寺岡睦さん @teraokamutsumi の作業機能障害の連続tweet

吉備国際大学作業療法学科の京極研学部ゼミで寺岡睦さん(@teraokamutsumi)に作業機能障害についてミニレクチャーしてもらいました。ご本人がその内容をtweetしていたのでまとめました。
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寺岡睦 @teraokamutsumi

今日は吉備国際大学京極研の学部ゼミで作業機能障害についてミニレクチャーしてきました。京極研は先週から山本研と合同で開催しているので大所帯です。私もハッスルしてしゃべくりました。

2012-12-07 15:53:52
寺岡睦 @teraokamutsumi

せっかくなのでミニレクチャーの内容を連続ツイートしていきま〜す。

2012-12-07 15:54:54
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害という概念が作業療法領域でメインストリームに躍り出るきっかけになったのは、人間作業モデル第1版です。これを読むと、作業機能障害が意志・習慣化・遂行・環境の組み合わせによって生じていることが分かります。

2012-12-07 15:56:45
寺岡睦 @teraokamutsumi

この流れは人間作業モデル第2版にも引き継がれ、作業機能障害学とでもいうべきような領域に独立していくかのように読めるのですが、第3版でごっそりこの章が消えてしまいます。

2012-12-07 15:58:03
寺岡睦 @teraokamutsumi

人間作業モデル第3版以降、人間作業モデルから作業機能障害の議論が消える理由は文献には明記されていません。けど、ディスアビリティスタディーズと人間作業モデルが間接的にリンクしたことが影響しているのではないかと私は考えています。

2012-12-07 16:00:41
寺岡睦 @teraokamutsumi

人間作業モデルから消えた作業機能障害という概念はその後、作業科学を中心とした領域で展開して行くことになるのですが、今から私が論じる作業機能障害はそうした流れを踏まえたうえで整理検討したものです。

2012-12-07 16:02:14
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害はいろんな研究がされていていろんな言い方がなされていますが、基本的にはやりたいこととかやらなきゃいけないことが適切に行えていない状態だと考えることができます。

2012-12-07 16:03:48
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害は人間作業モデルなどの概念を使って整理することもできるのですが、最近の研究の流れを見ると、作業機能障害のパターンを整理していく方向に進みつつあると思います。

2012-12-07 16:05:05
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業療法は方法なので、方法で解ける問題を整理する流れは妥当ではないかと思っています。方法とは、問題を解決するために存在しているからです。

2012-12-07 16:06:02
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害の種類は先行研究によってまちまちです。例えば京極は不均衡・疎外・剥奪・周縁化・混乱・不公正、他方でWhitefordは疎外と周縁化、Wilcockは不均衡・疎外・剥奪というようにです。

2012-12-07 16:08:06
寺岡睦 @teraokamutsumi

私はそういう議論を整理検討して不均衡・疎外・剥奪・周縁化の4パターンで網羅できると考えています。これについては現在印刷中の論文でまとめていますのでご参照下さい。

2012-12-07 16:09:20
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害の種類の1つである不均衡は生活行為のバランスが崩れている状態です。例えば入院したことによって作業役割が偏ってしまった場合がこれにあたります。

2012-12-07 16:11:27
寺岡睦 @teraokamutsumi

剥奪は外的要因によって生活に支障が出ている状態です。例えば入院したことによってやりたいことができなくなった場合ですね。

2012-12-07 16:12:31
寺岡睦 @teraokamutsumi

疎外は生活のコントロールができなくなって、やっていることに意味を感じられなくなった状態です。例えば身体障害を持ってしまったために生活に満足を感じられなくなった状態です。

2012-12-07 16:13:49
寺岡睦 @teraokamutsumi

周縁化はやっていることの価値が認めてもらえない状態です。例えば趣味の編み物をやりたいのに、そんなことよりも歩く練習しなさいと周囲からプレッシャーをかけられている状態がこれにあたります。

2012-12-07 16:15:18
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害は不均衡・疎外・剥奪・周縁化ごとに生じることもあれば、これらが重複して起こることもあります。

2012-12-07 16:16:08
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業療法は作業機能障害の改善に適用される方法なので、これら作業機能障害の種類を適切に評価し介入していく必要があります。

2012-12-07 16:17:07
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害の評価には構成的評価と非構成的評価があります。構成的評価にはADOC,OSA,COPMなどがありますが、作業機能障害の種類に直接焦点化したものはないので私の方で開発しているところです。成果の一部は来年論文で公表されるのと、この前の日本予防医学会で発表したものがあります

2012-12-07 16:19:38
寺岡睦 @teraokamutsumi

非構成的評価でも作業機能障害の種類は評価できます。その場合、自然な観察と会話をいかして作業について理解を深めていきます。結果は4条件メソッドをつかって示すと確かな内容にしやすいでしょう。

2012-12-07 16:21:20
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業療法では作業機能障害から作業機能状態へとシフトチェンジしていくような条件を作っていくことになります。

2012-12-07 16:22:33
寺岡睦 @teraokamutsumi

なお、作業機能障害を理解するとは、クライエントの問題点にばかり焦点化するという意味ではありません。利点と問題点は表裏一体なので、適切に問題点を把握できれば同時に利点も把握することができます。

2012-12-07 16:24:10
寺岡睦 @teraokamutsumi

利点が分からなければ問題点が分からないように、問題点が分からなければ利点もまたわかりません。クライエントの利点を引き出すためにも、作業療法士はクライエントの作業機能障害を把握できる必要があると思います。

2012-12-07 16:25:33
寺岡睦 @teraokamutsumi

また、作業療法はもともと暮らしに支障のある方への支援技術として発生してきました。ということは作業療法を活かすためには、暮らしにどんな支障があるのかを理解する必要があると思います。

2012-12-07 16:27:45
寺岡睦 @teraokamutsumi

作業機能障害の種類という切り口は、暮らしにどんな支障があるのかを理解しやすくしてくれるように考えています。つまり方法としての作業療法を活かすためにも問題の把握を明瞭にすることは必要だろうと思うのです。

2012-12-07 16:29:20
寺岡睦 @teraokamutsumi

というようなことを、京極研ゼミでミニレクチャーしました。ミニレクチャー後の議論では学部生達が作業機能障害の種類という切り口からがんがん議論していたので、ミニレクチャーの内容が伝わったと思いほっとしました。笑

2012-12-07 16:30:59