茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第794回「スギちゃん、ワイルドだねぇ」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月4日の連続ツイート。 本日は、ふふふ、な話。
5
茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-12-04 06:54:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第794回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ふふふ、な話。

2012-12-04 07:14:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

すわ(1)あの時のことは鮮明に覚えている。ゼミの前に、学生たちといっしょにチェゴヤでお昼ご飯を食べていたら、突然、田辺史子が「茂木さん、スギちゃんって知ってます?」と言って、私が「ん?」となっていると、「ワイルドだろぉ」「ワイルドだぜぇ」と言って、何だかとても面白そうだった。

2012-12-04 07:16:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

すわ(2)それで、後で、youtubeで「スギちゃん」を検索したら出てきて、ものすごく面白かった。この度、「2012 ユーキャン新語・流行語大賞」を受賞したスギちゃんを、初めて知った瞬間である。見ながら、なるほど、これはこの時代に受ける必然たる理由があるなあ、と思った。

2012-12-04 07:17:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

すわ(3)スギちゃんの造形で重要なのは、前髪が一本、長く垂れているという点である。この髪型が、「ワイルドだろぉ」と言いながら、実は芯においては繊細な人物を見事に表現している。いうならば、ひきこもって自分の好きなことをしているオタクが、転じて(少し無理して)ワイルドにしている。

2012-12-04 07:19:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

すわ(4)スギちゃんの芸で画期的なのは、「○○したぜえ」と言いながら、時々自分で笑ってしまうというところだった。プロフェッショナルな笑いの文法では、通常は笑わせる方が自分で笑ってはいけないとされる。それが、思わず自分で笑ってしまうというところに、斬新なリアリティがあった。

2012-12-04 07:21:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

すさ(5)そして、「ワイルドだろぉ」と語られる内容も、時代に批評的だった。買ってあまりまだ飲んでいない炭酸飲料のペットボトルのキャップを捨ててしまう。気が抜けてしまうし、置くにも困る。そのような「不適応」なことを敢えてやってしまう、という点に、スギちゃんの前衛があった。

2012-12-04 07:23:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

すさ(6)というのも、時代は、あまりにもチマチマとして適応に満ちているからである。自分に得なこと、都合のいいことばかり器用に追い求める人、そのような生き方を勧める発言ばかりが目立つ時代に、実家から送ってきた米を送り返してしまうという意味のない行為が、かえって「自由」に感じられた。

2012-12-04 07:24:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

すさ(7)学生に教えられてスギちゃんの演技を初めて見たとき、私自身、なんかスカーっとするというか、青空がぱーっと広がっていくような思いがあった。「ワイルドだろぉ」と、ちまちました文脈適応をぶっこわしてしまうようなスギちゃんの芸に、心のエネルギーをもらった人は多いだろう。

2012-12-04 07:26:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

すさ(8)そのスギちゃんが、高飛び込みで怪我をしてしまって、本当にワイルドだった、というのが一つの身を張った「オチ」になっていた。その結果、少しお休みになったが、あれだけの才能がある人だから、また、何か別のかたちで、世間をあっと言わせてくれるにちがいないと思う。

2012-12-04 07:27:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

すさ(9)笑いの起源は、false alarm(偽の警告)にあるとも言われており、不安や恐怖の感情と表裏一体である。スギちゃんの「ワイルドだろぉ」が流行語大賞になった今年は、ワイルドになることが難しいと人々が感じる年だった。笑いは人を解放する。スギちゃん、ありがとうおめでとう。

2012-12-04 07:28:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第794回「スギちゃん、ワイルドだねぇ」でした。途中から「すわ」が「すさ」になっていたね。ごめん。連続ツイートの最初の二文字、あっさり間違えたぜぇ。ほとんど違っていたぜぇ。ワイルドだろぉ。

2012-12-04 07:30:56