憂い顔桂おじに滾った結果のSSまとめ

はにぃ。@シュテ市民兼ウルク民な審神者 @honey_boogie_TB

酷い事件のあとヘラヘラ笑いながらどっか行ったおじさんが許せなくて追いかけたばにちゃんが見つけたのが総集編桂おじでそれを見つめているのが総集編桂バニーなえすえすをつぶやきたかったけど仕事に戻ります

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「こんなのでいちいち落ち込んでたら、ヒーローなんてやってけねぇぞ？」軽い調子で告げて、おじさんは足取りも軽くトランスポーターを後にした。何故平気な顔をしていられるんだ。こちらはまだ、…人の焼ける臭いが残っているような気さえ、するのに。→

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人の命を何だと思ってる、なんてあの人が食ってかかってきたのはつい最近の話だ。自分の事を棚に上げて僕に説教するなんて、とんだ二枚舌じゃないか。そんな風に考えだしたら、妙に腹が立ってきて、気づけば僕はおじさんを追っていた。一言言ってやらなきゃ気が済まない。→

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ざり、とブーツの底が鳴る。追いかけるまでもなく、おじさんはトランスポーター専用の駐車場の隅に佇んでいた。全ての感情をそぎ落としたような無表情が、帽子の影で陰鬱さを増している。…こんな顔をしたこの人を見たのは、初めてだった。どんなに真面目な表情をしていても、怒った時でさえ、→

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生来の快活さが伝わってきたというのに、今のあの人はただ、憂いに身を委ねているように見えた。声をかけることすら出来ずに、僕はただ彼を見つめる。僕の知らないあの人を、隠されたバディの姿を目に焼き付けた。…何故だろう、胸が引き絞られるような気がして。けれど、目を逸らす事ができなかった。

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この人は、いつもこんな風に一人で哀しみに耐えていたのだろうか。明るく、まるで憂いていないそぶりをして、誰にも縋ることなく。…そう考えて、初めて彼がどんな思いで忠告を寄越したのか分かった気がした。→

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「バニー…」ふと、おじさんが顔を上げた。ひくりと口の端を持ち上げようとして、諦めたように顔を背ける。「…おじさん」「悪ィ、一人にしてくれ。…偉そうに説教しといてこのザマだ。笑いたきゃ笑えよ」嘯く声も覇気がなくて、気付けば僕は無言のままに歩み寄って、その痩躯を抱きしめていた。→

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何故、どうしてこんな事をしたのかわからない。けれど、拒むかと思ったおじさんは無言のまま、何のリアクションも起こさなかった。…いや、抱きしめた腕は彼がごく僅かに緊張を解くのを感じ取ったけれど、どうしていいかわからなかったのだ。無言のまま彼を抱きしめるうち、僕は自分の中の→

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ドロドロとした不の感情が、少しずつ和らいでいくのを感じた。人肌が心を癒すなんて、知識ではわかっていても実感したことなんてなかった。相手がこんなおじさんだというのは甚だ不本意だけれど。…どれくらいそうしていたのだろう。長い時間が経った気がするけれど、案外そうじゃないかもしれない。→

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おじさんが無言でとん、と僕の脇腹を叩いて、僕は慌てて抱擁を解いた。気まずい。だって理由を訊かれても、僕は答える言葉を持たないのだ。でも気まずいのはこの人も同じだったみたいで、彼は目を合わせないまま「戻るぞ」とだけ呟いて事業部直通エレベーターへと向かっていった。→

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そんな事があったあとも、僕たちの関係に特に変化は無かった。あの人は相変わらずお節介で、僕はそんな彼を邪険に扱って。でも、そんな彼を見る僕の視線にほんの少し色がついたのは、本人には絶対秘密だ。…そこはやっぱり、悔しいので。 おわり