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喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
さて、漫画家さんを多くフォローしてるので、竹熊さんに対する直接・間接の反論や疑義がかなり多いなぁ。Togetterにまとめられた数倍の量がありそう。編集の立場からすれば、才能あっても闘志がない人間は才能がないも同然。無能な編集が闘志も才能もある作家を潰す方がもっと問題。
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今でも、自分のせいでせっかくの才能を埋れさせた、夢を諦めさせたのではないかと思う事は多い。編集の生涯打率は、名編集でも2割そこそこ、8割は失敗するもの。ところが、どんな無能な編集でも打率0はない。故に、20年も続けていれば2本ぐらいは自慢できるヒット作を持っていたりする。
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でもそれ、あんたの手柄じゃないから。週刊誌だとシステムが違うから一概に言えないけれど、例えば月刊誌だと少人数でやってると少ないやつでも年間2本、多いと4本ぐらいの新連載立ち上げに関わる。20年もやってれば40~80本の作品を立ち上げるわけで、有能なら8~16本の大小ヒット作が。
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でも、優秀な人間ほど、そのヒットは作家の力が大きくて、自分は添え物という自覚、むしろ自分が担当でなければもっとヒットしたんじゃないかという疑問を抱えている訳で…。ところがダメ編集ほど、多くて3本少なくて1本ほどのヒット作を、自分の手柄のように言い募る。そういう人間が多数派。
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あ、念のために書いておくと、小ヒットが単行本5巻以上か1巻の累計部数が2万部、中ヒットが10巻以上か5万部以上、ヒットが10万部以上、大ヒットが30万部というのが、自分の大まかな目安。まずは新人が超えるのが大変なシリーズコードが取れる5巻の壁と他社に持ち込んであしらわれない数字。
喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
そこの壁を超えると10巻の壁と5万部の壁がくる。作品は5巻ぐらいまでの内容が面白いと12巻ぐらいまではそのレベルをある程度持続できる。逆説的に、3巻ぐらいがピークの作品は10巻を超える前に燃え尽きる。あと、マニア層に受けると8万部ぐらいまではスルスル行っても、そこから壁がくる。
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後は、いろんな作品の累計発行部数の実数(社外秘)を見て、あのヒット作でも1巻の累計部数は100万部を超えていないのかとか、熱狂的なファンを生んだヒット作でも30万部かとか、意外な数字が並んでいた事。いろいろと勘案すると、30万部が「誰でも知ってる」レベルのヒット作の境界線かと。
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ちょうどその頃、新聞につげ義春先生のねじ式の累計部数が30万部と出ており、日本の人口とか考えると30万部というのがメジャーとマイナーの境界線かなと思った次第。もちろん、アレから状況はずいぶん変わってるけれど、90年代以前にデビューされた方には、割と納得して頂けるかな?
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話が脇道にそれ過ぎたなぁ。編集時代、自分のせいでヒットに結びつかなかったと思う作品はいっぱいあるし、同時に周囲の編集が全員反対したけれど小ヒットや中ヒットになった作品も多少ある。でも、それらはまだ読者の信を問えただけマシで、編集長に潰された作品はもっと多い訳で。
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例えば、編集長にすごく評価されてデビューした作家が、人事異動で編集長が交代し、その作家を全く評価しない新編集長に、アッサリ切られるなんて事もあった。その作家は漫画家としては筆を折ったけれど、働きながらなんとか時間が取れる小説の方で頑張って数年後に再デビューし、十年以上続いている。
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小説家としてファンがつくぐらいだからストーリーテリングもキャラも立てられる。緻密な画風は漫画家仲間からも一目置かれたのに、無能な編集長は発表の場を奪っただけでなく「キミには才能がない」と、心の折れる一言を言い放った訳で。ちなみにこの編集長、その後10冊を超える漫画誌を廃刊に…。
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なんでそんな無能な人間がのうのうと編集著続けられたかと言えば、出版業界は30年ほど前は組合運動が激しく労使の対立が激しかったから。ここら辺の事情は西村繁男氏の本にも業界の状況が描かれているけれど。で、組合脱退をエサに出世した人間も、いろんな出版社でいた。彼はそんな一人。
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なので竹熊さんが持つ危機感の一部は、自分も共有できる。が、異論もある。団鬼六先生の名作『真剣師 小池重明』の解説で、大沢在昌さんが、自分はこうやって小説家としてなんとか食えてるけれど、近所の八百屋のオジさんもちょっとした出会いで、国民的作家と呼ばれていたんじゃないか…と。
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大沢さんも直木賞をもらったけれど、売れるまでは永遠の初版作家と揶揄され、何度も筆を折ろうと思ったわけで、自分に惚れ込んだ編集の励ましがあってここまでこれたという実感があるからこそ、自分がここにいるのは運が大きく、その運が別の人に向いたら…という思いを持つのだろう。
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コレは、多くの生き残った作家なら、ほとんど感じる部分だとも思う。だが大沢さんは『真剣師 小池重明』を読み、どんな障害があろうとも、結局は人間はその人間に見あった生き方しかできないのではないか、という考えを持ったようだ。それ程に、小池重明の人生はドラマティックで運命的。
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何しろ、終盤の粘りが小池重明に似てると評される事がある羽生善治は、小池重明最後の公式戦の棋譜を小学生の時に記録する係をやっていたのだから。自分は運命論者ではないけれど、偶然の中の必然を感じる事は多い。いしかわじゅん先生がいうように、描きたい物がある人間が、けっきょくは残る。
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小池重明には将棋の才能はあった、ひょっとしたら将棋の歴史の中でも稀有な天才だったかもしれない。でも彼は女や酒や金にだらしなく、たぶん何を捨てても将棋だけは捨てられないという人間ではなかったのかもしれない。運命を分けたのは、将棋よりちょっとだけ女の方が好きだった、それだけかも。
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竹熊さんへの共感と疑問の両方は、たぶんそこなんだろうと思う。無能な編集長に漫画家の道を閉ざされた才能も、今の小説のファンからすれば、幸運だったと思えるのかもしれない。もし本人に絵で表現する事の情熱がまだ残っているなら、いつか新作を描くかもしれないし。自分の慚愧の念とは別の部分で。
喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
ケビン・コスナーがベテラン沿岸警備隊員を演じた映画『守護神』では、救助に成功した数ではなく、失敗して助けられなかった数を覚えているように。野球のストッパーが救援失敗した配球だけを覚えてるように。人は後悔の方をより強く覚えてるもの。成功例を声高にいう編集には気をつけた方がいい。
喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
自分は運命論者ではないので、世に出られなかった作品や才能のためにマヴォを開設した竹熊さんの姿勢には大いに共感する。自分には無理な試みだから。代わりに『ぽけまん』で微力ながら手伝わせて頂いてる。中学時代に表現者は無理と思った自分が20年後にデビューできちゃったりするのが人生だから。
喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
『SRサイタマノラッパー』が素晴らしいのは、何もかも削られた主人公が、最後に残った…というか捨てられなかったのがラップだった、という点を描き切ってる事かな。三冠王2回の最後の4割バッターのテッド・ウィリアムズは、野球より釣りが好きだったのでアッサリ引退。才能の価値は人それぞれ。
@kane_hira
@mogura2001 確かに…漫画を作品として一歩引いたところからしか見られないマイナス要素が転じたラッキーパンチだとは思っています。描いてて楽しかったですし。
喜多野土竜『通潤橋物語』発売中 @mogura2001
@kane_hira 自分も最近、タイムリープできる才能が開発されないかと思案中です。まぁ、真面目な話をするとエロ漫の星で、別の才能が花開いた気はしますよ。あれはサブロウ先生も本庄先生も、描けない作品ですから。
ペキにーず @weeXIX
@mogura2001 編集者それぞれでセンスや感性の違いがあるんでどう転ぶかは仕方ないですがしかし作家というかカタギの商売でも受け持った組織の人員(作家)を全力で面倒を見るという責任を持たない上司(編集)みたいなのが多いのは昨今の情勢を感じるのは気のせいでしょうか・・・
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@weeXIX たぶん、社員ではなくただの下請けだからでしょうね、作家は。個人事業主ですから、当然。会社も大きくなると人事異動で積み上げたものがリセットされますから、勢い目先の成果主義に。けっきょく、責任感を持つには一国一城の主になるしかない訳で、その点でマヴォは筋が通ってます。
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コメント

菊池健 @t_kikuchi 2012年11月11日
@mogura2001 「運か、それとも漫画誌編集者の才能か?:http://togetter.com/li/405457」拝読。マンガ業界の変わり目に来て、普遍的なものと変化せざる得ないものの取捨が難しい昨今。多様な価値観が許容されたら良いなとは思いました。
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