ついったSS シーズン2
ギリギリで保っていた意識と霞んだ目で、さっきまで自分を囲んでいたやつらが一瞬で地に伏せられたことは理解できた。重たそうな皮のブーツの音が近づいてくる。「生きてっか?野良犬ちゃんよ」路地裏に漏れたネオンの光を背に、黄金の獅子の手が薄汚れたあたしの髪に触れた。 @Hibiki0510
2014-09-29 23:20:49例えばずっと先の未来がもし見えたとして、そこにお前がいないかもしれないなんてことが一ミリもありえないってわかっているから、俺は未来なんて見える必要はない。「見たい景色はいつも、お前が見せてくれるからな」漏れた呟きに、不思議そうに首を傾げた顔を見て、笑った。/二人の秘密の基地の中
2014-09-29 22:36:150時ジャスト、グループタイムラインに一斉にメッセージ。吹き出しやスタンプが勢いよく流れていくのをとりあえず眺めていた。すると無駄に豪華なケーキを前にウインクしたアホ面写真が届く。「今日は岩ちゃんの誕生日だからケーキ食べてるよ☆」とりあえず及川は明日鼻フック。 @yper1te
2014-06-10 00:31:42もう少し待っていろ。今そこへ行くから。地に這おうと、身を棄てても、決して離さない。零した涙も声も拭おう。俺を呼んでいるんだろう?…ああ、ちゃんと聞こえてる。俺もすぐに呼んでやる。おまえが望むのなら、何度でも。たとえこの声が、紅く堕ちても。/千に織る @juri1908
2014-06-10 00:19:53「どうした、江?」閉じていた目を開ける。「こわいゆめ見たのか?」落ち着く気配の無い動悸のせいで、力なく頷くことしかできない。暗がりの中、布団を握りしめていた手に、暖かい温もりが触れた。「…こわくない」その声だけで、夜の中を穏やかに、沈んでいけた。/兄と夢 @juri1908
2014-06-10 00:04:28廊下で3組の、ちょっと怖いと有名なバレー部員にぶつかった。少し擦りむいただけなのに彼は顔面蒼白で、保健室まで運ぶと言い出した。意外と思いながら断って歩き出すと、大きい身体がちょこちょこと後をついてくる。「あっあのせめて肩…」「いやほらもう保健室着いちゃったし」 @juri1908
2014-06-09 23:45:09ポロシャツが汗を吸って背中に張り付く。梅雨入りのニュースは昨日見たばかり。今からこんな暑さか、と気が滅入りそうだ。コンビニの入り口、視線を一瞬奪われ、足が止まる。見覚えのある制服だった。「…頑張れよ」眩しく青い背中にヘッドライトでエールを送り、車に乗り込んだ。/後輩 @k_hjm
2014-06-09 23:20:58肩先に散らばった私の髪を指で払って、左胸に耳を当てる。私生きてる?と聞くと、俺より先に死んだら成仏なんかさせてやらねぇ、と鼻で笑った。「黒尾って、なんか恥ずかしい」「あァ?格好いいの間違いだろ?」「じゃあ、言い方を変えるわ」/ロマンティック @yuzuhi_seno
2014-06-09 22:42:23夕方呟いた渋沢ネタ。しかし渋沢出ません。そして割とネガティブ注意。続かないかもしれない。 【スライド】 http://t.co/J18eTCFv5Q
2014-03-24 23:55:13「幸せになって、なんて…嘘だよ」腕は震えていた。それでも強く、わたしを抱きしめて離さない。軋む音は心だとわかっていても、応えは出せなかった。「あなたがいなきゃ、俺は…幸せになんてなれない」潰れてしまいそうだ、私も、貴方も。「あなたの幸せを喜べない俺が、幸せになんてなれないんだ」
2014-03-13 23:16:17「夢なの、好きだって抱きしめられるの」いつも通りのため息。「おまえ、そんなんだから彼氏できないんだよ」先を歩く背中を、ぐいと追い越した。「やめた」「は?」「隠すのやめた!」翻ったセーラー服の襟が、視界の端を横切る。「わたしのこと、好きになってもらうから!」/愛する貴方へ宣戦布告
2014-03-13 22:49:50「さみしくなるね」それでも笑いながら、君は僕の手を何度も握った。前に「ほっとする」と言ってくれた、いつもの笑顔を浮かべると、僕の好きな笑顔を見せてくれる。特別な君の、特別になれなかった僕。君は行ってしまう。僕のいない、明るく幸せな未来へ。「さよなら」 @isakinayumiha
2013-11-24 22:42:14なにかを確かめるように、あなたが私の名前を繰り返し呟く。手のひらで触れている背中がみるみる汗ばんで、声と一緒に私の肩に落ちる。呼んで、と、うわごとのようにあなたが言った。「優也」撫でるように手を滑らせると、短く息が漏れる。あなたの涙を、私は受け止めてあげられる? @yauzzz
2013-11-24 22:27:51晴れ晴れとした気分。今まで悩んできたことが嘘みたい。心臓をぐるぐる巻きにしてぎゅうぎゅう締め上げていた糸が一瞬で消えちゃった。なんて開放的なんだろう。これでもう、泣くこともない。「…わかったから、泣くな」…これでもう、あの人を想って泣くこともできないのね。 @aka_310
2013-09-18 23:20:54「英士大変。今すぐ上着を脱いで」切羽詰まった顔で裾を掴むも、冷ややかな目線に振り払われる。「嫌」「聞いて英士、脱がないと大変な事に」「嫌」「いいから脱いでお願い脱げそして私に貸せ!」「嫌だ俺も寒い」「普通貸すでしょ彼女に!」「追いはぎを彼女にした覚えはない」 @piro_blk1
2013-09-18 23:10:55駐車場で突然、中学生位の男の子に窓を叩かれた。その手には車に乗るときに滑り落ちたらしい自分のハンカチ。御礼を言うと、助手席の窓から痛快なほど爽やかな笑顔を差し込まれる。「バスの最終、出ちゃったんだよねっ」私は何も言えぬまま、中指でドアのロックを解除した。 @xx_io65_xx
2013-09-18 22:47:54ぽろぽろと、涙が頬を伝って抱えた膝に落ちていく。「だいじょうぶ、ぼくもいっしょにあやまってあげる」「たきちゃん、ほんと?」優しい声にすくい上げられる。「おれいはちゅうでいいよ」「…え?」「ぎぶあんどていく」同じはずの笑顔がなぜか一瞬、違って見えた。 @isakinayumiha
2013-09-18 22:46:56「もういい翼なんかしらない」「バッカみたい」「もう!なんでそういう言い方しかできないかな!」「くだらないことで時間使うのが無駄ってなんで気づかないの」「くだらないってなによ!」「どうせ俺から離れないんだし喧嘩とかマジ無駄」「……どっからくるのよその自信は」 @yuko_shina
2013-09-18 22:32:02「…あのー」「なに」極力普通のトーンで声を絞り出すも、返ってきたそれはいつもの三倍、糖度が高い。「かんべんしてください」胸元に熱い息がかかり、背中が粟立つ。「焦らされる辛さ、少しは思い知れ」肌に触れたままの唇が意地悪く歪むのが、目を閉じてもわかった。 @ayakaryono
2013-09-18 22:12:42原因なんてくだらないことだった。くだらなさすぎて、ひっこみがつかなくなってしまっただけだ。それでも連絡を絶って3日、そろそろ限界だった。そんなとき、手の中の画面が光る。カエルのイラストが「ゴメンネ」と頭を下げていた。『このカエル結人に似てる』『似てねーよバカ』 @non118z
2013-09-18 21:54:48よし、言うぞ。今日こそ言うぞ。今日は部活もないはずだし。落ち着け、いつも通りバイバイって言われたらあのさ、ってさりげなく、よし、いける…今日の俺はいける!!「真田くんじゃあねー」「あ、あのさ今日一緒に帰」「ゆっちゃーん!カラオケいこー!」「うん行くー!」「………」 @ydk_xo
2013-09-17 23:06:09