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アニメ監督・神谷純氏、原作のあるものをアニメ化する場合について語る

BSプレミアムで絶賛放送中の『キングダム』の監督をされている神谷純さんが原作のあるものをアニメ化する場合について語られているつぶやきまとめさせていただきました。
アニメ 神谷純 キングダム 原作 アニメ監督 アニメ化
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神谷純 @junkamiya

アニメーション監督。 ここんところは絵コンテやら、いろいろ仕込みやらでアナウンスできるものが少ない。 まあ、ツイートの8割はハロプロの、ただのハロヲタ。

http://t.co/pk7O631FXv
神谷純 @junkamiya
原作のあるものをアニメ化する場合、自分の場合、作品によってそのスタンスを変えている。例えば現在制作している『キングダム』は、何しろ作品のオモシロさを映像に定着させたいと思い、自分のカラーは押さえて、原作のエッセンスを映像に落としこむことに腐心している。
神谷純 @junkamiya
同じ原作モノでも『ペンギンの問題』は、本数などの問題も含めてオリジナルな要素を多々入れていかないと難しかったので、かなり自分のカラーは強く出している(この場合はギャグのテイストに一番強く出ていますな)。
神谷純 @junkamiya
ライトノベル「ザ・サード」の場合は、作品内容に関しては大きなアレンジを加えずに、ただそれでもカメラは常に主人公『火乃香』に寄り添うように作っていった。原作が小説なので、映像のテイストに関してはこちらのカラーで編んでいった。
神谷純 @junkamiya
漫画が原作の場合と小説が原作の場合では、映像化の難しさはまったく別個のものになる。自分としては小説のほうがやりやすい。小説は文章というメディアであって、そこから『映像』にコンバートするのは全てこちらの作業になるのだ。
神谷純 @junkamiya
ところが漫画の場合、すでにそこには『絵』があり『コマ割り』という演出も存在している。この『ある意味同じ要素のもの』を『映像作品』に変換する作業は、実はデリケートな部分が多く、似て非なるメディアにありがちなトラップも多い。
神谷純 @junkamiya
漫画のコマをそのまま絵コンテにしていくと、まず映像としては巧くいかない。メディアの違いはそのまま文法の違いであって、コマで空間と時間を制御する漫画の文法が、時間軸が常に一定の映像にそのままコンバートできることはまずないのだ。
神谷純 @junkamiya
だから演出家は、原作漫画の『ここが見せたい』というポイントをできる限り活かすように、そのポイントに向かっては、むしろ前後の漫画のコマを捨てても映像として編んでいかなければいけない。
神谷純 @junkamiya
ただ、これは『原作漫画をできる限り忠実にアニメ化する場合』の話だ。その上での技術論だ。
神谷純 @junkamiya
では、原作を大胆にアレンジした場合どうなるのか? コマ運びではなく、内容そのもの、ひいてはドラマやテーマまで変わっていく場合はどうなのか?
神谷純 @junkamiya
この点に関しては、実は最近は語ることそのものが『机上の空論』になりかけている。現状、原作の改変を良しとする企画は、少なくとも自分の周辺ではまずない。原作とアニメは『別物』ではなく、アニメはあくまで原作の『映像化』であるという大前提が大半だ。
神谷純 @junkamiya
かつてアニメと原作は『同じ』であることのほうがはるかに少なく、キャラクター・ドラマ共に、アニメは原作を離れ独自の道を行く事が多かった。そしてそこには変えたなりのオモシロさや熱気があり、だからこそ原作とは違う『アニメ』を毎週楽しむことが出来た。
神谷純 @junkamiya
誤解無いように言っておくが『キングダム』は自分自身が面白いと感じ、尚且つ自分の中に全くなかったジャンルなので、自分から積極的に『原作を尊重し映像化』しようと頑張っている。ここまでのことは普遍論として言っている。最初から縛られた企画が多いということだ。
神谷純 @junkamiya
その結果、原作のコマをそのままただアニメに置き換えたものが、映像作品として流れていることもままある。人がやっている分にはその点に特に言及するものはない。ただ、自分がやる場合にはそれは無理だ。演出を『メディアが違う漫画』に全面的に委ねて何が『演出家』だ。
神谷純 @junkamiya
ちなみに原作尊重といっても、特にセリフなど、どうしても変えなければならない場合がままある。原作の場合セリフは、その文字もろとも読者に入ってくる。聞き間違いや意味違いはまず起らない。ところが映像作品の場合、視聴者にセリフから伝わるのは『音』としての情報のみだ。
神谷純 @junkamiya
聞き違い、同音異語、瞬間的に聴くには難しい熟語など、あくまで時間内に『音』で情報を伝えるしかない場合、原作のセリフを変更せざるを得ない。この辺りはその都度の判断になるので難しい。
神谷純 @junkamiya
実は『キングダム』では、そういった理由によるセリフの変換・改訂はままある。忸怩たる思いを感じつつも非常に重要なシーンの決めゼリフを、それがために改変しなければならなかったこともある。このあたりがまた、メディアの違いによる難しさだ。
つぶやきに対する反応
囚人番号6 @F4EJ2Phantom
@junkamiya 以前、『スレイヤーズ』DVD-BOXの解説書を作る際に渡辺監督にいろいろとお話しを伺ったんですが、そのとき、近作である『シャナ』に関してこぼした「尺に限度があるんだもの、原作まんまなんて無理な話だよぉ」という言葉を思い出しました。
神谷純 @junkamiya
@F4EJ2Phantom 時間という絶対的なものに縛らてますもんね(;´Д`) ホント無理な話です。
囚人番号6 @F4EJ2Phantom
@junkamiya 先ほどからのツイートには首肯するばかりなんですが、自らの経験から「メディアの違いによって生じる表現の違い」を理解しているアニメマニアが、この20年でひどく減少したような気がします。いや、正確には“理解していない”マニアが増えた、と言うべきか…。
神谷純 @junkamiya
@F4EJ2Phantom アニメオリジナルが少ないことや、原作をトレスした作品が多くなったこともあって、たまに酷く変わった作品に拒絶反応が起こり、『自分が好きなモノを勝手に変えてくれるな』という意識が視聴者側に強くなった結果かとも思います。難しいところです。
囚人番号6 @F4EJ2Phantom
@junkamiya 私も高校生などの完全な受け手側だった時代は、そうした作品を観る度にゲンナリしていました。が、自分自身が創作者になり媒体の違いを知ると改変の必要性に目が行き、責めるよりまずはスタッフの置かれた環境に、同情を禁じ得なくなりました。

コメント

波のまにまに☆ @namima2 2012年11月24日
マンガ原作やラノベ原作のアニメ化の縛りと自由度。どちらが生きてくる作品になるかは監督含めた作り手次第。原作をどう上手く逸脱して面白く見せるか? ただ原作通りってんじゃ、アニメ見る楽しみがないんじゃない?
言葉使い @tennteke 2012年11月24日
マンガ原作やラノベ原作が議論されるほどには、一般人が個人的に注文を出す方法が周知されないのは、なんともかんとも。そもそも名の知られている制作会社なら仕事が多数舞い込んでいて一般人の注文なんか受けられないかもしれないけど、それすら本当のことが知られていない。
言葉使い @tennteke 2012年11月24日
結局アニメ作りというものが市場化、情報の周知が徹底されないから、議論の土台が作られず、個人が思いの丈を言い合うしかないという不毛な状況なんじゃないだろか。
言葉使い @tennteke 2012年11月24日
製作会社と制作会社の違いも、あまり知られていないような気がする。ここで知っても仕方がないことだけど。
田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama 2012年11月24日
近年は漫画の側もアニメ化やドラマ化に繋がる事を"意識"した作り方をしている事が結構あるかも知れませんね。どんな映像スタイルかと言う事も先例から想定して…そのために作る側も見る側も予定調和的なイメージの内側に入ってしまって、昔の様なそれぞれの「独自さ」が成立しにくいのかも…?
nekosencho @Neko_Sencho 2012年11月24日
面白ければオリジナルのほうがいい派としてはちょっと嘆かわしい風潮。ただ、「面白くない改変」だったらすごく残念だよね元が面白い作品だったら
Rick=TKN @RickTKN 2012年11月24日
シャナは尺が無かった云々じゃなくて、原作者の考える“面白さ”とアニメスタッフの考える“面白さ”が異なっていたと思う。「伝奇大河物」と「学園退魔物」の違いと言うか。
Rick=TKN @RickTKN 2012年11月24日
だから尺が足りずに取捨して再構成したところが(原作ファンの期待と)ちぐはぐになったと思う。
biwa @kojirou24 2012年11月25日
あんまり納得いかないな。セリフとか変えなければいけないとか言うけど、実際変わってるとこ見るとそんな必然性ないようにも思える。創る側じゃなければわからないと言われればそれまでだけど。
ちくわ@だいぶヱロい @tikuwa_ore 2012年11月26日
原作と比較してアレンジが強いが、アニメはアニメとして人気が出た『ゼロの使い魔』のようなケースもあるので一概には云えないけれど、少なくとも原作リスペクトが強い作品は原作ファンに謗られる事はないですわな。
ちくわ@だいぶヱロい @tikuwa_ore 2012年11月26日
最近の作品では『ヨルムンガンド』が傑出して原作リスペクトが高い。正直原作はやや読み辛い作品だったが、アニメを見てから改めて原作を読む事で、その面白さを再確認出来たのが素晴らしい。(ただし一期五話を除く)
えいん(やきう好きおじさん) @einbelt_a 2013年1月6日
ここでノイタミナラジオの岡田磨里(当時、フラクタルと放浪息子の脚本をしていた)での一言を引用。「原作をそのままアニメにしても、原作らしくない」
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