モーリーロバートソンさんダブステップからグローバリズム、生き方を語る

ハウスやテクノが「老舗の蕎麦屋」ならダブステップはなんでしょう…。コンビニかな。 政治的、原発方面の発言についてはデコっていません。 (編集者のデコで恣意的なまとめになるのを避けるためです)
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モーリー・ロバートソン @gjmorley

BBCのラジオドキュメンタリー『ダブステップの歴史』予告編> A History of Dubstep in 4 Minutes - BBC Radio 1's Stories: http://t.co/KkzqkxEW ☆2000年ごろにサブカルチャーだった音楽が一気に国際化。

2012-12-10 09:15:30
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モーリー・ロバートソン @gjmorley

ぼくは2010年にダブステップに出会い、ジャーナリストとして見た時にソーシャル・ネットワークや企業の投資で急成長し、当初の限定的な地域性や音楽の遺伝子を継承しながらも急激に変化し続けるさまを見て「まさにグローバリズムそのものの音だ」と思い、飛び込みました。これを機会にDJも開始。

2012-12-10 09:18:28
モーリー・ロバートソン @gjmorley

2000年ごろをピークに日本のクラブシーンは、近年落ち着いてきた文化であるとの印象を持っていますが、これとは対照的に2010年以降世界へとマーケティングし、各地でスターを生み出しているダブステップは「動」そのもの。貪欲にポップスがリミックスされ、資産そのものの波動が入ってます。

2012-12-10 09:20:28
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ハウスやテクノが「老舗の蕎麦屋」だとするならダブステップは…なんだろう?ユニクロやソフトバンクでもないし、でもちょっと被っているような面もある。音楽のスタイルがどんどんと変わっている要因は何重にもあるのだけど、ツールが水平に普及したこと、携帯端末による決済とお金の動きも大。

2012-12-10 09:21:57
モーリー・ロバートソン @gjmorley

さらに興味深いのは、2000年代中旬にBBCのカリスマ司会者・DJがダブステップを南ロンドンやブリストルから全国区へとプッシュをかけ、世界へと発信したこと。日本に当てはめると、NHKがダブステップ番組をやってシーンを後押しし、企業がクラブ業界に続々参入、といった感じです。

2012-12-10 09:24:04
モーリー・ロバートソン @gjmorley

仮にナイキやローソンなどがクラブを開設した場合、上級の接客、徹底した合理化、ユーザー体験、収入チャンスの多様化、他の業態との掛け合わせなど、ベンチャー精神で乗り込むはず。入場料は1000円前後の日も普通に。パーティーはノン・アルコールで日中という選択肢も。資本主義的にバラ色。

2012-12-10 09:26:36
モーリー・ロバートソン @gjmorley

メインストリームのリミックスはもちろん、子供向け番組やコマーシャルにも使われ、DJコンテストを企業がスポンサー、音楽制作ソフトなどの講座が開設され、音響のプリセットを個人が販売し、さまざまに細分化されたシーンにはグラフィック・デザインや映像、ファッションのクラスタが発生し…

2012-12-10 09:29:25
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ざっとライフスタイルとお金のエコシステムができるざます、という絵です。以前対談でも申しましたが、風営法の緩和を求める上で、ぼくは業界そのものの再構築が大前提になると考えています。今までのクラブ・シーンのあり方や業態そのものを温存して『守ってあげる』義務が国にあるかというと、疑問。

2012-12-10 09:31:17
モーリー・ロバートソン @gjmorley

節々で国が介入し、企業が儲けのきっかけを作り、成り上がるクリエイターも登場し、観光収入にもなり、若い世代のハートに火をつける。そんな役割をクラブシーンが果たせることは、欧米各国を見れば一目瞭然です。このエコシステムや儲けの機会を因習や先入観、そして無知に縛られて見送っていいのか?

2012-12-10 09:33:55
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ジャーナリストとしても問いたいのはそこ。アーティストとしては、ダブステップは噛み締めるほどに奥深いので、飛び込んでいきたい。一番売れている「セルアウト」な楽曲をよく聞くと、キャッチーなだけではなく商業デザインとしても優れている作品が多い。才能が結集しているシーンなのです。

2012-12-10 09:35:18
モーリー・ロバートソン @gjmorley

『セカンド・サマー・オブ・ラヴ』当時、レイブシーンは人が集まる形態や音楽のすべてに反権力と搾取される側からの反抗、というテーマが通底していました。手作りであり、お金のためではなく、お金に縛られない生き方=自由を追求する手段、麻薬も含めて快楽を追求するという生き方がそこにあった。

2012-12-10 09:39:24
モーリー・ロバートソン @gjmorley

そして10年。ソーシャル・ネットワークに至るITの普及が先進国では急激に、新興国でも相当な速さで進み、2011年にはITインフラを駆使した「アラブの春」も起こり、オンラインと現実世界が、ややシームレスに。「権力側」「資本側」にいる人間が「草の根」とコラボする事例も頻発。

2012-12-10 09:41:06
モーリー・ロバートソン @gjmorley

つまり現在の(日本の外で)巨大な儲けのマシーンと化したクラブ・シーンは、本質的に水平化から生まれ、水平化を推進するような役割も担っているのだと読んでいます。もちろん個別には相変わらず搾取や未払いなどの弱い者いじめもあることでしょう。ただ、これらが徐々にすべて可視化へと進んでいる。

2012-12-10 09:42:27
モーリー・ロバートソン @gjmorley

もはや2000年当時の比較的単純な「反権力」の世界観が成り立たなくなり、誰も彼もが相互依存している状態。中国やアメリカの外交上のふるまいが気に入らなくても、それらの国なくしては自分たちもやっていけない。だからむしろ積極的に関わっていって建設的なソリューションを探す方がベター。

2012-12-10 09:44:08
モーリー・ロバートソン @gjmorley

現在はダブステップがグローバリズムの権化のように振る舞いつつ急激に進化していますが、今後また別の形態が派生し、より予測不可能でおもしろい方向へと音楽が爆発していくことは十分可能。「ダブステップが西洋で流行っているから、そろそろ日本でもね」といった「呼び屋の思考」では追いつかない。

2012-12-10 09:45:46
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「資本家の手を借りない、ぼくらの手作りスクワットなユートピア」は、今日の先進国では以前に輪をかけて実現しにくい状況です。完全に自給自足のコミューンを作ったとしても、維持運営するには現金と電力が必要であり、主流社会のグリッドに依存することになる。心情では独立しても物理的に依存。

2012-12-10 09:48:46
モーリー・ロバートソン @gjmorley

なので「善人の反権力側」VS「支配・搾取・人命軽視の資本+権力」という単純な白黒の地図で生きようとすると、かなり無理がある。それどころか現実と乖離した認識を仲間同士で維持しなくてはならなくなり、心の病気と厭世的なものの見方を誘発することになる。自分からあえて負け組を目指す生き方。

2012-12-10 09:51:14
モーリー・ロバートソン @gjmorley

小泉旋風時代の拝金主義や金持ち崇拝でもなく、個々人が本来の自分自身のあり方に強い根を張って気持ちよさ、開放的な人間関係、コミュニティー、冒険、経済活動を追求する、資本とも有機的、積極的に関わっていくバランスの良い社会像を思い描いています。00年のITバブルで無視されたオルタナ。

2012-12-10 09:53:36
モーリー・ロバートソン @gjmorley

反権力の流れを組む言説は今は脱原発に焦点を絞っていますが、TPP・米軍基地・対中対韓の外交などに場面を置き換えて「野党VS与党」で前にどこかで見た「闘い」の延長が宣言されるだろうと思います。でも、それらは前の時代のルールを今に持ち込んでいる時点で、成功する道を自ら閉ざしている。

2012-12-10 09:56:38
モーリー・ロバートソン @gjmorley

極端に左翼・右翼へと振り切れた煽動のアジテーションは今後もしばらく続くでしょう。泡沫政党が議席を取ろうものなら、アジることこそが存在意義。ただこれらは左右を問わず、まちがった世界観から出発している現実逃避である点で共通しています。幸せになれない人のマニュアル。

2012-12-10 09:59:23
モーリー・ロバートソン @gjmorley

身も蓋もない言い方になってしまいますが、悪者を想定してその悪と戦う壮大なドラマに自分を置くことは、自分が本来やるべきことをうっちゃらかす格好の口実になります。「ぼくらの革命を達成したら、すべてうまくいくから!」という掛け声は身内では通用するけど、外の世界からは冷たく見られる。

2012-12-10 10:01:23
モーリー・ロバートソン @gjmorley

本当に世の中を変えたいと思ったなら、むしろ一回、一人に戻ること、立ち止まる勇気を持つことをおすすめします。

2012-12-10 10:04:48
モーリー・ロバートソン @gjmorley

自分や仲間たちを苦しめるバビロンを呪いながら、禁欲的なその日暮らしの中、まずいものを食べ、無頓着なかっこうをし、5感を次第に麻痺させるカルトな生涯より、自分の心に誰も知らないお花畑を育て、溢れ出る喜びを世界と交換し、知らない場所へと旅する、そんなお花摘みの生き方の方が、好きです。

2012-12-10 10:08:56