茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第783回「批評性こそが、芸術の本質であること

脳科学者・茂木健一郎さんの11月22日の連続ツイート。 本日は、「芸術系」ツイートです。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-11-22 05:00:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第783回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、「芸術系」ツイートです。

2012-11-22 06:45:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(1)日本を元気にするにはどうすれば良いのだろう。いろいろ考える中で、芸術は一つのヒントだと思う。現代の芸術のあり方についてのリテラシーが、日本人の中に肉体化されたら。それは一つの福音になるし、一人ひとりが、この世界を見る上での、大いなる助けになることだろう。

2012-11-22 06:46:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(2)現代美術(contemporary art)を理解する上での、もっとも大切な鍵の一つは「批評性」である。それは必ずしも小難しい理屈ではない。世界との向き合い方において、あるひりひりするような感覚。社会のタブーや、隠されたものへの、切り結び方の角度である。

2012-11-22 06:48:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(3)たとえば、アメリカのアーティストAndres Serranoによる、Piss Christという作品。作家自身のおしっこの中に、十字架かにかけられたキリスト像がつけ込まれている。 1987年、現代美術の賞を受けた。 http://t.co/LueFQO2u

2012-11-22 06:51:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(4)学級委員的な感性からすれば、Piss Christはとんでもない作品、ということになるだろう。しかし、学級委員と現代美術は関係ない。Piss Christは、何よりも美しい。そして、作品の成り立ちを考えれば、そこには、キリストという存在の本質が顕れていることがわかる。

2012-11-22 06:52:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(5)キリストを包む作家のおしっこは、私たちがキリストにしたことの象徴である。また、十字架にかけられ殺されれば、死に行く人は失禁してしまうだろう。十字架の上のキリストは、実際、おしっこまみれになっていたかもしれない。その温もりが、やがて冷えていってしまっただろう。

2012-11-22 06:53:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(6)すぐれた美術の作品は、ある事柄についてのタブーの中心へと、まっすぐにつっこんでいく。良識派のひんしゅくは、社会の安定を表面的に保つためには良いペースメーカーかもしれないが、私たちの感性を揺るがすすぐれた作品のベースとはならない。それが美術教育のファースト・メッセージ。

2012-11-22 06:55:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(7)現代美術は、それを見る人の感性を映す。Chim↑Pomは、広島上空に「ピカッ」と飛行機雲で書いた。抗議したり、「お騒がせもの」と切り捨てる人には、現代美術の福音は届かない。考え、探るきっかけを与えるのが、現代美術なのだから。http://t.co/BPvZlUDZ

2012-11-22 06:59:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(8)Chim↑Pomが、渋谷駅にある岡本太郎さんの『明日の神話』に福島第一原発の爆発の絵を付け加えた時の、マスメディアの反応も残念だった。社会に、現代美術のリテラシーが共有されていないのである。気づくことで、日本は随分変わるのに。http://t.co/rXvKGhEH

2012-11-22 07:02:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひげ(9)批評性こそが芸術の本質であることを理解すること。それだけで、日本は良くなると思う。できれば小学校の図画工作の教育から変えたい。子ども向けの、そんな「教科書」をつくろうかな。批評性の欠如が、日本のメディアのかっこ悪さの本質であり、日本の停滞の要因でもある。

2012-11-22 07:04:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第783回「批評性こそが、芸術の本質であること」でした。

2012-11-22 07:04:59