- xiao_signo028
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iPSの細胞にはガードンの研究とウィルムットの研究に触れないわけにはいかないし、これらの先行研究が重要であることは間違いない
2012-12-31 00:05:03山中先生と一緒にノーベル賞をもらったガードンが行った研究は、アフリカツメガエルを用いた体細胞初期化の実験である
2012-12-31 00:08:58当時、分化というものが如何にして起こるか、それが問題だった。最初はなんにでもなれるはずの細胞が、分裂を繰り返し、分化していくことで特定の細胞に能力が固定されてしまう。
2012-12-31 00:12:18体細胞に含まれている遺伝情報は、その細胞の種類だけなのか、それともゲノム情報がそっくりそのままあるのか。それを確かめる実験がガードンの実験だったのである
2012-12-31 00:22:59ガードンの実験の結果から、一つの体細胞にも他の細胞の情報を含めた全ての遺伝情報が残っていることが確認された。つまり、体細胞は全ての細胞の情報を持っているのだから、そこから様々な細胞に変換することが可能であるという可能性が示唆された
2012-12-31 00:25:21そして、その実験結果が哺乳動物でも適応可能であり、完全な個体を一つの細胞核から誕生させることが出来る、というのを示したのがウィルムットのチームである。彼らのよって生まれたのがクローン羊、ドリーである
2012-12-31 00:28:03彼らの研究から、クローンというSFの話が現実世界に如実に現実味を帯びたことになる。既にヒツジは生まれてしまっているのだから、ヒトへの懸念が増大したのは言うまでもない。
2012-12-31 00:29:01更に、ガードン、ウィルムットの研究を踏まえた上で山中先生の話に飛ばすには、まだ一つの飛躍がある。この飛躍を埋めるためには、エヴァンスの研究が必要だ。l
2012-12-31 00:30:00エヴァンスの樹立したES細胞は胚性幹細胞であり、受精卵がある程度卵割分裂を繰り返した細胞の胚の部分を用いる。この細胞は受精卵そのものであり、すべての細胞になる能力を持っている。これを応用して様々な研究がおこなわれるようになった。
2012-12-31 00:42:44特に貢献したのはキメラマウス、ノックアウトマウスの存在であろう。特定の遺伝子だけを欠損させたマウスを作ることが出来るようになったのである。それは、遺伝子の機能を解明するのに役立ち、特定の疾患の機序を解明するのに役立った。
2012-12-31 00:43:55ES細胞は万能であったが、受精卵が必要となる。ヒトの場合、受精卵は人工授精時の余剰胚を用いることとなるが、ここには倫理的な問題が生じることとなった。それは、着床させていない受精卵とは言え、生命の萌芽であることには変わりなく、それを実験に用いることは如何なものかということである
2012-12-31 00:45:32ES細胞は「万能幹細胞」であり、様々な研究に応用できるが、倫理的な面からみても研究を躍進させるのは難しいといえた。その倫理的問題を無くすには、胚を壊さないように「万能幹細胞」を樹立する必要があったのである
2012-12-31 00:50:45iPS細胞は見事にこの問題に触れないで済む多能性幹細胞であった。体細胞からの遺伝子導入によって多能性幹細胞を樹立する方法は世界的にも衝撃だった。なにせ4つの遺伝子をいれてやるだけなのだから
2012-12-31 00:53:42山中教授が樹立したiPS細胞は人工多能性幹細胞である。教授らは受精卵で発現している遺伝子の候補から24の遺伝子を選び出し、最低限の4つを入れることで多能性幹細胞を作り上げた。
2012-12-31 00:55:35山中教授の研究ではES細胞を用いたノックアウトマウスも非常に役立っている。このマウスを作製していたことが研究を成功へと導いた一歩であることは言えよう。山中教授らが4つの遺伝子を同定した時、アメリカの研究チームも同様の研究を行っていた。その情報を耳に入れた山中教授は慌てたという
2012-12-31 00:58:41その研究チームを率いていたのがトムソンである。彼はエヴァンスで樹立されたマウスES細胞の結果を引き継ぎ、世界で初めてヒトのES細胞を樹立した研究者である。
2012-12-31 01:00:39iPS細胞が何の役に立つのか。そこは非常に誤解を招く部分であり、要らぬ推察が蔓延っていることは確かである。iPS細胞において何が一番重要か。それは、病態モデルの形成とドラッグスクリーニングの可能性である
2012-12-31 01:04:50クローン技術や卵子や精子の作成の点においてはもちろん倫理的な問題がある。しかし、ヒトクローンは世界的に禁止されているうえに、クローン技術で生まれた個体は長生きしないことが解っている。そもそも完全な個体にヒトで作られるかどうかは解らない。不可能に近いのではなかろうか
2012-12-31 01:07:07iPS細胞による病態モデルと創薬の分野は極めて展望がある。ある遺伝子などに傷害があり脳神経系に異常がある人の皮膚から細胞を採取して、iPS細胞まで戻し、神経に分化させる。すると神経における変異が観察されることであろう。iPS細胞はもっと実用的な面が強調されるべきである
2012-12-31 01:10:41昨日のTLでiPS細胞によるゲイの出産という話題性を喚起する画像が流れてきた。それは果たしてiPS細胞なのであろうか。そこを鵜呑みにしないでほしい。セクシャルマイノリティに関しては否定しない。勿論、iPSの可能性が生殖医療に関与しないわけではない。ただ扇動されるのは宜しくない
2012-12-31 01:14:01