「NPOもやい」稲葉剛さん:生活保護の扶養義務強化などに見られる「絆原理主義」への批判

「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」代表理事・稲葉剛(いなば つよし)さんによる《生活保護の扶養義務強化などに見られる「絆原理主義」への批判》をまとめさせていただきました。
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稲葉剛 @inabatsuyoshi

新宿の路上の状況は、野宿になったばかりの若年層と、生活保護申請への心理的ハードルが高い高齢者に二分化されているようです。人数的には高齢者の方がずっと多く「家族に扶養照会をされたくない」「福祉利用は後ろめたい」という理由で生活保護申請をためらう70代の方も珍しくありません。(続)

2012-12-10 09:30:43
稲葉剛 @inabatsuyoshi

(承前)現行制度のもとでも、このような状況なので、選挙後の新政権において、生活保護の扶養義務強化や水際作戦強化が行われてしまえば、制度利用がさらに抑制され、路上生活者が増加するのは必至です。最後のセーフティネットの穴が大きくなれば、社会の底が抜けてしまいます。

2012-12-10 09:37:22
稲葉剛 @inabatsuyoshi

(承前)一部の政党は「生活保護を受けることを恥だと思わなくなったのが問題だ」と、スティグマ(制度利用を恥だと思う意識)と偏見を煽り、制度を利用しづらくする方向で生活保護を変えようとしています。その結果は困窮者だけでなく、社会全体に及ぶ、ということを知ってもらいたいと思います。

2012-12-10 09:48:54
稲葉剛 @inabatsuyoshi

生活保護「見直し」の問題は、貧困問題にとどまらず、社会全体の基本的人権の問題にも直結します。自民党の世耕議員は生活保護利用者の「権利の制限は仕方ない」と主張。 http://t.co/T46dxVcC (続)

2012-12-10 10:10:18
稲葉剛 @inabatsuyoshi

(承前)この世耕議員の論理を認めてしまえば、医療・年金等、直接間接に税金投入がされている制度の利用者は、人権を一部制限されても仕方ないということになります。少数派の人権が制限されれば、「関係ない」と思っている人の人権もいずれ制限を受けることになるのです。

2012-12-10 10:15:19
稲葉剛 @inabatsuyoshi

本日発売の『クロワッサン』(マガジンハウス)P60に、私へのインタビューに基づく記事が掲載されています。生活保護の扶養義務強化などに見られる「絆原理主義」(私の造語ですが)への批判を行なっています。ご一読ください。

2012-12-10 13:11:05
稲葉剛 @inabatsuyoshi

生活保護バッシングに見られる自民党議員らの言動へのネーミングをいろいろ考えましたが、「絆原理主義」というのが一番ふさわしいのではないかと思いました。新自由主義により拡大した様々な矛盾を家族や地域の「絆」に負わせ、国家責任を後退させようとする発想。自民党の改憲案はその典型です(続)

2012-12-10 13:42:37
稲葉剛 @inabatsuyoshi

(承前)原理主義の特徴は、現実社会に関心がなく、教条を振り回すことにより、その理念本来の価値を逆に損なってしまうこと。「絆原理主義」も同様です。家族や地域の「絆」を上から押しつけることは、自発的な支え合いの関係を逆に破壊しますが、原理主義者はその結果に関心を持っていません。(続)

2012-12-10 13:44:23
稲葉剛 @inabatsuyoshi

(続)12月16日の選挙結果次第では、こうした「絆原理主義」の政治勢力が国会の多数派を占めてしまう、ということになりかねません。多数派の人々が「なんだかんだ言っても最後は現実的に対応する自民党」という過去の印象を捨てきれないことから悲劇が生まれるのではないか、と懸念しています。

2012-12-10 13:50:46