四一郎先生の数学つぶやきまとめ

われらが四一郎先生の数学つぶやきです。きっとどこかの誰かが必要としてる、そんな大事なつぶやきだなと思ったのでまとめました。
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四一郎 @yon_ichiro

数学の問題(中学生や高校生や受験生が出題されるような、出題者が答えの存在を確認してから出題しているもの)ができるというのは、さまざまな数学の能力の表れではあるけれど、あくまで表れでしかないので、あまり大きな意味は持たせたくない。のだが。

2012-11-22 00:38:23
四一郎 @yon_ichiro

ここで、自分が数学のうちどんなことが大切だと思っているか、簡潔に書ければいいのだが、しばらく考えたが脳内大混乱。「一概には言えない」と「結局全部だね」の間を高速往復中。

2012-11-22 00:54:50
四一郎 @yon_ichiro

いわゆる「よくある問題」とか「入試に頻出のパターン」とかの中には、ああ元々は初学者が新しい概念に慣れるために作ったんだろうな大した数学的意味ないもんなそれが長い間孫引きされている間にさも大事な問題みたいになっちゃって、みたいなのが多い。それを数学だと思われるとちょっと辛い。

2012-11-22 00:59:06
四一郎 @yon_ichiro

でも、きちんと数学わかっている人は、大学入試問題程度なら確実に解くんだよな。時間はかかるかもしれない(急ぐモチベーションがないし、そもそもすごい人ほどいろいろあれこれ考えるから)し、ぶつぶつ文句はいいながらかもしれないし、そもそも一瞥全解で興味を失うかもしれないけど、でも解ける。

2012-11-22 01:26:35
四一郎 @yon_ichiro

今日もよくわからなかった。まあいいや、寝てしまえ。

2012-11-22 01:27:41
四一郎 @yon_ichiro

(1)二日前、「何が数学か?」的なことを考え出してツイートして、しかし今回もよくわからず寝てしまった。具体例があったほうが考えやすいのかもしれない。それで、最近私を含む何人かで作った問題を題材にしてみようと思う。特に『問題』にこだわりたいわけではないけど、まあ、わかりやすいので。

2012-11-23 23:54:40
四一郎 @yon_ichiro

(2)「不等式 -300≦x^2-40x≦240 を満たす整数 x の個数と総和を求めよ。」高校一年生くらいの知識で解決できる。難しいところも特にない。2次不等式が解ければいいし、そうでなくても2次関数のグラフがかければ大丈夫だし、徒手空拳でも懸命に説明していけるかもしれない。

2012-11-23 23:57:25
四一郎 @yon_ichiro

(3)どうにでも解きようのある問題ではあるが、私たちとしては、次のようにすっきり解決できるから作ったのだった。与えられた不等式を(A)とする。(A)は 100≦(x-20)^2≦640 と論理的に同値。10^2=100, 25^2≦640≦26^2 だから、(続く)

2012-11-24 00:00:19
四一郎 @yon_ichiro

(4)x を整数値とする前提では(A)は 10≦|x-20|≦25 と同値。つまり x-20 が ±10, ±11, ..., ±25 のどれかと等しいことと同値。というわけで、不等式(A)を満たす整数 x の個数は32個。そしてそのとき、(続く)

2012-11-24 00:03:49
四一郎 @yon_ichiro

(5)x-20 たちの総和は明らかに 0 だ。従って x たちの総和は、0+20×32=640。

2012-11-24 00:04:56
四一郎 @yon_ichiro

(6)x^2-40x を (x-20)^2-400 に書き換える技術を「平方完成」という。つまり、この問題をエレガント(実はあまり好きな言葉ではない……)に解くには、平方完成することを『思いつけば』いい、と言われそうなところだが、私に言わせれば、それは思いつくようなことではない。

2012-11-24 00:07:07
四一郎 @yon_ichiro

(7)思いつくか思いつかないかで、解けるか解けないか決まるような問題は、私は好きではない(自分がそういうのを思いつけないからひがんでいるだけなんだが)。そうではなくて、数学を地道に丁寧に学んでいる者ならば、自然に何の苦労もなく発想できることで解ける問題が、好ましいと思う。

2012-11-24 00:08:42
四一郎 @yon_ichiro

(8)今の場合、平方完成という技術は、決して思いついたり思いつかなかったりするテクニックではないのである。2次式を取り扱う際には、いつでも脳内の道具箱に入っていなければいけない、いや、手に持っていなければならないくらいか。「2次式は平方完成できる」というのは、(続く)

2012-11-24 00:10:31
四一郎 @yon_ichiro

(9)数学を学んだならば必ず知っていていつでも使いこなせなければならないことなのだ。だってこれ、2次式だから特に「いつでもできる」便利なことなんだもの。3次式に「立方完成」ってないからね。3次式っていつでもa(x+b)^3 に等しいわけではない。

2012-11-24 00:15:11
四一郎 @yon_ichiro

(10)先ほどの問題は、2次不等式を解いても2次関数のグラフをかいても解決できる、とさっきツイートした。では、2次不等式の解き方(あるいは2次方程式の解の公式)とか2次関数のグラフのかき方とかを習ったとき、具体的にどういう式変形をしたか? それは、(続く)

2012-11-24 00:16:57
四一郎 @yon_ichiro

(11)たまたま見やすい因数分解がある場合を除いて、必ず、平方完成をしていたはずなんである。平方完成を知らずして、2次方程式の解の公式を理解できるはずは、本当は、ない。実際には超人的努力で丸暗記しちゃう人もいるので話はややこしいんだけど……。

2012-11-24 00:18:29
四一郎 @yon_ichiro

(12)ことほどさように、2次式にとって、平方完成という技術は基本的である。それはあまりに基本的すぎて、数学に詳しい人はたぶん技術とすら思っていない。息をするように平方完成する。2次式ax^2+bx+cは、彼らの目にはa(x+p)^2+qというものと同じものに映っている。

2012-11-24 00:20:48
四一郎 @yon_ichiro

(13)いや、いつでも2次式を平方完成して考えているわけではないよ。そのときそのときで、ax^2+bx+c と a(x+p)^2+q と、都合のいいほうを使うんです。ただ、その両者がいつでも変換可能だと思っている。千円札一枚と500円玉2枚くらいの差かなあ。

2012-11-24 00:22:10
四一郎 @yon_ichiro

(14)よく数学の本とか先生とかは、「定理や公式は結果を覚えるだけではなくて、証明や導出過程もわかってないとだめです」という。誤解されがちだが、それはたぶん道徳的見地から言っているのではない。数学者が道徳的見地なんかもっているわけがない。ええと語弊があるな、持ってても使わないよ。

2012-11-24 00:23:52
四一郎 @yon_ichiro

(15)数学者は、数学的に有用なことを大切にする。定理や公式の証明や導出過程を大切にするのは、そうすることが実際に数学でのさまざまな問題解決に有用だからだ。いま挙げている問題、2次不等式を解く(その途中2次方程式を解くのに解の公式を使う)ことでも処理できる。(続く)

2012-11-24 00:26:03
四一郎 @yon_ichiro

(16)しかしそれでは、最初から(A)を平方完成するのに比べて手間がかかる(それだけならいいけど、時間が限られているとあわてて計算間違えや数え間違えがすごく生じやすい)。実質的には平方完成を「している」にもかかわらず、それを「公式の証明のひとこま」として埋没させてしまい(つづく)

2012-11-24 00:27:42
四一郎 @yon_ichiro

(17)結局いらない手間をかけてしまう人が、実際には多い。この問題、実質的には「不等式 100≦y^2≦640 を満たす整数 y の個数と総和を求めよ。」っていう問題と同じことなんである。ばかみたいに簡単でしょう? その真のしくみを暴き出す手段は、誰もが知っているはずの平方完成。

2012-11-24 00:29:40
四一郎 @yon_ichiro

(18)いや、正直言ってそんなイキがるほどの難問じゃないんですけどね。でも作ったほうとしては、平方完成って大切なんだけどそのことわかってる? って訊きたいわけですね。2次式の本質を見るために大事なんだよって。そのあたりに、数学で何が大切か、という私の考えがあるみたい。

2012-11-24 00:32:59
四一郎 @yon_ichiro

(19)あ、平方完成の意義を言い忘れていた。いろいろあるんだけど、「動くものが2箇所にあるより1箇所になっていた方が把握しやすい」っていうことが大切。x^2-40x だと第1項も第2項も動くから全体の動きが捉えづらい。それを(x-20)^2-400 とすれば、(つづく)

2012-11-24 00:34:53
四一郎 @yon_ichiro

(20)動くのが第1項だけだからわかりやすいでしょう。実際、2次方程式 x^2-40x=240 は、(x-20)^2=640 として、「左辺がまとまりがいいから」, |x-20|=√640, と開けるわけ。2次関数 y=(x-20)^2-400 のグラフは、(つづく)

2012-11-24 00:38:30