時制とアスペクトの定義について #gengo

@optical_frogさんによる時制・アスペクトの定義に関する考察。Wikipediaの該当箇所を読むときに一緒に読むのがおすすめ。
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optical_frog @optical_frog

《時制とはしかじかの「文法範疇」である》という定義は教科書的な答案としては合っているんだけど,「文法範疇」がなんのことだかわかってんのかなぁと思うことしばしば.

2010-08-12 08:00:38
optical_frog @optical_frog

あと,ウィキペディアの「アスペクト」の項目では「アスペクトは(…)文法形式である」と書いてる.ちがうよ.

2010-08-12 08:02:30
optical_frog @optical_frog

時制は,状況(出来事・状態)を (i) 直示的に(発話現在を基準に) (ii) 時間軸嬢に位置づける (iii) 文法範疇.たとえば It rained yesterday でいうと,過去時制 -ed と yesterday はともに (i)-(ii) を満たしてる.

2010-08-12 08:07:06
optical_frog @optical_frog

時間副詞 yesterday は (i) 発話現在を基準に (ii) 状況をその前日に位置づける.でも,(iii') 語彙範疇であって文法範疇じゃあない.そこが -ed とちがう.そして,語彙範疇か文法範疇かは形式の問題であって意味の問題じゃない.

2010-08-12 08:08:55
optical_frog @optical_frog

定義 (i)-(iii) のうち意味に関わる部分だけをとりだすと,「状況を時間軸上に直示的に位置づけること」になる.

2010-08-12 08:12:17
optical_frog @optical_frog

この「(直示的な)時間的位置づけ」に対して,アスペクトは「状況の時間的な内的構成」と定義される.「雨が降っている」と「雨が降った」は時間軸上の位置づけは過去で同じだけど,状況をどんな視点からとらえるかがちがっている.

2010-08-12 08:13:49
optical_frog @optical_frog

前者は外的視点からひとまとまりの全体としてとらえ,後者は内的視点からその一部をとらえる.これは意味の問題.

2010-08-12 08:15:02
optical_frog @optical_frog

時制とアスペクトというのは,だから本当は直接に対比されるわけではなくて,意味における '(deictic) temporal location' と 'internal temporal constituency' の対比から出発した方がキレイではある.

2010-08-12 08:18:43