テニプリでDQパロ～導かれし者たち８～

煌＠ＤＱ11ネタバレ注意 @kou_DQ

気球は相変わらず空を漂います。リョーマたちは手持ちの地図から、まだ行ったことのない山に囲まれた大陸を目指すことにしました。しばらくして見えてきたのは。「な、なんだアレ！？」それは天にも届きそうに巨大な巨大な大樹でした。 #テニプリＤＱパロ

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「世界樹だ…」ヤナギが呟きました。「世界樹？」「文字通り世界を支えると言われる聖木。その若葉を浸した聖水はすべての傷をたちまちに癒し、葉は死者をも呼び起こすという」「なにそれすごっ」「水晶に映る強い力はそれか…そのせいでこの辺りは天空の剣の有無を探れないんだ」 #テニプリＤＱパロ

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「せやったらもしかすると…！」「ああ」「降りてみよう」気球は世界樹の側に降り立ちました。下から見上げると、生い茂る緑が空を隠してしまうほどに本当に立派で、そして厳かな大樹でした。 #テニプリＤＱパロ

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「…わっ、人間だよ！」「こりゃ大変！」世界樹に近づくと、誰かの叫び声がしました。とんがった耳の二人組が、リョーマたちを見て驚いた顔をしています。間違いなく、エルフでした。「あ、あの…俺たちは危害をくわえにきたわけじゃなくて…」リョーマが弁解します。 #テニプリＤＱパロ

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エルフの一人が警戒したように顔をしかめますが、もう一人は興味深げに近づいてきます。「こら、人間は危な…」「でも、俺たちと同じ匂いがするよ」「え？」「君から。…うん、間違いない」エルフがリョーマににっこりと笑みを浮かべました。 #テニプリＤＱパロ

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リョーマははっと自分のスライムピアスを見つめました。ルビーの涙を取り込んだこのピアスから、きっと何かを感じ取ったのでしょう。「それに澄んだ目をしてる。悪い奴じゃないよ」「…お前がそういうなら」もう一人のエルフもおっかなびっくり近づいてきました。 #テニプリＤＱパロ

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リョーマたちはきちんと挨拶と名乗りをあげ、自分達は勇者として世界を救う旅をしていること、天空の剣を探してここにたどり着いたこと、エルフに危害をくわえる意思はまったくないことを丁寧に告げました。その心が伝わったのか、警戒していたエルフも笑顔を見せてくれます。 #テニプリＤＱパロ

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「天空の剣はよく知らないけど、昔、空から世界樹に何かが降ってきたことはあったよ。それはいまだに樹のどこかにあるはずだ」「じゃあ…」「でも今じゃ世界樹にすら魔物が巣食ってるんだよ。そのせいで俺たちも登れないんだ、やんなるよねっ！」 #テニプリＤＱパロ

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「魔物か…でもまあ、俺たちなら…」「うん」「世界樹に登らせてもらっても構わないのか？」「そりゃ勿論。君達が大丈夫なら。俺たちが登れないだけだからね」「あ、でも、この前声が聞こえたんだよねー」「声？」「そ。樹の上から聞き覚えのない声！」 #テニプリＤＱパロ

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「仲間はみんないるし、あり得ないんだけど、俺たちでは確かめられなくて。…良ければ確かめておいてくれないか？」「構わないッスよ」「ありがとう。世界樹は幹の中や枝も歩けるけどあまり大人数で登らない方がいいよ」「万一枝が折れたら大変だしね！」 #テニプリＤＱパロ

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相談の上で、リョーマ、天空の剣を見つけたいユウシ、どんな事態にも冷静に対応できそうなヤナギが選ばれました。「俺も行きたかったー！」「ユキムラは敵を深追いして枝の先を飛び出しかねない。却下だ」「なにそれ！」(確かに…) #テニプリＤＱパロ

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リョーマたちは世界樹に乗り込みました。エルフたちの言う通り、幹の中は入り組んでいるものの通ることが可能で、太い枝だけでなく生い茂った葉の上ですら歩くことが出来ました。落ちないように慎重に上を目指します。 #テニプリＤＱパロ

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「せかいじゅの葉が大量やで！」ユウシがニコニコと足元を眺めました。さっそく一枚、葉っぱを摘み取ります。「もういっちょ…あれ？」しかし今度は引っ張ってもびくともしません。「一枚限りってことですかね」「…みたいやなあ」ユウシが立ち上がりました。「っと、敵さんや」 #テニプリＤＱパロ

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「ヒャダイン！」ヤナギの呪文が魔物を氷漬けにします。「はっ！」「とりゃー！」リョーマとユウシが剣を叩き込むと、魔物は粉々に砕け散りました。その後も襲いかかる魔物を蹴散らしながら迷路のような世界樹を進みます。「ふう…だいぶ登ってきたんちゃうか？」 #テニプリＤＱパロ

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ユウシが汗を拭いました。たぶんかなりの高さまで来たのでしょうが、さすがに誰も下を覗き込む勇気はありません。「天空の剣、本当にあるのかな…」リョーマが辺りを見回したその時でした。「…誰かー、助けてー」微かな声がリョーマの耳に届きました。 #テニプリＤＱパロ

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「！？」リョーマの反応にヤナギが気づきました。「どうした」「誰か居ます！助けを求めてる！」「なんやって！？」リョーマたちは微かに聞こえる声の方へ慌てて走り出しました。 #テニプリＤＱパロ

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「誰かー…、はあ、もう叫び疲れたやっしー…」世界樹の上でため息をついているのは、一人の少年でした。足元にはせかいじゅの葉が入ったカゴ。そして背中には少し変な方向に曲がってしまった真っ白い翼が生えていました。たどり着いたリョーマたちも目を疑います。 #テニプリＤＱパロ

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「羽が生えた…人間？」その呟きが聞こえたのか、少年がばっと振り向きました。「あ！やっと人がきてくれたさ！」「アンタは…？」「俺はカイ！天空人さ」「天空、人？」「マスタードラゴンの庇護のもと、天空城で暮らす翼を持つ種族だ。…伝説ではな」「天空城…！」 #テニプリＤＱパロ

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「せかいじゅの葉を摘みにここまで降りてきたんどぉ、魔物に襲われて翼が折れたんで戻れなくなったさー。なあ、そこの人、俺を天空城まで連れていってほしいさ」「…えっと、確かに俺たちも天空城に行くつもりですけど」「なら好都合やっしー！」 #テニプリＤＱパロ

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「ちょお待って、せやけど天空城までどうやって行くん？」「簡単さー」カイがリョーマを指差します。「天空の武具。それをすべて身に付けたものが天空への塔を登れば天空城まで行けるさ」「天空への、塔…」「しかしまだ天空の剣が…」「剣はここのどこかにあるさ」「…！」 #テニプリＤＱパロ

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「わかるんか！？」「あい！仮にも天空人やし！」「…それなら、カイ、さん？俺たちと一緒に天空城まで行きましょう！」「あいひゃあ！よろしく！」カイは喜んでリョーマたちに付いてきました。 #テニプリＤＱパロ

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剣の大体の場所がわかるというカイの案内で、リョーマたちはさらに世界樹の上層を目指します。カイは身軽な動きで敵を翻弄し、みんなの傷を呪文で回復させたりと翼が折れているとは思えないほどにリョーマたちを見事にサポートしてくれました。 #テニプリＤＱパロ

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「翼が折れて助けを求めていたわりには、元気だな、カイ」「せやなぁ」「んー？最初は痛かったけどもう痛みも引いたしなー。むしろ…」「むしろ」「こんな失態を天空城の仲間に知られたらどうなるか…の、方が、怖いさ…まぶやーまぶやー」「…翼が折れるより怖い仲間って…」 #テニプリＤＱパロ

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それは、まるで待ち構えていたかのように静かに幹に突き刺さっていました。竜を模した美しい剣から溢れる神々しい輝きが、廻りの葉っぱを優しく照らしています。「…これが…天空の剣…」リョーマはゆっくりと剣に近づき、その柄を握りしめました。 #テニプリＤＱパロ

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持ち上げると、ふわりと軽やかに剣は抜けました。剣が刺さっていたはずの幹にはなぜか傷ひとつついていません。リョーマはその柄を強く強く握りしめました。まるで生まれたときからそうだったかのようにしっくりリョーマの手に収まります。 #テニプリＤＱパロ