舞城王太郎Twitter連載小説「NECK the seventh」第109話~第120話

8月21日公開の映画『NECK ネック』の原案を担当された舞城王太郎先生が、映画の公開に合わせてTwitter用に書き下ろした「NECK the seventh」の第109話~第120話をとぅぎゃりました。
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映画「NECK ネック」 @neck_movie

(109)俺は訊く。 「久里緒さん、君、お父さんを取り戻したい?」  すると久里緒が俺を見つめてしばらく黙り、言う。 #neckthe7th

2010-08-12 12:00:07
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(110)「いいえ。お父さんは死んで、私たちは悲しくて、でもその悲しみが癒され始めたころにお父さんが帰ってきて、でもそのお父さんもこれからゆっくり失うことになるんです。 #neckthe7th

2010-08-12 15:00:06
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(111)これは、突然の死よりもある意味では悲しくて、でもある意味ではありがたいんです。ゆっくりお別れできるってことですから」 #neckthe7th

2010-08-12 18:00:06
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(112)「でも、」と俺は確かめる。「もしそのお父さんが、死なずに、元通りのお父さんとして蘇るとしたら?」 #neckthe7th

2010-08-12 21:00:09
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(113)この質問に、久里緒は少し驚きながらも、どうしてそんなふうな言葉で自分たちを惑わすのかと苛立ったような顔をする。 #neckthe7th

2010-08-13 12:00:07
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(114)「・・お父さんは一度死に、もう一度死んでいこうとしてるんです。私たちはそれぞれを受け入れて、なんとかやり過ごそうとしてるんです。はっきり言うと、これ以上の混乱は、困るんです」 #neckthe7th

2010-08-13 15:00:07
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(115)なるほど。・・そうか。  「わかりました」と俺は言う。「そういうことでしたら、俺の方からは何にも言うことないね。・・うん。お騒がせしました」  玄関を出ようとドアに向き直った俺に久里緒が言う。 #neckthe7th

2010-08-13 18:00:06
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(116)「あ、あの」「はい」「台無さんは、どういう用件でいらっしゃったんですか?具体的には。・・このお父さんのことだったんですか?」 #neckthe7th

2010-08-13 21:00:07
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(117)「・・そう。近所の人から、お父さんを見かけたっていう証言があってね」「そうか・・でもお父さんずっとおうちの中にいて出かけたりしないですけど。けどどっかで見られてるんですね。どこの人が見てたのか教えてもらえます?」 #neckthe7th

2010-08-14 12:00:06
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(118)「それはちょっと」「・・わかりました。とにかく気をつけます。香典詐欺みたいに言われても困りますから」「はは。だね。十分気をつけて。じゃあ、また」 #neckthe7th

2010-08-14 15:00:07
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(119)「不思議なことってあるんですね」「・・そうだな。悲しい不思議ですよ」「・・はい」 「じゃおやすみなさい」「はい」 俺は玄関のドアを開け、車に戻る。 悲しみはこれからだ。 #neckthe7th

2010-08-14 18:00:05
映画「NECK ネック」 @neck_movie

(120)横溝正敏の頭には心の位置を教えてやらない。俺はこの足で消え、逃げ続けよう。 #neckthe7th

2010-08-14 21:00:06

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