エヴァ2次創作「碇ゲンドウ補完計画」

多分既出だと思うんですが、碇ゲンドウが時間遡行して14歳美少女チルドレンになったら、という発想の2次創作第1話(続くのか?
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現場猫教授 @Dr_crowfake

碇ゲンドウ補完計画、嫌われるのに慣れている上に人から愛されることが信じられない碇ゲンドウが逆行した挙句14歳の美少女に生まれ変わってエヴァのパイロットになり「あー俺こんな無茶ぶりを子供にさせてたのかー」とか気づいたり、だんだん愛されることに慣れていくという話の需要について考える。

2012-12-29 23:16:18
現場猫教授 @Dr_crowfake

「済まなかったな、シンジ」それが私の最後の言葉のはずだった。しかし目が覚めれば、見も知らぬ無人の街に立っている自分を発見した。自分? いや、違う。この体は少女のものだ。窓ガラスを見れば、私の唯一愛した人、碇ユイによく似た少女が写っている。

2012-12-29 23:19:46
現場猫教授 @Dr_crowfake

「これが、私なのか……いったい何が起こっている……」呆然としていたら轟音が響いた。反射的にそちらを振り向くと、見覚えのある巨体が、山のあいだからあ姿を見せるのが見えた。第3使徒サキエル。私がネルフ総司令として殲滅したはずの使徒だ。「時間遡行したとでも云うのか?」

2012-12-29 23:21:15
現場猫教授 @Dr_crowfake

サキエルは群がる国連軍のVSTOL機の攻撃をも物ともせず、逆に1機を光の槍で撃ち落とす。その機体が私の正面へと落ち、爆発した。反射的に顔をかばうが、無論そんなもので身を守れるはずがない。私は2度めの死を覚悟した。しかし破片に身体を刻まれることもなく、私は無事だった。

2012-12-29 23:23:45
現場猫教授 @Dr_crowfake

目を開けると、そこには青いアルピーヌ・ルノーが横付けに止まっており、そこから良く知った顔、葛城ミサト作戦部長が顔を出していた。「ごめーん、お待たせ」「葛城くん!?」「えっ」葛城が怪訝そうな顔をする。私は冷静さを取り戻した。「葛城ミサト作戦部長だな。ネルフ本部まで急行で届けてくれ」

2012-12-29 23:26:38
現場猫教授 @Dr_crowfake

「作戦部長って……そんな説明はしてなかったけど、まあいいわ、早く乗って!」葛城は私をルノーの助手席に引きずり込むと、ハンドルを切って猛スピードで走りはじめた。後ろでは爆音が鳴り響いている。「急げ。国連軍はN2地雷を使うつもりだ。安全圏まで脱出しないと」「なんでそんな事知ってるの」

2012-12-29 23:28:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

刹那、バックミラーから、国連軍のVSTOLが使徒から遠ざかっていく姿が見えた。「葛城くん、車を遮蔽物に入れて伏せろ、来るぞ」「えっ」葛城はとっさに脇道に入り、そこで停車して私の身体の上に覆いかぶさった。直後、今までとは比較にならない爆音と衝撃が走った。

2012-12-29 23:30:15
現場猫教授 @Dr_crowfake

「だーいじょうぶだった?」葛城が私に問うた。「ああ。問題ない」口の中がシャリシャリするが、命に別条はない。それより、この横転したルノーを起こすことのほうが重要だ。これなしでは本部にもいけない。「そいつは結構、じゃあ、いくわよっ、せーのっ」ふたりで同時に車体を転がす。

2012-12-29 23:32:17
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ふー、ありがと。助かったわ」車体を起こして、葛城は私に云った。「問題ない。当然のことだ」私はそっけなく返す。葛城は怪訝そうに私を見る。「碇レイ……さんでいいのよね。なんかもらってる資料と印象が随分違うんだけど」この世界の私はレイの名前を持っているのか。私は曖昧に頷いた。

2012-12-29 23:35:06
現場猫教授 @Dr_crowfake

「私は……」「葛城ミサト一尉。ネルフ作戦部長」「その通りだけど……説明してたっかなぁ……」首をひねる葛城に対し、私は「先を急ごう。使徒のジオフロント直上への到達までにエヴァを起動せねばならん」と告げた。葛城は疑問を疑惑に変え「あなた、どこまで知っているの?」と聞いてきた。

2012-12-29 23:37:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ネルフ総司令官、碇ゲンドウが知っていることならば、全てだ。だが、この世界においては若干変動が生じているかもしれない」「聞き捨てならないわね」「なら私を保護し、保安諜報部に尋問させるがいい。だが、そんな時間はないのだろう?」葛城は私をじっと睨みつけた後、頷いた。

2012-12-29 23:39:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

「ではジオフロントへ私を連れて行け。エヴァケージに直行して、碇ゲンドウと直接話をつける」「……判ったわ。あなたが何者なのかは、今は聞かない。碇レイさん」ミサトは頷き、ともにジオフロントへと向かった。

2012-12-29 23:41:30
現場猫教授 @Dr_crowfake

エヴァケージに葛城とともに向かう途中、赤木リツコ博士と出会った。彼女は私が利用した女だ。それに後ろめたさを感じていなかったといえば難しい。だが、私を見る彼女の目つきは標本を見るそれだった。「この子が適格者?」「そう。マルドゥック機関が選んだサードチルドレン。そしてイレギュラー」

2012-12-29 23:44:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

「イレギュラー?」「この子、ネルフの人事を始め、重要機密にアクセスしてるみたいなの。自分は総司令の知っていることならだいたい知ってるって主張してるわ」「まさか! MAGIのプロテクトと保安諜報部のヒューミントを超えられるはずなんてない。それもこんな子供が」

2012-12-29 23:45:59
現場猫教授 @Dr_crowfake

私は云った。「赤木リツコ博士」赤木博士の顔がひきつった。「君は信じないだろうが、私は彼女の主張通りの知識を持っている。だが手札は君には明かせない。まずは碇司令のもとに行かねばならん」「私の名前まで知っているとは……あながちはったりでもなさそうね」赤木博士は頷いた。「案内するわ」

2012-12-29 23:48:23
現場猫教授 @Dr_crowfake

エヴァケージに向かう間、我々は無言だった。葛城と赤木博士、ともに得体の知れない少女を扱い兼ねていることもあったが、私自身がこの事態をどう受け止めていいものかわからなかったのだ。なぜ時間遡行が起こっているのか。なぜ私がレイのなを持つ少女なのか。なぜ私が適格者なのか。

2012-12-29 23:50:16
現場猫教授 @Dr_crowfake

重苦しい沈黙の後、エヴァケージに我々はついた。その制御室から、見慣れた顔が、毎日鏡で見ていた顔が私を見下ろしていた。「久しぶりだな」その男、碇ゲンドウは云った。「わたしにとってはついさっきのことだがね」そう答えると、ゲンドウは眉をひそめた。「どういうことだ?」

2012-12-29 23:52:17
現場猫教授 @Dr_crowfake

「使徒が来るまで時間がある。君と個人的な話をしたい。できるか」「危険です。この少女はMAGIのプロテクトを破り保安諜報部のヒューミントを突破した可能性があります」赤木博士が懸念する。一方葛城は「親子同士なんだから、プライベートな会話のひとつもどうですか」と投げている。

2012-12-29 23:54:56
現場猫教授 @Dr_crowfake

ゲンドウは「よかろう」と呟いた。彼の心中にどのような葛藤があったか、私には手に取るように分かる。イレギュラーが、場合によっては爆弾になりかねない鬼札を持っているなら、それと対面で交渉することは、危険を犯してでもやるべきことだ。眼の前にいる娘が、到底自分の娘と思えないなら尚更。

2012-12-29 23:58:12
現場猫教授 @Dr_crowfake

私はゲンドウと制御室で向き合った。監視カメラ、音声などは切られているが、ボタンひとつで保安部員がなだれ込んでくるだろう状況下で、私は冷静だった。ここで私が切れるカードは何枚もあるが、どれを切れば彼を納得させられるか、答えは1枚だけだった。

2012-12-29 23:59:45
現場猫教授 @Dr_crowfake

「人類補完計画。ゼーレとお前が進めようとしているそれは、それぞれに異なる目的を目指している。そうだな」ゲンドウは険しい表情で、私を睨みつけた。「レイ。なぜそれを知っている」「それを説明するためにそれを話したのだ」そして私は、人類補完計画が成功した世界で自身がどうなったか語った。

2012-12-30 00:02:20
現場猫教授 @Dr_crowfake

「レイ。お前に起こっている事態は、葛城教授のS2理論から示唆される平行世界/上位世界の存在、冬月の提示する人類補完時における人間の意識世界構築の理論、いずれでも説明可能だが、同時に私は、お前がゼーレのスパイではないかと疑っている」しばしの沈黙の後、ゲンドウは云った。

2012-12-30 00:04:24
現場猫教授 @Dr_crowfake

「その可能性は否定しない。そう思われるのはむしろ当然だろう。だが、ゼーレがここまでの牽制球を投げてくると、お前は思うか?」「老人たちならやりかねん。だが、判断は保留する。レイ。お前は「碇レイ」としてエヴァ初号機に乗れ。そして使徒を殲滅しろ。どの仮説をとっても、まずそれが必要だ」

2012-12-30 00:06:14
現場猫教授 @Dr_crowfake

「判っている。使徒とリリスを接触させるわけにはいかん。そして現在適格者は私しかいない」「その通りだ」私たちは共に頷き、合意を結んだ。私は「碇レイ」としてエヴァ初号機に搭乗し、使徒を殲滅する。代償として、ゲンドウは私に監視をつけるとともに、最大限の待遇を約束する。そういう協定だ。

2012-12-30 00:08:40
現場猫教授 @Dr_crowfake

私はエントリープラグに入り、エヴァとのシンクロを行った。43%。十分戦闘可能だが、私は操縦訓練を受けたことがない。出撃したとしても、暴走に持ち込まなければ使徒を殲滅できないだろう。そして、それはシナリオの一部でもある。ならば、身を切るのもやむを得ない。

2012-12-30 00:10:29