テニプリでDQパロ～導かれし者たち４～

煌＠ＤＱ11ネタバレ注意 @kou_DQ

「相変わらず…ここは嫌な空気に満ちてるな…」キングルド城を眼下に、リョウが呟きました。「サエ…父さん…今度こそ、必ず…」「…行こう、アツシ」「うん」リョウとアツシ、そしてリョーマが馬車を降りました。馬車を引きながら城に近づきます。 #テニプリＤＱパロ

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キングルド城はまるで要塞のように物々しい雰囲気に包まれていました。たくさんの兵士が見回りをしています。「どうする？」「俺に任せてや、ちょっと偵察してくるわ」ユウシが馬車から降りると、何食わぬ顔で兵士に近寄ります。 #テニプリＤＱパロ

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「待て、何者だ！」「まいど。俺は旅の武器商人ですわ。武器の取引を願えんかと思いまして…」「武器屋か。悪いが今はそれどころではない、帰ってもらおう」「どないかしたんですか？」「旅の僧侶と名乗る怪しい男が陛下のお命を狙った故、引っ立てたばかりなのだ」「旅の僧侶？」 #テニプリＤＱパロ

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「今頃陛下より厳しい判決を受けていることだろう。残党がいないか捜索中なのだ、お前も捕えられたくなくば退け」「…そうしますわ」ユウシは踵を返し、物陰に隠れていた仲間たちに事情を説明します。「じゃあ彼は城の中に…」「乗り込もう！」「ダメだよ」誰かが遮りました。 #テニプリＤＱパロ

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しゅるりと樹の上から飛び下りたのは一人の青年でした。明るい夕焼けのようなオレンジの髪の青年は、そのまま着地してリョーマたちに近づきます。「あの城の扉は魔法で施錠されてる。魔法の鍵がないと開けられない」「アンタは？」「俺の名前は…キヨスミ」 #テニプリＤＱパロ

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キヨスミはリョーマを見つめ、その姿を確認してから目を細めます。「君は…そうか、いよいよなんだね」「え？」「お願いがあるんだ。この城にイヴ君が…俺の大事な人が連れていかれてしまった。俺を、庇って。どうか助け出してほしいんだ」「それって、旅の僧侶って人？」 #テニプリＤＱパロ

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キヨスミが頷きました。「魔法の鍵の在処は、バネッサ村にいる俺の昔馴染みが前に話していたから知ってるはずだ。ヤナギサワ、って言うんだけど」「ヤナギサワ？」「村にそんな名前の人、いたっけ？」リョウたちは顔を見合わせます。 #テニプリＤＱパロ

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「俺はまだ馴染んでないから戦うことができないんだ…俺の代わりにイヴ君を助けて…！」キヨスミが深々と頭を下げます。「俺たちもその人を探しに来たんだ、必ず助けるよ」「…ありがとう！俺は奴等に動きがないか見張ってるから、君たちは村へ…！」 #テニプリＤＱパロ

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「ヤナギサワくんは、語尾に『だーね』って付けちゃう癖がある変わり者だから、すぐにわかるよ」「語尾に…」「だーね？」「「…ああ！」」二人は同時に声をあげました。どうやら心当たりを思い出したようです。「アイツか…！」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマたちはバネッサ村へ急ぎました。リョウたちの案内で連れられた地下室には一匹のスライムが跳び跳ねていました。「なあ」「あれ？おまえたち、おかえりだーね」「ヤナギサワって、君？」「？いかにも俺がヤナギサワだーね。なんで知ってるだーね？」 #テニプリＤＱパロ

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「そんなことより、お前、魔法の鍵の在処を知らないか？」「魔法の鍵？それならサエキが持ってたはずだーね」「…、…え？」「俺が住んでた西の洞窟の宝箱の下には隠し階段があってそこにサエキのお師匠様の秘密の研究所があるだーね。サエキはそこに潜んで怪我を癒してただーね」 #テニプリＤＱパロ

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「研究所にはまだ魔法の鍵が残ってるとも言ってただーね！」「…そうなんだ」「時間もない。早速洞窟に向かおう」「うむ！善は急げだ！」「気をつけていくだーねー」ヤナギサワに見送られながら、一行は西の洞窟に向かいました。 #テニプリＤＱパロ

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「結構衝撃の事実だよな…鍵があるならなんでサエ、あんな方法で…」「父さんが余計なことを教えたんでしょ…」「鍵なんてなくても俺がぶち破るのに」「他国の城をお前が壊したら国際問題だ、ユキムラ」「……」「ここにもいた…サエと同種の人が…」 #テニプリＤＱパロ

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各々思うところはあるものの、リョーマたちは秘密の研究所を見つけ出し、そこにあった魔法の鍵を手に入れました。鍵には『いつかの日のために 愛しい息子リョウとアツシへ』と書かれた手紙が添えられていました。「父さん…」「ありがとう…」 #テニプリＤＱパロ

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再びキングルドに戻ると、キヨスミが樹の影から手招きしていました。「鍵は見つかった？」「うん」「正面は見張りが多い。脇の扉を通って。頼んだよ」「まかせて！」少人数の方が忍び込み易いという意見から、リョーマ、リョウ、アツシ、ユキムラの四人が城に突入します。 #テニプリＤＱパロ

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「外の陽動は任せたぞ、サナダ、ヤナギ」「承知した」「任せておけ！」「馬車を頼みます、ユウシさん」「了解や」「…お願いだよ」「はい…」全員がそれぞれの役目のために、一斉に飛び出しました。 #テニプリＤＱパロ

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サナダたちが兵士に見つかり、騒ぎになっている隙をついてリョーマたちは脇の入口を魔法の鍵で開き、城の中に潜入します。「イヴはどこに…」「王のところだとしたら、こっちだ！」リョウの手引きで四人は駆け出します。 #テニプリＤＱパロ

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リョーマたちの進む先に何やら人影が見えました。この国の兵士に囲まれて両腕を縛られた一人の青年が整然と立っています。「さあ、こっちにこい！」「そう…ここが王の間なんだね。じゃあもういいよ」「何を言って」「バギマ」青年の呪文と同時に回りの兵士が吹き飛びました。 #テニプリＤＱパロ

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「ば、ばかな…魔法は封じて…」「マホトーン？とっくに解除したけど」「そんな…がはっ」兵士が気絶したのを確認すると、青年は呪文を唱えて起こした空気の刃で縛られた縄を外します。「ここに…」「ねぇ、アンタがイヴって人？」リョーマの声に青年が振り向きました。 #テニプリＤＱパロ

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「そうだけど…君は？」「俺はリョーマ」「リョー…マ…？」イヴがリョーマの姿を眺め、僅かに驚いた表情を向けました。「その容姿…お告げ所で聞いた通りだ…！君が…アナタが、伝説の勇者様」イヴがすっとリョーマの前に膝をつきました。 #テニプリＤＱパロ

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「私はフドランド王国の顧問僧侶、イヴ。勇者を護る為に旅を続けていました…どうか私も勇者様の旅に同行させてください」「勿論。でも堅苦しいのはやめよう。俺のことはリョーマでいいよ、イヴ」「…ありがとう、リョーマ」イヴが立ち上がりました。 #テニプリＤＱパロ

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「他の方たちとの挨拶は改めて。リョーマ、ここには悪魔な実験のために町や村から人をさらっていた邪悪な王がいる…一緒に戦ってほしい」「当然！」「僕たちにとっての仇でもあるんだ」「みんなで戦えばきっと勝てるよ！」「…行くよ、みんな…！」 #テニプリＤＱパロ

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隠し扉を抜けた先の玉座には、一人の男性が座っていました。「バルザッ…ク？」リョウが今にも殴りかかりそうに睨み付けますが、すぐに勢いを失います。「…バルザックはここにはおらぬ」男性が立ち上がります。「我はキングルド。この国の真の王なり」 #テニプリＤＱパロ

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「国王が自国の民を実験に使うなんて…同じ王族として許せない！」ユキムラが怒りを露にします。「なんとでも言え。我は究極の存在となるのだ…見よ…！」キングルド王が手を広げると、みるみる巨大な魔物の姿へと変わっていきます。「…っあれは、進化の秘法…！」 #テニプリＤＱパロ

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四本腕の獅子の姿になったキングルド王は大きく咆哮するとリョーマたちに襲いかかります。「四方に散って！」リョーマの指示で全員がばらばらに回避しました。それと同時に、ばたばたと複数の足音が響きます。「っ兵が集まってきたの…！」 #テニプリＤＱパロ