【甲状腺癌の発生機序】
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【甲状腺癌の発生機序−最近の基礎研究からの知見】光武範吏先生(長崎大学医歯薬総研 原爆後障害医療研究施設):日本甲状腺学会雑誌 Vol. 1 No. 2/Oct. 2010 p105-108 より以下TWsで引用。
2012-11-27 11:43:49【甲状腺癌の発生機序】「がん」という疾患は遺伝子病とされ,遺伝子変異とそれに伴うゲノム不安定性がその病態の本質とされる。
2012-11-27 11:44:52【甲状腺癌の発生機序】ゲノム解析により,個人間の違い,すなわち遺伝子多型による発癌しやすさも注目されるようになってきた。
2012-11-27 11:46:51【甲状腺癌の発生機序】個々人の甲状腺 癌発症リスクを規定する遺伝子多型の同定が試みられるようになってきた。遺伝子多型とは一般的に1%以上の頻度で見られる遺伝子の違いであり,個体全ての細胞が持ち,遺伝的に受け継がれるものである。( 1%以下の頻度で見られるものは変異)
2012-11-27 11:49:01【甲状腺癌の発生機序】最近の急速な技術革新により,極めて大規模で網羅的なゲノムワイドな解析が可能となってきた。アレイ技術を用い,数十万の遺伝子多型を一度に解析できる。
2012-11-27 11:50:27【甲状腺癌の発生機序】2009 年,Gudmundsson らはアイスランドの住民を中心とした大規模な分子疫学調査の解析結果を発表。その結果,甲状腺癌発症と強い関連がある多型が発見された。甲状腺 機能に非常に重要な転写因子であるFOXE1 とNKX2-1がコード。
2012-11-27 11:54:23【甲状腺癌の発生機序】チェルノブイリ事故後に発症したベラルーシ小児甲状腺癌患者と健常者から提供されたDNA を用い,やはり遺伝子多型の大規模解析。FOXE1 のlocus に強い相関を報告。。FOXE1多型が甲状腺癌の発症に重要な役割を果たしている。
2012-11-27 11:57:46(補足)
ベラルーシ小児甲状腺癌患者は,
FOXE1多型と強い相関、
NKX2-1多型と相関なし。
このことから下記を考察。
FOXE1多型:放射線誘発と自然発症に関与。
NKX2-1多型:自然発症に関与。
【甲状腺癌の発生機序】FOXE1多型の日本人症例での検討も必要であろう。⇒福島のゲノム解析の意義はこのあたりにあると思います。
2012-11-27 12:00:48図表
【甲状腺癌の発生機序−最近の基礎研究からの知見】光武範吏(長崎大学)日本甲状腺学会雑誌 Vol 1(2)2010 p105 図1. 甲状腺細胞の癌化ステップに関与する遺伝子変異 http://t.co/z6k1NUjQ
2012-11-27 12:50:52【甲状腺癌の発生機序−最近の基礎研究からの知見】光武範吏(長崎大学)日本甲状腺学会雑誌 Vol 1(2)2010 p105 表1. 濾胞細胞から発生する癌における遺伝子変異の頻度 http://t.co/kMf8A3Kg
2012-11-27 12:51:44文献
Gudmundsson J, et al.:
Common variants on 9q22.33 and 14q13.3 predispose to thyroid cancer in European populations.
Nat Genet 2009; 41: 460-464
http://www.nature.com/ng/journal/v41/n4/full/ng.339.html
Takahashi M, et al.:
The FOXE1 locus is a major genetic determinant for radiation-related thyroid carcinoma in Chernobyl.
Hum Mol Genet 2010; 19: 2516-2523