村上隆さんによる、アニメ「母を訪ねて三千里」論

高畑勲監督のTVアニメ「母を訪ねて三千里」を通して、村上隆さんがアニメーションと芸術への熱い思いを語っていたので、まとめておきます。
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takashi murakami @takashipom

宮崎駿信者と言って憚らないが、その理由は日本のアニメーション文化を芸術にまで仕上げていった、その葛藤の歴史を追って行く事で、様々な戦後日本の歪みが発見可能であるのと、そんな大志をもって創造し大成したにも関わらず、

2010-08-09 13:11:49
takashi murakami @takashipom

彼らの作品を見た子供達は覚醒していないという悲劇をも併せ持つ生き証人の生き様に、人生の大きな哀しさと芸術の不可能性の悲劇を見て取れるからだ。

2010-08-09 13:13:12
takashi murakami @takashipom

しかし、芸術家は作品を造る事しか、それしか出来ない。それを体現している彼を見つめる事で、今、ここで起こっている私の小さな悲劇等、鼻糞のようなもんだ、と、諦められ、現場にすごすごと戻って行ける小さな勇気をもらえるから。それが私の心の宮崎駿への勝手な信心なのです。

2010-08-09 13:14:24
takashi murakami @takashipom

「母を訪ねて三千里」ネタ。サンイシドロ地区のパブロ・ガルシアとフアナ。そしてチキチータ。貧困の極地が呼び込む人権無視と病理の巣窟を見て、マルコは両親の無謀な計画(慈善医療施設の開設の為に母親がイタリアからアルゼンチンに出稼ぎに出る)への深い理解と自信の将来、医者になる決意をする。

2010-08-10 08:19:35
takashi murakami @takashipom

どうして高畑勳は子供向けのアニメであそこまで人間の本質を1年間にも渡って描ききろうとしたのだろうか。「太陽の王子ホルスの大冒険」での労働闘争、自由への解放運動を描き脱臼した部分を見事に骨接ぎし、「母を〜」でアニメによる人間社会の宿痾を描ききった。これを芸術と言わずして何が芸術か?

2010-08-10 08:22:51
takashi murakami @takashipom

パブロの囮となるシーンは何度見ても泣ける。

2010-08-10 08:24:47
takashi murakami @takashipom

友情ってなんなんだろう。

2010-08-10 08:25:01
takashi murakami @takashipom

人の裏切りってなんだろう。

2010-08-10 08:26:08
takashi murakami @takashipom

強烈すぎる信念で高畑以下、宮崎、小田部、篠原、他スタッフが血反吐を吐いて匍匐前進するアニメは今はそれほど見直されているとは言えない。あれこそが日本の戦後アニメのターニングポイントなのだ!(あの!「銀河鉄道999」のレイアウトのパクリも散見出来る)

2010-08-10 08:28:26
takashi murakami @takashipom

美術の椋尾篁も天才!「母を〜」の制作体制が持っていた狂気なのか、スタッフの才能は極限以上に引っ張りだされている。TVアニメという場でしか表現の場が無かった当時の劣悪な環境をスタッフは呪っていたと思うが、だからこそ、マルコ、そして差別され続ける人間達をあそこまで描けたのだろう。

2010-08-10 08:32:45
takashi murakami @takashipom

芸術の創作現場の現実。恵まれた環境=良い作品の排出、では無い事の実例だろう。とにかく、30歳〜40歳代の油の乗り切った時間の血反吐の濃さで傑作の出来るか否かが決まるのだ。自戒。

2010-08-10 08:35:31
takashi murakami @takashipom

http://ja.wikipedia.org/wiki/母をたずねて三千里 /このウィキみても分からないと思うが、アニメを見てこのウィキ見ると泣ける。

2010-08-10 08:37:11
takashi murakami @takashipom

集団での作品制作に対する無理解が私の周りにはびこっている。「自分で描いてないんでしょ」「奴隷のように若いもんを使って、、、」「詭弁で人は騙せない」とかなんとか。そういう人々よ。君たちは本当の芸術の実態を知らなすぎる。多くの人間をまとめ、バラバラになりそうな気持ちを引き継ぎ、、、

2010-08-10 08:40:41
takashi murakami @takashipom

最低な気持ちの人間関係をも乗り越えるための作品制作への必然を心に問えるか否か。その解答を歪ませ練り込み引きちぎって現場に与え直し、作品制作スタッフ全員に行き届かせれる技術と精神力と執念が、現場の憤りを超えれるか否かにかかっている。そういう現場でしか、真の芸術は生まれ得ないのだ。

2010-08-10 08:44:08
takashi murakami @takashipom

「母を訪ねて三千里」にはそう言った怨念が宿っており、何度見ても万感が胸に押し寄せる。

2010-08-10 08:46:00
takashi murakami @takashipom

作品造りは怨念の具現化である、と、私は個人的に思っている。それでしか時代を超えて人間に届くメッセージ等できないではないか!という叫びをしらっと聞き流す現場にたって、無駄に雄叫び続ける事でしか、怨念を固着させれないのだ。

2010-08-10 08:48:52