京大宗教学 氣多雅子教授が語る「エヴァンゲリオンの子どもたち」の要約

京大宗教学の氣多雅子教授による『新世紀エヴァンゲリオン』にハマる若者についてのエッセイ。
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ジャパナード@既婚者 @neoghg

京大宗教学 氣多雅子教授「エヴァンゲリオンの子供たち」要約(京都大学文学部『知のたのしみ 学のよろこび』岩波書店、2003所収)(続く

2012-11-29 23:52:09
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)氣多氏は現代の若者理解の為に『ラーゼフォンのように一過性ではなく7年以上経った2003年現在でもアニメファンに人気の『新世紀エヴァンゲリオン』をテレビアニメ版と旧劇場版を含めて視聴したという。(続く

2012-11-29 23:57:00
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)氣多氏のスタンスは次のとおりあくまで傍観者である。「アニメとして『エヴァ』が傑作であるか否かは私にはわからない」(185.11) (続く

2012-11-30 00:00:42
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)そしてシンジらエヴァのパイロットを「極度に繊細で、内向的というよりも自閉的」とし「少年少女の精神的成長というテーマでは、いかにも精神分析の対象にふさわしい」(186.6-7)と考察している。(続く

2012-11-30 00:02:32
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)「よくあるヒーローもののように共同体を背負う使命感には全然つながらないで、主人公たちの私的葛藤に始終するところが面白い」(186.11-12)先ほどはアニメその物に関心がないと述べていたが、世界を守る正義感ではなく、少年少女の個人の葛藤に焦点があたり面白いと評している(続く

2012-11-30 00:09:58
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)人類滅亡という基本設定の中でそれに立ち向かうプレッシャーではなく、少年少女が内面で葛藤するという事態をどう見るか。氣多氏は次のように推測している。(続く

2012-11-30 00:14:08
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)オーム真理教が流行った事を当回しに匂わし説明し、「いまの多くの若者にとって宗教はほとんどサブカルチャーなのである。」と死後の世界を説いていればイカガワシイ宗教でもSFアニメでも構わないのだと現代の若者の状態を説明する(続く

2012-11-30 00:27:03
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)氣多氏はエヴァで散見される宗教用語は「意味ありげ」雰囲気づくりに過ぎないと喝破する。しかし、その「意味ありげ」という中途半端さが、逆に若者を近寄らせているのだともいう。(続く

2012-11-30 00:30:42
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)「いまの若者たちの意識では、自分が死ぬということと世界が滅びるということとは、基本的に同じ質をもって感じられているのではなかろうか。」(187.7-8)ここで氣多氏は、先祖も子孫も関係ない、死んだら世界が終わるという私たち若者の死生観を見事に言い抜いている。(続く

2012-11-30 00:15:53
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)エヴァなどのアニメに惹かれるという事は、「自分探し」程度のことであり「宗教の事柄ではない」と述べるが、一方で、その底にある精神的な飢餓感のようなものは明らかに宗教的問題を指し示している。(188.12)と現代の若者が心の奥底で宗教を求めているのではないかと指摘する(続く

2012-11-30 00:35:31
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)氣多氏は今の若者の宗教意識は実に多様であるという。新宗教を渡り歩く者、墓参りや星座占いには触れながらも宗教を疎む者、宗教は必要だが怖い胡散臭いという者、死への不安を和らげる装置という者。多様化の原因は、日本では宗教教育がなされていないからだという(続く

2012-11-30 00:39:50
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)共有する宗教がないために、「人生観や世界観のレベルで、お互い同士わかりあうことはきわめて難しい」(189.9-10)と指摘する。最後に現代の若者の「ことば」が果たす役割について。(続く

2012-11-30 00:46:12
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)氣多氏によるとエヴァでは小説や評論のようにはことばに意味が持たされていないのだという。「ことばの意味は頼りにならないが、ことばが人を傷つける力を持つことははっきりしている」(189.13)エヴァでやり取りされる「ことば」には負の面しか表されていないという。(続く

2012-11-30 00:50:42
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)言葉は本来コミニュケーションツールであったが、エヴァにおいては「信号や暗示であったり攻撃や防御の手段であったりする。」(189.15)と批判する。最期に氣多氏はエヴァをこう総評する。(続く

2012-11-30 00:53:29
ジャパナード@既婚者 @neoghg

承前)「『エヴァ』は成長物語でありながら、そこに描かれた世界は社会性を原理とするものにはなりきれない。『エヴァ』の子どもたちは、大人にはなりきれない、しかも子供でもあり続けることもできない痛々しい子どもたちのように見えてならない。」(終わり

2012-11-30 00:56:44
ジャパナード@既婚者 @neoghg

この本は京大文学部の先生方が各々の専門について、学生向けに柔らかい語り口で書かれており他にも面白そうなエッセーがありいくつか複写してきました。文学部の学部生ならぜひ読んでみてはいかかでしょうか。

2012-11-30 01:03:14
ジャパナード@既婚者 @neoghg

京都大学文学部『知のたのしみ 学のよろこび』(岩波書店、2003)http://t.co/Ufzk4FRQ

2012-11-30 01:03:10
ジャパナード@既婚者 @neoghg

以上です。度重なる訂正再投稿すみませんでした。最後まで私の稚拙な要約にお付き合いいただききがとうございました。氣多雅子教授に感謝!

2012-11-30 00:57:49