「福島人権宣言」についての、ある福島県人の思い
「福島人権宣言」というものを見たのは五月頃だったと思う。見た途端に生じたのは当然拒否感であり嫌悪感だった。当時私はこのアカウントを消していたから何も言わなかったけど。それは私のTL上ですでに書き尽くされた感情に似たものだから、もうわざわざ私が触れるまでの事もない。
2012-11-15 03:01:38宣言それそのものはまだいいだろう。私は震災以降も気にせず深呼吸もしているし、子供もその辺で笑っているし、文中に書かれた光景とは違った場所で生きているのだなとは思ったものの、この文章を支持しているのは福島の出身者であり、また県内にも支持者がいる以上、全てを否定はできない。
2012-11-15 03:03:44けれども、どうしても受け入れ難かったのは、その終盤にかけてだ。「返して下さい」に始まる、「~して下さい」の連続。誰にそれを求めているのか。元の福島に戻せと言うのは、震災前に時間を巻き戻せと言っているようなものだ。原因が何であれ、起こった事実は覆せない。それは誰にも。
2012-11-15 03:06:19震災も、事故も理不尽な悲劇だった。しかし起こってしまった事だ。何もなかった事にしろなどと、無い物強請りもいいところだ。それをもしも私が福島に住む人間の一人として望んでいると思われたなら、それは惨めだ。自分で立ち上がろうとする前に駄々をこねろと求められるなんて、惨めでしかない。
2012-11-15 03:10:39人権宣言とは、人が人であるために宣言するものと思っていた。人間には矜持がある。その矜持を守るために人権が保持されるのではないか。矜持とは己で立ってこそ持ち得るものではないか。その立ち上がるための助けを求めるならともかく、立ち上がりたいと言う前から欲求だけを叫ぶのが人権宣言なのか。
2012-11-15 03:15:30他の人がどう感じるかは分からない。しかし私は賛同したくない。私は私の矜持を持っていたい。誰かに何かを求める前に、この状況をどうにかしようと、自分の力で立ち上がろうとした人たちを私は知っている。その前でこの宣言のような事を言うのは、あまりにも彼らに対して恥ずかしい。
2012-11-15 03:22:05矜持を損なわれる事が屈辱であるなら、このような宣言を己の想いと取られる事こそが屈辱だ。そう、あの時最初に、見損なうなと心の中で叫んだのだ。
2012-11-15 03:28:14とはいえ、現実に何もかもを跳ね除け、前を向いて進んでいるのかと言えばそうではない。愚痴も言えば弱音も吐く。あの地震と事故さえなければと願わないはずがない。私はそこまで強い人間ではない。それでも、あの文章に抱いたのは共感ではなく、情けなさと、悔しさだった。
2012-11-15 03:31:20誰かに何かを求めてばかりいる人間だと思われるなど御免だ。何も役に立つ事など出来てない私だけど、そんなふうに見られるのだけは嫌だ。だから私は、私個人は、あの宣言を拒否する。
2012-11-15 03:37:30ただ、あの宣言を広めたいと強く望む県内の人間がいるのも事実だ。その中の一人のツイッターの言葉を見ると、彼らには彼らなりの言い分があるのだと感じた。あの文章は監修している弁護士が書いたものらしいので、文体への違和感もあるのだろう。それを支持する人間を否定しようとは思わない。
2012-11-15 03:40:42福島以外の人間が書いたから、という意見もあったが、「福島の人間」という定義はどこにあるのか、それも最近は考える。今住んでいる者だけが福島の人間としての発言を許されるのかと言えばそうではないのではないか。逆に今ここにいても、福島の血を感じない発言をする人もいる、と私は感じる。
2012-11-15 03:44:13私はあの宣言に一切の共感を抱かない立場だけれど、それを県内に住む人間の総意だなどとはとても言えない。でも、私に近い感情を持つ人も真逆の立場であっても、似た思いを共有する立場にいると、どうしてもそこに自動的に「我々」や「私たち」という主語を使ってしまう傾向はないだろうか。
2012-11-15 03:49:59もしも私の意見に共感してくれる人がいたら、そういう人こそ考えてみて欲しい。無意識に「我々」を自分たちに引き寄せてはいないか。人間、完全に公平な視点を保つなど、私は無理だと思っている。しかし、その偏りを自覚する事くらいはできるだろう。それに気づかないままでいるのは、危険だと思う。
2012-11-15 03:53:05意見が分かれ、偏る。どうしても共感を求めて人は繋がって行く。ネット上では顕著にその塊ができて、隔てられてゆく。それが福島に住んでいる人間、住んでいた人間、また戻ってこようとする人間であった場合、周囲が応援のつもりで違った意見を攻撃するのは、その分裂をひどくする一方だとも思う。
2012-11-15 03:59:49これから、避難先や移住先から、福島に戻る人は増えて行く。戻りたくて戻る人もいれば、経済的事情などで否応なく戻る人もいるだろう。それこそ、ここに暮らす人間こそが、彼らと身近に接して行くのだ。本当にこれからが、対立ではない方向を見つけていかなければ行けない時期だと思う。
2012-11-15 04:05:40そう簡単に感情の折り合いなどつかないからこそ。求めるものが違うからこそ。福島に住む人間を応援したいと思って下さる人たちに、その違いを煽らない方向を模索して欲しい、と私は願っている。
2012-11-15 04:08:33@ac8111 まー最後はそんなふうに諦めちゃいますよね。言ってもしゃあんめ、っていう。ただ福島に住む、戻ってくる人の間では、なかなかそうは行かないのが問題だとも思います。
2012-11-15 04:18:44@hopetrue 誰かを庇いたいと思う時に、相手への怒りも共感しようとするからかもしれません。だから反撃も攻撃になる。また、怒りへの同調を求める傾向は、私にもあると思っています。
2012-11-15 04:20:40