テニプリでDQパロ～導かれし者たち２～

煌＠ＤＱ11ネタバレ注意 @kou_DQ

「砂漠？」「そう…広大な砂漠が見える。たぶんこれはブキンカの南東にある、大砂漠じゃないかな…」アツシがそう言って手を置くと、水晶玉は光を放つのを止めました。「砂漠かぁ…想像するだけで暑苦しそうだなー…」「でも、行くしかないよ」リョーマが立ち上がりました。 #テニプリＤＱパロ

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一行は再びブキンカへのトンネルを抜け、ブキンカより更に東の砂漠に向けて歩き始めました。リョウとアツシはリョーマの知らないたくさんの攻撃呪文を使いこなすので、複数の魔物との戦いがぐっと楽になりました。 #テニプリＤＱパロ

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道中、それぞれの旅に出た理由も話し合いました。双子は父親の仇を探して旅を続けているを話してくれました。リョーマも住んでいた村に勇者を狙って魔物が攻めてきたこと、みんなが自分を守って死んでしまい、定めを果たすために村を出たことを話しました。 #テニプリＤＱパロ

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「そう、か…幼馴染みが…」それまで一際明るく、久しぶりの長旅は足が痛いだのカジノの騒音が恋しいだのとぼやいてはアツシに怒られていたリョウが、その話を聞いた途端に真面目な面持ちで目を伏せました。 #テニプリＤＱパロ

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聞けばリョウとアツシも仇討ちの旅の途中、幼馴染みでもあった父親の弟子が二人を庇って敵に立ち向かい、その後消息を絶ってしまったと言うことでした。「リョーマ、とても辛かっただろう。だけど悲しみを乗り越えて旅に出た君の勇気を、幼馴染みもきっと讃えてくれると思うよ」 #テニプリＤＱパロ

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アツシも優しく声をかけてくれます。「リョーマ！」リョウが突然リョーマを抱き締め、優しくぽんぽんと頭を撫でてくれました。それはかつてシュースケが泣いている自分を慰めてくれた仕草によく似ていて、リョーマは込み上げてくる思いを必死で堪えました。 #テニプリＤＱパロ

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「大丈夫だ、これからは俺たちが、仲間が付いてるからな！辛さも悲しみも、一緒に乗り越えよう！そして俺たちみたいな悲劇を二度と起こさないためにも、早く世界に平和を取り戻すんだ！」「…ッス」リョーマが頷くと、リョウもアツシもにっこりと笑いました。 #テニプリＤＱパロ

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仲間って、素敵だね、シュースケ。リョーマは心の中でそう呟きました。目前にはそびえ立つ山々。その合間を抜けた先に目的地である大砂漠があるはずです。 #テニプリＤＱパロ

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大砂漠は一面の砂で覆われた広大な大地でした。「これが…砂漠…」はじめて見る砂漠の壮大さに、リョーマは目をぱちくりさせます。一方、リョウとアツシは顔を見合わせました。「砂嵐が凄くて視界が悪いし、足元もかなり沈むな」「僕たちだけで砂漠を越えるのは難しそうだね…」 #テニプリＤＱパロ

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視界も悪く、足元もおぼつかないこの状況ではどれだけ三人で固まっていても、いつかバラバラにはぐれてしまうでしょう。「何か手段を考えないと…」「とにかく、宿に行かないか？ここは髪に砂が入って気持ち悪い」リョウが指差した場所には、たしかに小さな宿屋がありました。 #テニプリＤＱパロ

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宿屋の前までたどり着いた一行は、砂まみれの体をはたいて砂を落としていきます。リョーマがふと顔をあげると、宿屋の横で一頭の馬がのんびり干し草を食んでいました。背後には大きな幌付きの馬車が置いてあります。 #テニプリＤＱパロ

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じっと見つめていると、馬もリョーマを見つめ返しました。染みひとつない真っ白な体躯と大きな瞳。背中に王子様を乗せてお城の跳ね橋から飛び上がったりするのがとても似合いそうな馬でした。何故か乗っている王子様をシュースケで想像してしまったリョーマは頭を振ります。 #テニプリＤＱパロ

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「リョーマー？入るよー？」「あ…、ッス！」リョウに呼ばれて、リョーマは慌てて宿屋の中に入っていきます。あとに残った白馬は、リョーマくぐった扉を見ながら二、三度しっぽを振るとまた食事に戻りました。 #テニプリＤＱパロ

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宿を取った三人は、まずは体に付いた砂を綺麗さっぱり洗い流してから、食卓を囲みます。砂漠越えの作戦会議に入りました。「ロープでみんなの体をくくるとか！」「魔物が出たらどうやって戦うの」「誰かがはぐれた時点でキメラの翼でやり直し」「いつまでかかるんだよ…」 #テニプリＤＱパロ

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「なんだよアツシ！人がせっかくアイディア出してんのに！」「出せばいいってもんじゃないから…僕は客観的に却下してます」「ちぇ。リョーマは何かいいアイディアない？」「え？うーんと…」そう言われて頭に思い浮かんだのは、先ほどの白馬でした。 #テニプリＤＱパロ

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「馬車、かな…」「なるほどっ！それならはぐれないし、しかも楽チンで完璧じゃんか！」リョウが指を鳴らします。この意見にはアツシも頷きました。「問題は、馬車をどうやって手に入れるかだね」「そういや、さっき外に馬がいなかった？」「後ろに馬車もあったッス」「それだ！」 #テニプリＤＱパロ

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「なんだお前さんら、馬車を探してるのかね？」料理を運んできた宿屋の店主が尋ねると、リョウが笑顔を向けます。「おじさんっ、あの馬車俺たちに貰えない？」「こら、リョウ！」あけすけな物言いにアツシがたしなめますが、店主はふぁっふぁっと愉快そうに笑いました。 #テニプリＤＱパロ

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「素直な御仁じゃのう。嫌いじゃないぞ。…だが、あの馬は息子のものでな、ワシの一存じゃ差し上げられん」「息子さん、ですか？」「ああ、今も部屋にいるが…」「じゃあそいつに直接頼めばいいじゃん」リョウの言葉に店主がたちまち顔を曇らせました。リョーマが首を傾げます。 #テニプリＤＱパロ

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「何かあるんスか？」「実は…息子は前まで親友とあの馬車で旅をしとったんだが…ある日突然、あの馬が血塗れの息子を背中に乗せてここに連れ帰ってきたんじゃ…」リョーマたちは顔を見合わせます。「何があったか聞いても、何も答えん。しかもそれ以来心を閉ざしてしもうて…」 #テニプリＤＱパロ

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「お友達の方は…？」「それ以来見かけておらんのだよ…」「そうですか…」深い沈黙が落ちます。するとリョーマが立ち上がりました。「息子さんの部屋って、どこですか」「リョーマ？」「何があったかわからないなら、何も解決しないでしょ。本人に聞くのが一番だよ」 #テニプリＤＱパロ

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部屋には一人の青年が、椅子に座ったまま窓の外を眺めていました。「…誰だ」こちらに振り返ることなく、青年が問います。「…アンタが、シウって人？」シウがゆっくりと振り返りました。「はじめまして。俺はリョーマ、こっちの二人はリョウとアツシ」 #テニプリＤＱパロ

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「何の用だ」「あのさー、宿屋の外に置いてある馬車、譲ってくんない？」「…は？」「突然すみません。僕たちは世界を救うために旅をしていて、砂漠を越えるためにも馬車が必要なんです」「世界を…救うだって？お前たちが？」シウは怪訝そうに眉をしかめました。 #テニプリＤＱパロ

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「断る」「なんでさ、世界のためだと思って協力してくれよ」「お前たちが世界を救うだなんて、そんな話信じられるか」「嘘じゃないんです。ここにいるリョーマは勇者としての使命を…」「どうだっていい。俺は、もう誰も信じないんだからな」「誰も…信じない…？」 #テニプリＤＱパロ

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「話は終わりか？じゃあさっさと出ていって…」「ねぇ、友達と何があったの？」「！？」リョーマの問いかけに、三人を追い払おうと立ち上がったシウの動きが止まりました。「アンタのその人間不信…友達が関係してんじゃない？」「…だったら…なんだっていうんだ…」 #テニプリＤＱパロ

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「話してみなよ」「何…？」「何があったのか。自分の中だけに秘めてたら何も変わらないじゃん。他人に話してはじめてわかることってのもあるでしょ」「……」「いつまでもこの部屋に閉じ籠る気？」「…わかったよ、話せばいいんだろ、あの日のこと」シウが椅子に腰かけました。 #テニプリＤＱパロ