平尾剛さん 運動と危険（回避）

平尾 剛 / 新刊『スポーツ3.0』（ミシマ社）絶賛発売中‼️ @rao_rug

学校体育ソフトボール新ルールに驚き。スライディング禁止、ピッチャーはバッターが打ちやすいように山なりのボールを投げる、バットとボールは柔らかく加工されたものを使う。あまりの過保護ぶりに思わず声を失ってしまった。

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それならばいっそのこと何もしなければよいのではないかとさえ思ってしまう。人を傷つけるかもしれないバットを丁寧に扱う努力を経て身につくことだってある。うまく捕球できずに痣をつくった経験が上達へのきっかけになったりもする。

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心も身体もこれっぽっちも傷つくことなく習得できる技能なんてあるのだろうか。ボクはないと思う。歩き始めたばかりの子どもは何度こけても起き上がってきて、また歩こうとする。膝を擦りむいても、泣きじゃくっても、また歩こうとする。

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そうしているうちにこける回数も減り、歩くという動作が安定する。他の諸々の動作も、基本的にはこうしたプロセスを経て上達してゆく。スポーツ的な動きだけではなくありとあらゆる身体動作は、たぶんこうして洗練されてゆくのだ。

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中学生でこれじゃあいつまでたっても身体は洗練されないのじゃなかろうか。「危険を回避しなくては」という本能がくすぐられる経験。少なくともこの経験がどういうものかを体験できる場として学校体育はあって欲しい。

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と、ちょいと熱くなってしまいました。すみません。でも、何でもかんでも危険だからと回避してたらおもしろくないやないですか。危険すれすれのところが一番おもしろいのに。