漫画家です。北海道旭川市出身。 少年サンデーにて「うしおととら」 「からくりサーカス」「月光条例」「双亡亭壊すべし」、モーニング誌では「三日月よ、怪物と踊れ」をやっていました。
昨日はすごくためになる話を聞いた。勉強になる。作劇の悩みの一端が解けた。嬉しい。単純だけど、すごく力のある作劇の技術(>_<)
2012-11-25 11:31:33欠如感を抱えるキャラクターが別のキャラクターによって補完されることで「成長」の物語を作る。
2012-11-25 11:36:41@Ufujitakazuhiro 土曜日はお疲れさまでしたー あんなにがっちり物語づくりの話聞いたの、初めてですよね。すごくためになりました。ありがとうございます(*^_^*)
2012-11-26 08:47:35というわけで、実は土曜日の深夜(もう日曜日だった)、藤田和日郎先生を捕まえて、物語の作り方についていろいろ聞いたのだ。前のほうのつぶやきにある「欠如感と補完」ていうのがそのひとつ。
2012-11-26 09:10:161)というわけで、先日、先輩である漫画家の藤田和日郎先生とお会いした際、物語づくりについていろいろお聞きしたので、ちょっとつぶやいてみたいと思います。基本、「読者の心を動かすにはどうすればいいんでしょうか」っていうのが話の中心にあります(以降、「さん」付けですみません)。
2012-11-26 12:10:292)「つまりな」と藤田さんはいう。「ここんとこを痒いな、痒いな、って思うだろ? そこを我慢できないところで、掻いてやる。そうすると気持ちいい」……これが欠如感と補完の基本。掻く側と掻いてやる側をそれぞれキャラクターにすることで物語にする。
2012-11-26 12:10:373)藤田さんは箸袋に、パックマンのような絵を描いた。「何かが欠けてて、こいつはつらい。欲しいな、欲しいな、って思ってる。そこへ」と、脇へプラスを書き込んで、口にぴったりと嵌まるピースを付け加える。
2012-11-26 12:10:464)「もうひとりのキャラクターが埋めてやる」これは逆でもいい。主人公が何かを得て成長する(充足する)のではなく、主人公が与える形。
2012-11-26 12:10:525)「『教師役』と『生徒役』って俺なんかはいってるんだけど、『北斗の拳』だとケンシロウが『教師役』」……つまり、ケンシロウの言動でエピソードのメインキャラの感情的な問題が解決される。単純にアクション場面で敵が倒されるというのではなく、主人公の示す行為が『生徒役』の欠如を埋める。
2012-11-26 12:11:406)(で、後で考えたこと……じゃぁ、「お金が欲しい!」って思っているキャラのところに「お金をあげましょう!」ってキャラが来るのはどうなのか? これは展開であって、ここで考える物語じゃない)
2012-11-26 12:11:477)(目指しているのはあくまでも読者の「感情」に訴える物語。だから、この場合だと「どうしてお金が欲しいか」っていう事情から導かれる、切羽詰まったキャラの感情と、それが補完されることが大事)
2012-11-26 12:11:558)(そういう観点で見ていくと、キャラには目標が必要だけど、なぜ、その目標を達成したいのかがないと物語にはならないということだ。「プロのサッカー選手になる!」「なぜ?」……目標の裏付けになる感情が大切なのである)
2012-11-26 12:12:039)では、読み切りの短編では何人くらいのキャラクターを描けるだろう?(ここでは36〜40Pくらいのマンガを前提にする) きちんと描き込むなら、「3人」が適数だと藤田さんは即答した。
2012-11-26 12:12:1110)「主人公、敵役、相棒……」相棒は被害者、依頼人とか事件の関係者に置き換えできますね、と訊き返すと、「あぁ……だけどそうすると」と藤田さんは少し考え込んだ。
2012-11-26 12:12:2311)「そうするとヒロインをどうするかな……ヒロインを別に置くと……いや、そしたら3人を越えちゃうな……ここは涙を飲んで……いやいや、出さなきゃいけない場合は、相棒のところに入れるか?」
2012-11-26 12:12:3012)増やすという選択肢はない。これは、自分で作っていてもわかるのだけど、無理に増やすと出てくるだけのキャラになってしまうのだ。それはヒロインじゃない。だから、こうした苦渋はわかる。
2012-11-26 12:12:3813)(主人公に『教師役』か『生徒役』を割り当てて、残り二人のどちらかに、もう一方の役を振り分けるということだ。そうすると、どういう物語かも見えてくる)
2012-11-26 12:12:4514)(主人公が『教師役』、敵役が『生徒役』なら、敵役が抱える「満たされぬ感情」を主人公が「補完してやる」話になる。これによって三人の関係のうち、展開の中で重点を置いて話をつくってやるものが決まる)
2012-11-26 12:12:5415)(藤田さんは「アクションもの」を前提に語ってくれたわけだけど、実のところ、この三人構成は恋愛ものにも使える。「主人公」「親友」「恋愛対象」とか)
2012-11-26 12:13:0216)(長編でも、エピソードはこの三人構成で考えてやるといいはずだ。エピソードによって三人のキャラの振り方を変える。ときには主人公さえ変えるのもアリだろう……この構造を積み重ねて長い物語を語っていくわけ)
2012-11-26 12:13:1017)さて。ここしばらく、私が思っていた作劇上の課題を、藤田さんにぶつけてみるとにした(実は、最初にこの話から入っていたんだけど、わかりやすくするため順序を逆にしてます)。
2012-11-26 12:13:1718)物語が展開していくと、登場人物が増えてくる。そうすると、キャラを描き込むために紙数を費やして、物語の展開が遅くなってしまう。展開を重視すると、人物が出てくるだけの「あらすじ」になりかねない……
2012-11-26 12:13:2419)「物語が誰の物語か、ってことだよ」俺のやり方だよ、と断り置いて藤田さんはいった。「だから、物語を主人公へ戻してやる。こいつ中心の話をとにかくやる。その後で、主人公の行動を別のキャラたちがどう思ったか、どんな行動を取るかを書く。それから、主人公の物語へ別のキャラたちを戻す」
2012-11-26 12:14:41