という美徳が称賛されたからではないのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:20:43
ことりちゃん @keikougyo

もちろん大学などの機関がどんな選考基準を定めてもいいという訳ではありません。公平で偏見や侮辱を含まないものでなければなりません。その上で、どの能力が高く評価されるかは大学の使命によって決まります。 #JusticeJP

2010-08-06 04:20:54
ことりちゃん @keikougyo

だから、場合によっては公営住宅の例のように多様性の観点から白人が優遇されることもあるのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:21:02
ことりちゃん @keikougyo

これは『分配の正義のよりどころを道徳的功績に求めない』から可能なのです。しかし、『成功は徳への見返りである』という根強い思い込みは、それを疑問に感じて否定しようとします。正義を道徳的功績から切り離すことは難しいのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:21:16
ことりちゃん @keikougyo

ここでテレビで取り上げられていた合格通知・不合格通知が本に登場します。実際にはこのように大変正直な文面が送られてくることはありません。それは大学自体が合格に何らかの美徳を称えるという気持ちを加えたいからではないでしょうか。 #JusticeJP

2010-08-06 04:22:16
ことりちゃん @keikougyo

大学は使命を好き勝手に決めていいのかどうかについて、人種差別問題以外にもう1つの論争があります。「卒業生優遇」措置です。これは校風を培う目的と、卒業生である親からの寄付を期待する目的があります。 #JusticeJP

2010-08-06 04:22:26
ことりちゃん @keikougyo

後者の目的のためなら、大学は入学許可を競売にかけることでも可能なはずです。しかし、大学の目的とは教育と研究を通じて共通善に貢献すること。研究資金を確保することが入試選考に影響を及ぼし過ぎると大学は存在意義から大きく外れてしまいます。 #JusticeJP

2010-08-06 04:22:39
ことりちゃん @keikougyo

入学合否の判断における正義は大学が追求すべき善と関係している故に、正義と権利の問題を名誉と徳の問題から切り離すことは難しくなります。大学が授与する学位は、実はすべてが大学が奨励する徳を実践した人物に与えられる「名誉学位」なのです。 #JusticeJP

2010-08-06 04:22:48
ことりちゃん @keikougyo

正義を名誉や徳、そして善と結びつけるのは避けたいと思うかもしれません。カントとロールズの哲学のように中立的な立場から正義のよりどころを見つけようとするのは大胆な試みです。そして、サンデル先生もおそらく同じことに挑戦しようとしています。以上です。 #JusticeJP

2010-08-06 04:22:58