こがばあ様81歳ツイート「戦争体験part2~子供の頃のジワジワ締め付けられる恐怖を・・・

激動の2012年の締めくくりに、再びの渾身の連ツイ
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こがばあ @kosato80

戦争続編【影と陰】①この前は戦中戦後の食糧難から栄養失調になり歩くのも覚束ない状態になった1945年13,4歳の頃のことから書き始めた。お読みくださった方が多いのに驚いたが、中には貧乏故の食糧難と読解された方もあり、想像の限界を痛感。それでも、いやそれだからこそ、まだまだ書く。

2012-12-30 21:05:30
こがばあ @kosato80

【影と陰】②影は、いつの間にか忍び寄っていた。子どもの感覚は大人よりもずっと鋭敏で研ぎ澄まされており繊細なものだ。お読みくださる方の幼年、少年少女時代の感覚を呼び覚まして頂ければと思う。1936年私の5歳の頃、ラジオで何か切り口上の感じのコメントが流れた。意味はわからない。

2012-12-30 21:13:04
こがばあ @kosato80

【影と陰】③けれど不吉な何かがどこかで始まるのではという鳥肌の立つ感覚があった。父が母に小声で戦争が始まるかもしれない、と言うのが聞こえた。父は非常に口数の少ない人だったので、家に居る時に発する一言一句を私は殆どすべて記憶している。「戦争」の言葉に幼い私は遠く響く軍靴の音をきいた

2012-12-30 21:25:24
こがばあ @kosato80

【影と陰】④親戚には職業軍人が多く皆良い人達で大好きだった。そして軍靴の音には馴染みがあったが、その人達が本当によその国の人達と戦うことになるなど思ってもいなかったので一層その想像は恐ろしかった。翌1937年日中戦争が始まった。近所のおばさんと目白通りに買い物に行ったときのこと

2012-12-30 21:34:11
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑤戦車の隊列が轟々と地響きを立てて通っていた。珍しい光景だったので1台2台と数え始めたら一緒にいたおばさんが小声できつく「数えちゃダメ!スパイと思われて憲兵さんに連れて行かれるから」と。遠い軍靴の響きは子ども心に感じた幻聴だがこれは現実の恐怖だった。スパイ!憲兵!

2012-12-30 21:41:48
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑥子どもが戦車を数えてもスパイの手先と疑われる。周りを見回してぞっとした。それまでにも父の母への話の中に〇〇は地下に潜った―というのがあり、地下へ潜るって、穴掘って?と横から口を挟み、ある程度のことは知っていたけれど、まさか子どもが戦車を数えてもいけないとは。

2012-12-30 22:03:21
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑦人が人を疑う、裁く、言うことだけでなく考えることも統制する…(統制という言葉は知らなかったが、子ども心に焼きついた「自由」を阻まれる感覚は、今も私が忌み嫌うことの一つになっている。)婦人会、隣組、が出来たのもその頃だったと思うが助け合いは表向きで人の暮しの点検・密告

2012-12-30 22:11:44
こがばあ @kosato80

【影と陰】少しでも派手なき物は着られず注意を受ける。父は根っからの政治嫌い、人道主義者だった。皇室も好きだったが英国人を始め世界中の国の人達の悪口を聞いたことがない。だから心の中には非常に苦いものが充満していたと思うが口には出さなかった。矛盾しているかもしれないが厭世的で人嫌い。

2012-12-30 22:20:53
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑧(前のは番号忘れ)しかもリベラルな人だったから、口にしない分どれほど渦巻く思いを抱いていたかと思う。それでも、どこかに何かを訴えるということはしなかった。よくあの頃の人は戦争が間違っているとも言わず国が戦争に突き進んだのだから国民にも責任があると言われる。

2012-12-30 22:28:55
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑨想像して欲しい。今ここで思ったことを書いている自由、そんな自由があれば恐らく9割位の人は戦争反対を叫んだに違いない。誰が夫を恋人を息子を兄弟を死ぬとわかっている戦いに喜ん差し出すか。多くの人々が死にに行く陰で軍需産業は栄えた。戦争は人を殺すだけではない。人を狂わせる。

2012-12-30 22:39:11
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑩富を求める人は働いて得る報酬に飽き足らず軍需~に走る。隣の人が闇米で儲けその一方で近所に住む外国人を敵国人がいると告発する。実際はドイツ人だったが白い肌に茶髪だったので白眼視され帰国した。空襲の場合の延焼を防ぐため家屋の間引き作業―柱に綱を巻いて引き倒す―に隣組で行く

2012-12-30 22:50:33
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑪よその家を破壊して喜ぶ人もいた。間を縫って警戒警報のサイレンが鳴り響く。正常な感覚を持ちこたえている人がどの位いただろうか。その1,2年前1941年12月8日の父の暗い顔とラジオで聞いた厳粛で勇ましいアナウンサーの声も脳裏から離れない。ただ、やはり、冷静に考えれば…

2012-12-30 23:03:09
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑫当時戦争反対の声が挙げられなかったにしても、戦後になすべきことや考えるべきことは限りなくあったように思う。多方面の戦後処理も含めて。広島の「あやまちはくりかえしません」の真意は未だ明らかではない。「一億総懺悔」も。ドイツの小説に「あのころはフリードリヒがいた」がある

2012-12-30 23:11:17
こがばあ @kosato80

【影と陰】⑬ユダヤ人の少年フリードリヒの親友であった著者ハンス・ペーター・リヒターが、戦時中周囲に流されてユダヤ狩りに自分も加わり親友を死から救うことができなかった苦しさを描いている。この視点が私達、少なくとも私には足りなかったことを認めざるを得ない。陰に潜む影に怯えて。また来年

2012-12-30 23:20:08
こがばあ @kosato80

今日は―今年はここまでといたします。やはり中途半端な終り方ですみません。切り口が沢山ありすぎて今回はどの部分にしようかと迷ったのですが、子供の時のジワジワ締め付けられる恐怖を中心に書きました。

2012-12-30 23:24:51