時をかける犬
「…お兄さん、だれ。」自分の手を引いて走るこの人は誰なんだろう。赤いシャツにすらりとした長身、黒目に--あの柔らかい髪色を例える術を僕はまだ知らない。炎を従えるこの男の名前は。「どうして僕を助けてくれるの?」後ろから迫る怒号。怖い気配。「飼い犬がご主人様を助けるのは当然でしょ?」
2012-10-11 09:21:10というIF。過去の自分が殺された事により消えてしまった飼い主と、それを救うために時をかけた飼い犬。 子供時代、未来からの干渉により本来なら正史にない過激派の報復により八坂家は危機に陥りその一人息子を喪う。それを阻止するために未来のご主人様を助けに来た飼い犬とか。 俺得。
2012-10-11 09:25:29「恋人?お父さんとお母さんみたいな?カップル?」「うん。」「でもお兄さん男じゃん。」「…うん。」「それに僕、好きな人がいるよ。近所に住んでるお姉さんの、」「……知ってる。」 膝を折って、その白く柔らかい手に恭しく口付ける。 でもきみは将来、俺だけの御主人様--恋人になるんだよ。
2012-10-11 09:49:09また元の時代に戻る時、今ここで近所のおねーさんを殺しておけば異能八坂に女性恐怖症とトラウマは芽生えず--だが、そうすれば自分とは恋人になってくれなかったかもしれないという葛藤をするまでデフォな。
2012-10-11 09:52:07「ちひろのかみ色ってキレイだね。なんて言う色なの?」「ん?コレ?亜麻色って言うからきちんと覚えておいてねェ。」「あまいろ、…あまいろのかみのおとめ!!」「乙女じゃないけどね。」 ICOみたいに、まだ柔らかいその手を引いて危険から逃げる異能深國とショタ八坂とか可愛くね?可愛くね?
2012-10-11 09:55:33今まで自分を抱え手を引いて走ってくれていた男がずるずるとその場に座り込む。「大丈夫?ちひろ。つかれた?」「んー、ちょっとねェ…休もうか、潤。」「このこんじょーなしめ。」「辛辣…。」 ひと気のない路地でそのまま体育座りして肩で息を整えている。その微かに上下する頭にそっと触れた。
2012-10-11 13:45:18「あまいろの、ながいかみを、かぜがやーさしくつつーむー」その髪を撫でると、汗ばんでいたけれどそんなものは不快には思わない。「おとめはーむねーにしーろいーはーなたばーをー」「…潤?」顔を伏せていた男と目がかち合う。きれいな黒目。「寝ろよちひろ。僕が見張っていてあげるから。」
2012-10-11 13:49:09死に掛けの犬
検挙した帰り道、中邨とだべりながら処理してたら藍鼠さんに会って殺し合いする話書きたい。天候は土砂降りの大雨、コンディションは最悪の中での焦土逃亡戦。戦闘キチの血が騒いでフルでパイロキネシス奮う深國と、今のコンディションで勝てないと判断した中邨の防衛。
2012-10-11 09:32:42降りしきる雨すら制御し、妖しく笑う初老の男。笑み一つで惑わせる惨憺の手管。「アッハァ!イイねェその目!俺を殺そうとして笑うその目がすっげェイイ!」吼える猟犬の足元は既に散らせた血で染まり切っている。酸化炎上の血液に比例して恐らくこいつはもう殆ど目が見えていない。「…チッ」舌打ち。
2012-10-11 09:42:57血液発火ってすげえ好きなんだけど相応のリスクがありそうでな…。調子にのって止血を怠れば失血で昏倒、最悪死ぬ。戦闘でハイになりだすと深國はその食うか食われるかのギリギリの死線に興奮し始めるから治癒怠りそう。中邨が今まではリード引いてたけど、もう今は言うこと聞かなくて。
2012-10-11 09:47:03「私はこのまま血液を沸騰させてお前を殺すことが出来る。…が、今日は生憎と安置所が満員でな、連れ行く場がないんだ」「だから"見逃してくれ"、と?」「"見逃してやる"、の間違いだ」藍鼠さんの体に触れて熱操作を示唆しながら牽制する中邨?中邨の後ろでとんだ失血量にショック死寸前の犬?
2012-10-11 09:53:41「やれやれ…よろしい。ではここは悪役らしく、私が身を引いて差し上げようではないか。さらばだ、諸君」中邨はすげえ悔しいだろうし、かろうじて意識ある深國は屈辱で堪らないんじゃね。
2012-10-11 10:08:03中邨はブラックボックスみたいなの発現しろ。佐村ほどじゃなく、半径1メーターレベルの小さな範囲内、任意で物体の熱を操作するん。範囲内に入ったら最後とか、もえる。佐村に倣ったんだとしたらもえる。
2012-10-11 10:03:14はっきりした敗北に見舞われながら生き長らえる屈辱。飼い主のために死ぬわけにはいかないとは言え、敗北の二文字はかなりでかい。深國中邨コンビは殲滅・蹂躙戦のエキスパートで任務も数こなしてきてるし、ここまで生きてるってことはつまり負けたことがないって事なんじゃないかと思うと只只悔しい。
2012-10-11 10:12:33片目、雨水に抉られたんじゃね。萌える。狭くなった視界、片方から燃えるような激痛、視神経の束の先で引きちぎられた眼球がビチャッ。押し潰されて内包の脂肪が飛び散る。
2012-10-11 13:56:07左目の後ろ、頭のところでぶちぶちぶち…と嫌な音がした。激痛が走ったのはもう少し後で、その頃には地べたに這いつくばっていたと思う。ペンキ缶を溢したような濃さの血が地面に飛び散ったのを見ることは叶わなかった。ただ、"聞いた"。手のひらのしたで空虚。は?え?なに?痛い。痛い痛い痛い!
2012-10-11 20:55:54自分の叫び声で中邨さんの呼び声が消える。共鳴して血液が発火した瞬間、足元で大爆発が起こった。自分のものとは違うそれが、裂くように皮膚を舐めてくる。火傷の激痛で重ねて絶叫。尚、猟犬たちは従わず牙を剥いて飛び掛かってくる。制御できない。三つ首が来たるは地獄より。火薬の臭いに胸焼け。
2012-10-11 21:11:30「……」雨。雨が降っている、と思う。音はまるで聞こえないし、でもばしばしと体を叩く水は鈍い雲から落ちてきているから、やっぱり雨のようだ。とても静か。こんな焦土で俺は何を。赤いセロファン越しに世界を見ていたが、参ったねぇ、中々距離がつかめない。掴めない。右と左のバランスの、悪さが。
2012-10-11 21:17:55中邨さんが何とか逃げ切ったんならまだ良い。俺達の信頼はそこに。危なくなれば見捨ててくれる、戦場でのコンビにはつまり、その強かさがなきゃいけない。共倒れなんざ甚だしい。どんな敵だったかを伝えるため、片方が死ぬのならば、片方は走らねば。飴玉を落とすように、ごぼ、血を吐く。
2012-10-11 21:25:00地面に爪を立てて這い上がるのを踏み折られ、絶叫をバネに振り払った炎は雨水に潰された。「ひゃは、おっさんつえーマジつえー、おれいますげえたのしいわ。でもちょーっとやばいね、やばい」軋む。どこが折れただのどこが砕けただのは全部後回し。中邨さんは…良かった。いない。大雨が焦土を照らす。
2012-10-11 21:42:50