関連まとめ
本編
「一士たらん者は、かならず過言を愼むべし。若藝者ならば、我が家藝の道には、猶更謙退して誇るべからず候」(武備和訓ニ) この後に宮本武蔵が弟子芝任と云う浪人の話となる。ある国で四百石で仕官した彼に、武藝を好む執事某とその家禮十人が門弟となった。
2012-11-23 00:43:02芝任に執事は「其奥とする所をみたし」と話す。(まぁそれもどうかと思うのだが) すると「我が藝に八人詰め云う事の候」と返す。つまり「八方より詰められても容易に切抜ける術」らしい。でまぁやってみろとなった。
2012-11-23 00:49:57面白いのはこの芝任と云う人、ただの大言壮語ではなく二刀を振るって実際に奮迅するのである。「飛蝶の如くに躍り、左右の二刀をむなしとせず、或いは潜りて圍みをぬけ、千變萬化に相鬪う」 実際この描写のままだと、見事切り抜けているといえる。
2012-11-23 00:55:15だがきっかけの部分で「今迄は師弟、是より後は寇讎(※カタキの事)たり。僅の技藝を抱へて大國に來り、吐出す言語こそ有べけれ。唯撃殺せと訇り・・・」という状態であり、とてもそれだけでは収まらなかった。ただの果し合いになってしまった。
2012-11-23 01:02:31「古語に、出一言則難追駟馬。口是禍門、舌是斬身刀、深閉口藏舌、身安而所々寧。或一藝に名ある人の歌に、『上手とは外を謗ず自慢せず、身の及ぬを恥る人なり。』」
2012-11-23 01:15:15一言口に出せば駟馬(四頭立ての馬車)でも追いつくことは出来ない。口は禍いの元で下は身を切る刀であるから、不覚口を塞いでいれば身は安心である。というような意味だろうか。
2012-11-23 01:16:52この話だと、そこまでの非が芝任にあるとはとても思えない。どちらかというと執事とその家来がとても大人気ないし、撃ち殺す気で取り囲む八人の前で「枇杷の木刀を八の字のごとくに組み、中央に立てり」と堂々と立合う様は実に勇ましく自信に満ち満ちている。
2012-11-23 01:21:43「八陣の方位のごとくに之を圍み、颯と聲をかくるとひとしく、八方一度に奮迅して打之。」まぁ囲み撃ちというのは中々難しいものだが、竹刀、木刀にせよ殺しに來る人を相手に、陣破りを披露するのは並大抵の腕前では出来ない事だろう。過言を慎めという訓話でありながら芝任の描写には称賛を感じる
2012-11-23 01:26:41わかりやすくもっと執事の正当性が主張され、芝任の傲慢さなどが出ていればすっきりする訓話なのだが、そうでない所に、却って思う所がある。 つまり悪くなくても悪者にされるという世の恐ろしさである。
2012-11-23 01:31:32もう旧字体とか使うとめちゃくちゃ時間がかかって泣けてくるので新字体で書く…。「一剣術においては、流儀の勝劣を論ずべからず候。若此優劣を争ふものは、たとえば甲冑の注意をしらずして、鎧はあながちに、弓・鉄砲・刀・鑓を防ぐものとのみおもふがごとし。
2012-11-23 01:37:48剣術は本、小武小藝にして、假令刀剣の威武をおとさじとの教なれば、己が心の信仰練磨の位によりて、勝負は心に備るべし。常に鍛錬数々するに、竹刀を用る流儀あり。木刀を用る流あり。真剣刃引を用る者あり。各々其注意ありて流儀をたつ。
2012-11-23 01:39:10たとへば刃引を用る流儀より、竹刀を用て非を責、其虚間をせゝるがごときの事は、真剣を用て勝負の時は、難成もの成といふ。それ程の事を辨へざる疎き武士も、又少なかるべければ、況や竹刀の流儀といふとも、其理をしらざる事はあるべからず。
2012-11-23 01:42:30実は五輪書は熊本の二天一流では重視されてなかった書物であったらしい。というのも、どうやらこの本は寺尾孫之允系に伝わっていたもので、寺尾求馬助系には本来なかったらしい。現在熊本にあるのは、藩外で伝わった五輪書の流出本を元にした改変テキストであるというが、まあ私はよくしらん。
2012-11-23 01:43:58又、竹刀の流儀よりは、刃引を用ては、おもふやうに打闘事ならず。若竹刀のごとく、心に任せ刀を奮ば、立所に打殺すべし。竹刀を用るすら、當處によりては絶入事も、まゝ有之。
2012-11-23 01:46:20其上少年の小腕のごとくには、真剣の刃引き用難しと、互に水かけ論に、鏡のしあひをなさば、つゞまる處、真剣の勝負を決するより外はなかるべし。」武備和訓一
2012-11-23 01:47:02これが享保ニ年(1717年)の書である。我が意を得たりというのもおこがましいほどに、手厳しい的確な文章である。 以前このような事を書いたと思うのだが、まさしくそんな事ははるか前に通った道らしい。
2012-11-23 01:51:44さらに中華の武備志の話を挟んで以下のように続く。「優劣は其人の鍛錬にありて、流儀にあらず。勝負は其人の心にありて、鍛錬によるべからず。常に心を刀剣に置て、危き事を恐れ、威武を心に備ふるを、剣術の本意とせり。本心を以て藝をつかひて、藝の為につかわるべからず。」
2012-11-23 01:57:43「一剣術何流にもせよ、最初は竹刀を用て手法を傳へ、本刀を用て手先を利し、真剣の刃引を用て、奥義を鍛錬し、竹刀・木刀を用て撃闘すべし。只一ぺんにかたよるべからず候。学習しばしばして、鍛錬功つもる時は、精子の勝負、目前に明なるべし。」(武備和訓一 終)
2012-11-23 02:00:19武蔵の最後の弟子説もある柴任の話ですかー RT @g369: 「一士たらん者は、かならず過言を愼むべし。若藝者ならば、我が家藝の道には、猶更謙退して誇るべからず候」(武備和訓ニ) この後に宮本武蔵が弟子芝任と云う浪人の話となる(略
2012-11-23 00:52:08@g369 筑前に二天一流を広めたり、あちこちに二天一流を広めつつ、他に妙に武蔵関係者のいるところを周りつつ、播磨で亡くなってて…奇妙な人です。柴任。寺尾孫之允に五輪書を授かってるし、よほどの実力はあったようですが。
2012-11-23 01:03:42