山本じん個展トークショー・レポート

大阪・中崎町の「アラビク」「乙女屋」で開催の、山本じん個展[La lumière au fond des ténèbres-闇の奥の光-]。12月8日にあったトークショーのようすを、寮美千子がレポート。
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寮美千子 @ryomichico

山本じん個展 [La lumi re au fond des t n bres-闇の奥の光] 大阪・中崎町「アラビク」「乙女屋」で開催中。本日午後6時から作家のトークショー http://t.co/buFyboBM わたしも行きます! @Arabiq_owner

2012-12-08 13:10:10
寮美千子 @ryomichico

【寮美千子さんより、山本じん讃】 http://t.co/mC6ivJoF ←アラビクで開催中 山本じん個展[La lumière au fond des ténèbres-闇の奥の光-] に寄せた推薦文。山本さん、この推薦文を見てタイトルを決められたとのこと

2012-12-08 13:15:39
寮美千子 @ryomichico

@Arabiq_owner @sakuranousagiya いちばん前に座ったせいで、なんだか横入りしてしまって恐縮でした。すばらしいお話を聞かせていただいて、感謝!

2012-12-09 00:46:00
寮美千子 @ryomichico

大阪中崎町「アラビク」での【山本じん個展 闇の奥の光】作家トークショーに行ってきた。じんさん、いつもながらダンディで美形の62歳。「アラビク」「乙女屋」の2店舗で開催中の個展、すばらしかった。小さな場所がぎっしり「山本じん」アトモスフィア http://t.co/buFyboBM

2012-12-09 00:47:55
寮美千子 @ryomichico

トークショーの冒頭で、僭越ながら案内状に書かせていただいた「山本じん讃」 http://t.co/mC6ivJoF を朗読させていただいた。じんさんも、アラビクさん乙女屋さんも、この推薦文を気に入ってくださったそうで、うれしい

2012-12-09 00:48:08
寮美千子 @ryomichico

山本じんさんとアラビクの森内さんのトーク、実に内容が濃かった。畳表の町・岡山県早島の絵の好きな少年だった時代のこと。美容院を経営していた叔母の薦めで美容師になったこと。東京に出て雑誌「an an」のヘアを担当した花形美容師時代。ご結婚を機に画家を目指ざされたこと

2012-12-09 00:48:45
寮美千子 @ryomichico

山本じんさん、新婚時代に奥さまから「あなたの本当にしたいことは?」と問われたという。よくよく考えてみたら、やはり絵を描きたい。花形美容師をすっぱりやめて、アルバイトをしながら絵を描き、お金を貯めて1年間フランスに留学。しかし、無名の画家の絵が簡単に売れるわけもない

2012-12-09 00:49:14
寮美千子 @ryomichico

コネもツテもなかった山本じんさんが銀座の名門画廊「永井画廊」で個展を開催したのが1980年のこと、30歳の時だ。紹介してくれたのは美術評論家のヨシダヨシエ氏。彼に紹介してくれたのはバリ舞踊家の辻村和子氏。じんさんは、辻村さんのところでバリ舞踊を習っていたという

2012-12-09 00:49:38
寮美千子 @ryomichico

「当時、お金がなくて、豆腐屋でアルバイトをしながらの暮らし。バリ舞踊のレッスン代は、いつも豆腐か油揚げ」山本じんさんにそんな時代があったとは! バリ舞踊を習っていたと聞いて、合点がいった。デフォルメされた人体でもしっかりリアリティがあるのはきっとその身体性ゆえだ

2012-12-09 00:49:55
寮美千子 @ryomichico

バリ舞踊が、銀座の名門画廊への道を切り拓いてくれるとは、山本じんさんも思ってはいなかっただろう。一生懸命になにかをやる。心の芯に強い輝きを持っている人は、きっとその光がいやでも洩れ出て、人が助けてくれる。結果として、自ら道を切り拓くことになる

2012-12-09 00:50:15
寮美千子 @ryomichico

「ともかく死ぬまで絵を描き続けたい」と山本じんさん。それなのに一時期、絵を描かず、何をしたいのかもわからない時代があったという。子ども時代、絵を描けば誉められ、賞ももらったが、手を抜いても賞がもらえた。「なんだ」と思い、つまらなくなってしまったという

2012-12-09 00:50:34
寮美千子 @ryomichico

もう一つは、お母さまとのつらい別れ。悲しくて泣いてばかりいた子ども時代があったという。思い出しながら話す山本じんさんの目がうるむ。聞いていても、涙がこぼれそうになる。そんな悲しみが、じんさんの絵の芯にあるのかもしれない。真珠色の光に満ちた作品は深い悲しみを癒す

2012-12-09 00:51:01
寮美千子 @ryomichico

「人形」と「彫刻」の違いのお話も面白かった。山本じんさんは、自分が作る作品が「人形」であることに大きな誇りを持っていらっしゃる。抱きしめたくなるいとおしさ、があれば、それは机の形をしていてもなんの形をしていても、人形であるという

2012-12-09 00:51:20
寮美千子 @ryomichico

彫刻は、形を写すこと。しかし、人形は、自分の中にある説明できない何か、イメージのクラウドのようなものから、形を作っていくものではないか、と山本じんさん。彼が、幻想美術の作家であることが、よくわかるお話だった

2012-12-09 00:51:34
寮美千子 @ryomichico

1980年頃に制作した3体の人形を、自らの手で壊してしまったお話も。「永井画廊」で展示し「美術手帳」に掲載された、胸の空洞に硝子の破片の刺さった球体を抱いた作品も、打ち壊してしまったという。「あの作品は?」といまでも聞かれ、申し訳ない気持ちになるそうだ

2012-12-09 00:51:59
寮美千子 @ryomichico

壊された3体の人形は、いずれも女性だったという。だから…と精神分析するつもりはないが、たいへん興味深い。カッとなってではなく、冷静に、しかし一気に打ちつけるように壊したそうだ。いまはもうこの世にいない人形たちの魂は、どこをさまよっているのだろうか

2012-12-09 00:52:24
寮美千子 @ryomichico

壊した理由は「いまでも、わからない。向き合っているのがいやだった」と山本じんさん。芸術家が、そのようにして、自分の創造したなにかを自ら壊し、捨てて、進むべき時があるのだろう。人形たちは、作られ、壊されることで、その一生をまっとうしたのかもしれない

2012-12-09 00:52:38
寮美千子 @ryomichico

山本じんさんから、後進の人形作家への言葉「どこのどんな目玉を使うか、みんなそんなことを気にするけれど、大切なのは『まなざし』。何を見ているのか、見ようとしているのか、そのまなざしがあれば、高級なガラス製の目玉でなくても、石ころでも構わない」

2012-12-09 00:52:55
寮美千子 @ryomichico

山本じんさんが画材として使いこなしていらっしゃる銀筆のお話もたいへん興味深かった。その存在は知っていても、実物を見たことがなく、指輪などを作る工房に頼んで、独自に銀筆を作り、試行錯誤を重ねて、技法を開発したという。すごいな

2012-12-09 00:53:14
寮美千子 @ryomichico

山本じんさんのおじいさまは、大工さんだったそうだ。「甚三郎」だったか「甚太郎」だったか、わたしははっきり覚えていないけれど、そういうお名前。「じん」という作家名はおじいさまのお名前から。手先の器用さは、もしかしたら、おじいさまから受け継がれたものかもしれない

2012-12-09 00:53:33
寮美千子 @ryomichico

「山本じん」というすばらしい作家の展覧会を、関西で開いてくれたアラビクさん、乙女屋さんに深く感謝する。独特の小さな空間が、作家の作品の放つ美の微粒子で満たされている。そこにいるというだけで、至福の時間が過ごせる @Arabiq_owner @sakuranousagiya

2012-12-09 00:54:59
寮美千子 @ryomichico

山本じん個展 [La lumi re au fond des t n bres-闇の奥の光] 大阪・中崎町「アラビク」「乙女屋」で開催中 http://t.co/buFyboBM  12/18まで(乙女屋・アラビク2会場) 12/20〜28(アラビクのみ)

2012-12-09 00:56:34
寮美千子 @ryomichico

よかった。ありがとう。山本じんさんの個展、ぜひ!印刷では実感できないすばらしい美に触れられます。http://t.co/buFyboBM QT @mitsuami_chan レポ読んでいるだけでも、作家としてすごく胸に刺さるものがありました。

2012-12-09 01:19:03
寮美千子 @ryomichico

山本じんさん「ともかく、楽しいのが大切。作品制作が、楽しくて仕方ない。がんばりすぎて首や肩が苦しくなることもあるけれど、それでも楽しい」と。わたしも、作品を書くことが楽しくてならない。連載でも「苦しんだ」という覚えがないほどだ。創作は楽しい!

2012-12-09 01:22:58
寮美千子 @ryomichico

山本じんさん「お人形は、仏像に似ている」 アラビクの森内さん「でも、もっと個人的でしょう。仏像はみんなの信仰の対象だけど」 山本じんさん「そうかもしれない」 個人的なものを、どこまでも突き詰めていくと、いつのまにか誰の心にも通じる場所に行きつくのかもしれない

2012-12-09 01:27:09