
そして一曲を流し、下の明かりが消えた。一息を入れたような間を経て、エレベーターは下がり、下の扉は開けっ放しで、また車が、やや迷ったように、手を振るように、バックから切り返して山の方に去っていく。
2010-08-14 04:47:48
「あの、ね」彼女が言った。「戦争が終わってから、私も聞いたことがあるの」「何を?」「うん」それは「総統閣下は、友人を大事にする人で、子ども達と遊ぶのが好きな人だったって……」「他には?」「うん」それは「……政見放送はいつもテープで、実は地元の放送を聞いてたんだって」
2010-08-14 04:50:26
僕は座って、やや明るくなった空を見て、灯りのある町を見ていた。まだ起きている連中が居る。いや、このまま朝を迎える連中が居るのだろう。彼らは、ひょっとしたら先程の放送を聞いていたかも知れない。
2010-08-14 04:51:18
だから僕は通信機のスイッチを送信側にする。ヘルツはいつもの通りだ。ずっと前からの、いつも通りだ。今は夜でも、十二時でもない。だけど”英雄”の放送は時間を進ませた。ならば僕達の”ごっこ”も、時間を進ませよう。
2010-08-14 04:53:12
東の空が明るくなる。僕は君を横において、マイクを握る。あれからどれだけ過ぎたろう。今、手元の機械は壊れることなく、僕の声も昔より低くなった。
2010-08-14 04:54:02
こういう、夜更けから朝に掛けてリアルタイムで流したかった話しなもので。丁度、コミケ準備とかで音楽聞きつつ色々やってる人にはいいかな、と。
2010-08-14 04:56:10
@kawakamiminoru あと、休憩なしで一気にやってるのがすげーです。内容も鮮やかで、楽しませて頂きました。ありがとうございます!
2010-08-14 04:58:50
@fujiwarayu いやもう途中から集中すると時間あっという間ですな。kb的にはあまり書いてない気がします。一人称なので、切るところも割合自由で気楽ですしね。
2010-08-14 04:59:28
@fujiwarayu つーか藤原さんはこんなのよー何度もやりますわ……。もの凄く改めて感動というか。ええ。すげえー……。
2010-08-14 05:00:48