狂人演説(2012/12/08):脳科学と自由意志いろいろ
- nokkaranoumu
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いくつか読んでる脳の本だと(皮肉なことにこの手の実験の先駆者である故ベンジャミン・リベット本人を除く)、「自由意志は別に行為と関係ない、行為も自由意志も脳の活動の結果にすぎないので間接的な関係しかない」と書いてある。
2012-12-08 14:35:09多分「意識や自由意志は行為と関係ない」というのは、これは単一の行為(という表現はまずいのかも知れないが)なら正しいのだろう。
2012-12-08 14:38:32だが、意識的に練った行動計画が運動野の活動の原因となることは当然あるので、「何かやっちゃった後で軌道修正する」という複雑な行為においては意識や自由意志は行為の原因たりえているはず。
2012-12-08 14:38:43それとは別に、意識や自由意志って何だろう、本当にそれは自由なのか、ということもある。意識がノー根拠で存在しうるということではもちろんないだろう。ダマシオの研究からは、「意識は身体の情動に対する脳の知覚である感情と、脳の要約機能で出来ている」ということになる。
2012-12-08 14:43:10それとは別に、「意識は意識以前や意識以後の心(これも要約機能の産物で、意識よりでかいくくりになっちゃうが)に対して、間接的ながらも(直接直すのは運動野だからね)軌道修正する原因たりうる」というのはこれも確かなところだろう。
2012-12-08 14:47:14意識は意識以前の要素(感情等)を(感情等の力の組み合わせによって)コントロールできるので、結果的に意識そのものに循環的に影響を与えうる。複雑なものは単純なものより複雑なことができる。これもその一つだ。
2012-12-08 14:51:59自由意志は、「自分の構成要素に規定されている」という意味ではちっとも自由意志ではないのだが、「自分の構成要素をある程度自由に変えられる」から、「自分自身をある程度自由に変えられる」、という意味では確かに自由意志なんじゃないか、という。循環構造があるから可能な仕組みとも言える。
2012-12-08 14:57:03複雑な物理法則で循環的なものは(つっても多くのものは循環的だが)何か生命とか、神経の入出力再入力とか、軌道修正的な自由意志とか、そういう複雑な機能をもたらすのだ。
2012-12-08 15:00:30単純なものから複雑なものになったとしても、現場で機能しているのは単純な力なのだ。足し算を繰り返すのは掛け算であることと実質変わらん。足し算より掛け算の方が複雑だとみんな思うだろう。が、でも実際は「複雑」な掛け算も「単純な」足し算の繰り返しと実質変わらんとも言える。
2012-12-08 15:06:05神経の入出力再入力や、軌道修正的な自由意志というのも、単純な足し算と複雑な掛け算が同じだという関係にすぎないんじゃないか。われわれは神経や自由意志を特別視する(これは知識=意味記憶のもたらす影響でもある。後述)が、それはたいへん複雑なだけで、つきつめると物理化学的現象にすぎない。
2012-12-08 15:09:26何かを特別視する(意味があるとする)ことで優先度高めて扱いやすくしようとか、そういう知識を階層構造や集合として扱うと便利度が増すとか、そういう機能が、いわゆる意味記憶の機能には備わっている。
2012-12-08 15:18:13心にとって階層構造や集合カテゴリは水が谷を流れるが如く便利なので、「論理→数学→統計→物理→化学→天文→地学→生物」みたいな階層構造を見出すし、「数学カテゴリ」や「生物カテゴリ」というのを作りたがる。
2012-12-08 15:19:58あるレベルの複雑なものに「数学カテゴリ」や「生物カテゴリ」というラベルを貼ることで扱いやすくするんだな。これが「入出力再入力する神経」や「軌道修正する自由意志カテゴリ」でも全く同じ。根本は単純なものと変わらない。名前と複雑さが違うだけだ。
2012-12-08 15:21:09だから意識や自由意志は「複雑になった各要素の力で単純な各要素を修正して(結局単純な力で単純なものを修正しているのと変わらないのだが)、自らの意識や心そのものを軌道修正できる」という意味では自由だし、「各要素に拘束されている」という意味ではまるで不自由である。
2012-12-08 15:25:44自由意志をより「自由」にするには、やはり自由意志の要素である知覚・記憶・思考・感情等を拡張するしかないんだな。普通こういう時に問題になる「自由」は、「何かの問題を解決できない」のを「解決できるようにする」ことなので、問題解決に役立つ素材がないのに自由になんかなれっこない。
2012-12-08 15:30:33「自由意志」は「自分を軌道修正できるから自由」であるが、「要素には拘束されているので、因果関係からは別に自由ではない」し、「要素を拡大すればより自由が拡大する」。あと「自由意志は単一の行為には動因たりえない」が、「連続した計画的行為の動因にはなりうる」。こんなところかな。
2012-12-08 15:35:07何か他の人は憲法論議しているが(さっきまで俺もしていた)、読んでいた本の影響で「自由意志とは何ぞや」という話をしてしまった。実はこれでは「計画的に好意を軌道修正できない人には自由意志なんかあったってしょうがない」とか法学上ヤバげな話になるかも知れないのだが、それはまた別の機会に。
2012-12-08 15:39:35