堀越事件、世田谷事件の一考察

babel0101先生の一連のツイートをまとめたものです
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anonymity @babel0101

堀越事件及び世田谷事件の最高裁判決が出たが、猿払事件の射程を相当に限定し上で、最高裁の憲法的思考が新たに見えてきたように思う。

2012-12-12 08:55:53
anonymity @babel0101

記憶に基づきファーストインプレッションを呟きます。

2012-12-12 08:56:46
anonymity @babel0101

まず、合憲性の検討手法だが、最高裁はおそらく合憲限定解釈をするのではなく、憲法適合的解釈ですらなく、ただの限定解釈をした上で限定解釈された条文に法令審査を加え、しかも利益衡量論の枠組みで審査を加えた。

2012-12-12 08:59:53
anonymity @babel0101

堀越事件、世田谷事件の判断フレームは同じであるが、前者は無罪、後者は有罪。これはあてはめの相違だが、一番大きい事実は各人の地位だ。

2012-12-12 09:07:34
anonymity @babel0101

世田谷事件は筆頭課長補佐という地位を重視しており、この地位に基づきがりがり反対事情を突破する。筆頭課長補佐クラスなら、ほぼ有罪になりそう。他方で堀越事件では裁量性のほとんどない年金審査官だが、そのくらいの地位であれば安心というわけでもなく、その他の事情と「併せて一本」という印象。

2012-12-12 09:08:31
anonymity @babel0101

蟻川先生の事前予測は、法益侵害の軽微性と合憲限定解釈の2つの手法で無罪にするが、最高裁は後者を選択する、というものだった。これは大まかな方向性の点では当たったが、最高裁は合憲限定解釈ではなく、ただの限定解釈をとった上で法令審査をしたので厳密な意味では外れた。

2012-12-12 09:11:44
anonymity @babel0101

憲法的価値を参照しながら、ただの限定解釈をするという手法は、今後、憲法学でも大きく取り上げられるだろう。今まで合憲限定解釈と呼ばれていたものは実は憲法適合的解釈と合憲限定解釈に分化し、両者は連続的であることが指摘されている。

2012-12-12 09:16:04
anonymity @babel0101

今回の最高裁判決により、ここに「ただの限定解釈」という手法が加わることとなる。いわば限定解釈、憲法適合的解釈、合憲限定解釈のグラデーションがありうることになる。ただの限定解釈は、限定解釈の後に法令審査を加えることを可能にする手法であって実務的なプロの思考として有用とされていく。

2012-12-12 09:21:44
anonymity @babel0101

しかし、最高裁はただの限定解釈の際に憲法的価値以外の制度的要請を加味したいわば制度優位の仕組み解釈をしている。しかも限定解釈後の法令審査が利益衡量では無審査に近い。これだと制度優位論証からストレートに法令合憲までいってしまう。

2012-12-12 09:23:31
anonymity @babel0101

これは猿払型利益衡量の影響だろう。限定解釈の手法はありうるが、法令審査では目的手段審査をすべきだったといえよう。

2012-12-12 09:25:10
弁護士社長 伊藤たける|憲法マニア|法律事務所Z@寿司といえば富山! @itotakeru

@babel0101 千葉補足意見によると、憲法規範に照らして法令を解釈するわけですから、憲法適合解釈のように見えるんですが、いかがでしょう?

2012-12-14 08:56:20
anonymity @babel0101

@itotakeru 憲法適合的解釈の後に法令審査できるのでしょうか。適合するかどうかは、限定解釈では明らかにならず法令審査で明らかになっているように見えます。まあ、用語の問題かもですが。

2012-12-14 09:01:19