#skrdsn こたつ編

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CK/旧七式敢行💉×3 🌳🏇 @CK_Ariaze

「桜田さん? ちょっと手伝って欲しいんだけど」 「はい、どうしました?」 台所で洗い物を終えた桜田さんを呼び止める。 「ちょっと手伝ってくれるかな?」 「はい、大丈夫ですよ」 桜田さんは腕に残った水滴をエプロンで拭った。 「こっち来てくれる?」

2012-11-11 22:00:34
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「何をするのか言ってくれれれば私がやっておきますよ?」 「いや、ちょっと力がいるからね」 「そうですか……」 桜田さんはちょっとだけ寂しそうな表情を浮かべる。 「押入れの中に入ってるベージュ色の布団があるでしょ」

2012-11-11 22:02:09
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「あのお布団ですか。大きさも半端なので何に使うのかよくわからないのでそのままにしておいたんですけど」 「あぁーもしかして見たことないのかな」 「うーん、ちょっとわからないです」 桜田さんは可愛らしく小首を傾げた。 「あれね、こたつ布団なんだ」

2012-11-11 22:04:45
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「なるほど、それで四角いんですね」 疑問が解けたのか、桜田さんはぽんと右手を左手に打ちつける。 「そういうこと。だいぶ寒くなってきたし。それに、その格好だと足が冷えるでしょ?」 桜田さんのメイド服は結構厚手だが、下がスカートなのでこれからの時期は足元が冷えてしまいそうだ。

2012-11-11 22:06:06
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「うーん……ストッキングは履いてるんですけど朝とかはやっぱり寒いです」 「でしょ? 足を冷やすと太くなっちゃうらしいし」 いつか昼間に見た美容番組でそんなことを言っていたような気がする。 「大根足は嫌……です」

2012-11-11 22:07:19
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「……というわけでこたつ出すから手伝ってね」「はい」 押し入れを開け、ちょっとこもった臭いに顔をしかめつつ夏物のタオルケットを桜田さんに渡す 「よっと」「ちょっと埃っぽいですね。ベランダで埃払ってきます」 桜田さんはこたつ布団を抱えてベランダの方に歩いていく「お、ありがと」

2012-11-11 22:10:16
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僕はタオルケットを押入れに戻しながら桜田さんの背中を見送った。 「よい……しょっと」 普段使っているテーブルの天板を外す。使うのは久々なのでこっちも掃除しておかないといけない。 洗面所に行って雑巾を絞り、スキマに詰まった埃をとっていく。 「うわ、真っ黒じゃないか」

2012-11-11 22:11:40
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普段食事をとっているテーブルの下にこんな大量の埃が溜まっていたのかと思うとゾッとした。 「ご主人さまー、埃とって来ましたよ」 ちょうど洗面所から戻ってきたタイミングで、桜田さんがこたつ布団を抱えて戻ってきた。 「ご主人さま、これは真ん中に置けばいいんですか?」

2012-11-11 22:14:30
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「うん、それをのせたら僕が天板を乗っけるから」 「はーい」 桜田さんはぱっとこたつ布団をひろげてこたつの上にのせる。鮮やかな手さばきだ。 「天板を乗せるから下がってて」 「一人で大丈夫ですか?」 「大丈夫だって」

2012-11-11 22:15:59
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心配そうな桜田さんの前でどすん、と重い音とともに天板はこたつ布団の上に着地した。 「これがこたつなんですか……へぇ……」 桜田さんは興味深そうにこたつ布団をめくったり中を覗いたりしている。 「今電源コードを持ってくるからちょっと待っててね」

2012-11-11 22:20:00
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たしか掃除機の収まった棚の中にこたつ用の電源コードを置いておいたはずだ。 「あれ? おかしいな」 以前置いておいた場所にコードはなく、はたきが吊るされている。 「すいません、棚を整理した時に他の場所に移したって言うの忘れてました」 桜田さんが僕に赤と白の太いコードを手渡す

2012-11-11 22:22:10
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「桜田さんはしっかりしてるなぁ」 僕はそんなところまできっちりやってくれる桜田さんにちょっと感動した。 きっと彼女のことだから、きちんと分野別に分けているのだろう。

2012-11-11 22:22:43
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「じゃ、スイッチ入れるよ」「はい!」 コードをコンセントに繋ぎ、スイッチを入れる。 桜田さんは僕の向かい側でこたつに足を突っ込み、期待に満ちた表情でこちらも見つめている。 ――こたつってそんな凄いものだったか? 妙なプレッシャーに思わず苦笑しながら、僕はスイッチを入れた。

2012-11-11 22:24:20
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わぁ、あったかい……」 桜田さんは目を輝かせる。もしかしてこたつって羽根つきには馴染みが薄いのだろうか。 僕もこたつに足を入れ……足先がなにか柔らかいものに触れた。 「きゃあっ!?」 桜田さんが文字通り飛び上がる。翼が大きく広がり、小羽が何枚か抜けた。

2012-11-11 22:25:45
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どうやら桜田さんの内ももを撫でる感じで足を入れてしまったらしい。 「ご、ごめ……」 「ひゃあっ!」 慌てて足をどけようとするが、お互い同じ方向に足を動かすのでそのたびにお互いの内ももをなぞってしまう 「うぅ、ご主人さまもしかしてわざとやってませんか?」 「誤解だって!」

2012-11-11 22:28:21
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疑念に満ちた目でこっちを見つめる桜田さんにあわてて釈明する。 「ならいいんですけど」 そう言って桜田さんはそっぽを向く 「……みかん」「え?」 唐突に彼女の口から出てきた単語に耳を疑う 「みかん買ってきてください、ご主人さま。そしたら許してあげます」「買ってこないと?」

2012-11-11 22:31:15
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なんとなくどうなるかは分かる。 「晩ご飯抜きです」 「……買ってくる」 暖かなこたつから出ると、余計に冷たい空気が足に染みた。 「あ、ネギもないのでお願いしますね!」 背中にかけられたのはいつもの『いってらっしゃい』ではなかった。

2012-11-11 22:33:21
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「うぅーさみぃ。ただいま……あれ」 震える手でドアを閉め、カギをかける。いつもならすぐに桜田さんが『おかえりなさい』と迎えてくれるのだが……。 「桜田さん?」 呼びかけにも返事はない。 「なんだ、そういうことか」

2012-11-11 22:36:23
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居間では、こたつに突っ伏した桜田さんが穏やかな寝息をたてながら眠っていた。 「桜田さん、桜田さん」「んうぅー?」 肩を揺するが反応はない。随分ぐっすりと眠っているようだ 「みかん、買ってきたけど」「みかん~? ……くぅ」 やはり起きる気配はない。ちょっといたずらしてやるか

2012-11-11 22:37:45
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「ん、ひゃぁ……」 「起きろー、起きろ―」 なんだか寝こみを襲っているみたいでちょっと後ろめたいものがあるのでさっさと目を覚まして欲しい。 と、桜田さんの翼がぴくっと震えた。

2012-11-11 22:39:58
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「桜田さん? 起きないといたずらするよ?」一応やる前に耳元でささやくが、気持ちよさそうな寝息が返ってくるばかり 「じゃあ、こうしてやる」 彼女の後ろに回り、ゆるやかに広がった羽の付け根の布地をめくり指を入れる 「んん、うぅー?」 ゆっくりと指を羽の付け根にそって滑らせる。

2012-11-11 22:39:58
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「い、いやぁあああああああ!」 「あばぁっ!?」 本能的な防衛反応だろうか、彼女の翼は僕の右頬を思いっきり叩いた。 体重……少なくとも50キロ以上はあるであろう桜田さんの体を支える翼の一撃はものすごく痛かった。 なんだか、今日はこんなことの連続な気がする。

2012-11-11 22:43:36
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「ごめんなさいご主人さま!」 「いや、いいよイタズラしたの僕だし」 土下座する桜田さんをなだめて立ち上がらせる。 「いたかったですよね……?」 桜田さんは目の端に涙まで浮かべている。 「すっごく痛かった。まだズキズキする」「う、うぅ……い、痛いの痛いの、飛んでけーっ!」

2012-11-11 22:46:32
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桜田さんは僕の右の頬に手を当て、明後日の方向に投げる真似をした。 普段はあんなにしっかりしているのに、こういう時はあどけなさが出る彼女が可愛らしくて我慢ならない。 「ご主人さま!?」 ぎゅっと桜田さんを抱きしめると、彼女の首筋がさっと色づいた。

2012-11-11 22:48:47