ヤマト21992次創作「もし地球がガミラスの支配を受け入れていたなら(戦場編)」

ドメル艦隊の先鋒として銀河方面でボラー連邦と闘う剽悍無双のテロン戦闘団……という妄想。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

ガミラスとのワーストコンタクトを回避し、属州としての生存を許された地球。2等ガミラス人として闘う地球人たち。という話は、bakaganeさんがお書きになられていたが、「蛮族だが、それゆえに剽悍だ」とデスラーから評価されたり、案外ガミラス治世下でもいい位置に付けるかもしれない。

2012-12-31 20:43:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

ドメルのような良い上官に恵まれたなら、2等ガミラス人でも武勲を上げてそれなりの地位を与えられそうだし、古代兄弟がドメルの下で剽悍な指揮官として武名を上げたりする展開も、また萌えますねと。そして真田さんはガミラスのテクノロジーを積極的に吸収して兵器技術局で栄達。

2012-12-31 20:45:10
現場猫教授 @Dr_crowfake

ガミラス銀河方面軍は、ガミロンと祖を同じくするガルマン民族の解放のため、彼らに圧政を敷くボラー連邦と熾烈な戦いを演じていた。その指揮をとるのは、ガミラス切っての名将「宇宙の狼」ドメル将軍である。そして彼の陣営には、ガミラスに基準した地球の国際連合宇宙軍も加わっていた。

2012-12-31 20:49:46
現場猫教授 @Dr_crowfake

「全弾着弾。敵は混乱しています」ドメルは指揮杖を振った。「コダイ戦闘団、前進! 楔を穿て!」命令一下、地球軍の戦闘部隊がボラーの大艦隊にめがけて突進する。指揮するのは古代守大佐、2等ガミラス人でありながらその剽悍さを買われドメルの切り札と呼ばれる男である。

2012-12-31 20:50:29
現場猫教授 @Dr_crowfake

「全艦最高速力! 敵を一気に分断するぞ!」古代守は指揮下の地球軍に檄を飛ばす。地球軍はガミラスのテクノロジーにより大幅に強化され、ドメルの要求を満たす能力を保有していた。そして、この古代守という男も、その力量を認められていた。

2012-12-31 20:52:32
現場猫教授 @Dr_crowfake

「敵、高速で突入してきます!」「叩き潰せ、所詮は劣等民族だ!」ボラーの主力部隊を率いるハーキンスはそのように命令する。地球とか云う征服されたばかりの下等種族が、いかにガミラスのテクノロジーを与えられたとはいえ、銀河の半分を制するボラーの精兵にかなうはずはないと確信していた。

2012-12-31 20:57:36
現場猫教授 @Dr_crowfake

しかし、古代率いる地球軍は、信じられないほどの速度で集中射撃により空いた突破口へと押し込み、それを拡大する。彼はガミラスの技術により再建された新生地球艦隊の圧倒的な機動性を利用し、ボラー艦隊の傷口を広げ、えぐり倒し、翻弄した。それは彼らを時に同士討ちすらさせるほどのものだった。

2012-12-31 20:58:56
現場猫教授 @Dr_crowfake

「我が方、完全に分断されました! 被害甚大!」ハーキンスは歯噛みする。「ええい、我が方の損害に構うな。同士討ちに持ち込んでもいい! 包囲殲滅するのだ!」その命令に従い、地球軍を包囲するボラー艦隊。「このまま集中砲火か。見方にも当たりかねんのに、無茶をするな」古代守は不敵に嗤った。

2012-12-31 21:01:21
現場猫教授 @Dr_crowfake

「だが、その無茶が命取りだ。ドメル閣下へ連絡。「ブタは餌にかぶりついた」」その連絡を受け取ったドメルは、我が意を得たりと再び指揮杖を振った。「全軍前進!」先鋒を務めるバーガー少佐が檄を飛ばす。「餌にかぶりついたブタを、後ろから蹴りのめしてやれ!」

2012-12-31 21:05:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

地球軍を包囲下においてなぶり殺しにしようとしていたボラー艦隊は、その背後から急襲してきたドメル艦隊主力に対し、全く対処の用意ができていなかった。次々に艦艇が火球と化し、その数を減じていく。「おのれ、罠か!」ハーキンスは絶叫した。

2012-12-31 21:07:23
現場猫教授 @Dr_crowfake

ドメル来援を目ざとく確認した古代守は、地球軍を僅かな隙に立て直し、ドメルの攻撃を支援するべく、包囲環の中で縦横無尽に暴れまわった。内と外からの猛撃に耐えかね、ボラー艦隊はいつしか完全な劣勢に置かれていた。「このままでは全滅です!」ハーキンスは苦渋の表情を浮かべ撤退を命令する。

2012-12-31 21:09:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

「やっこさんたち、尻尾を巻いて逃げていきます! ボラー連邦恐るるに足らず!」バーガーの嘲笑を、しかしドメルはたしなめる。「敵を甘く見るな。それに今回の殊勲甲は、コダイ大佐の地球義勇旅団だ」「はっ! ザー・ヴェルク!」しゃっちょこばって敬礼を返すバーガー。

2012-12-31 21:11:44
現場猫教授 @Dr_crowfake

「バーガーの奴、相変わらず調子がいい」ドメルの背後で、ハイデルンがそう首を振った。「しかしあのテロンの義勇部隊、どう思われますか?」そのようにドメルに問う。「練度も戦意も高い。かつてはゲシュテムドライブすら保有していなかった連中とは思えんほど、な」ドメルは応える。

2012-12-31 21:14:04
現場猫教授 @Dr_crowfake

「あれほどの連中なら、一度敵として戦ってみたかったもんですな」ハイデルンは大笑する。それにつられてドメルも微笑んだところに、古代守からの通信が入った。「コダイ大佐であります」「ご苦労だった。貴官にはいつも苦労を強いるな」「いえ、これも任務ですから」古代は莞爾として微笑む。

2012-12-31 21:16:40
現場猫教授 @Dr_crowfake

「貴官とテロンの活躍には、敬意を抱いている。すでにセレステラ宣伝相からも報告が行っているだろうが、私からも帝都バレラスに貴官らの勇戦を報告し、何らかの褒章が与えられるよう、努力してみよう」ドメルの言葉に古代は最敬礼した。「ありがたきお言葉、感謝いたします。ザー・ヴェルク!」

2012-12-31 21:19:09
現場猫教授 @Dr_crowfake

通信は切れた。ドメルは指揮杖を弄びながら考えた。彼らは剽悍で、恐れを知らぬ。そして、ガミラス人同様に名誉を重んずる。ならば、それを最大限汲み取り、持ち上げてやるのが将としての努めだ。しかし、もし彼らとの接触が戦いになっていれば、どうなっただろう……ドメルはそのように想像するのだ。

2012-12-31 21:21:43
現場猫教授 @Dr_crowfake

彼らがもしガミロンに匹敵する科学技術を備えていれば……彼らがもし我々に帰順しなければ……彼らがもし、自らの滅亡を甘んずることなく総力で抵抗していたならば……。そこまで想像し、ドメルは首を振った。それは全て可能性の問題でしかない。テロンはガミラスの有力属州、剽悍な尖兵。それでいい。

2012-12-31 21:23:15
現場猫教授 @Dr_crowfake

そのころ、古代守も艦橋で物思いにふけっていた。地球はガミラスと友好的に接し、その支配下に置かれ、その戦争の尖兵とされたとはいえ、敵対した他の知的種族よりは優遇されている。しかしそれもドメルという理解ある将の庇護に拠るところが大きい。

2012-12-31 21:27:17
現場猫教授 @Dr_crowfake

地球はその不安定な立場を脱すべく何か努力すべきではないのか。いや、そもそもガミラスとの接触時点でそうすべきではなかったのではないかとすら思えるのだ。「司令」古馴染みの副長が声をかけてきた。「戦力再編成後、追撃に迎えとの命令です」「わかった」古代は脳裏によぎった妄想を振りすてた。

2012-12-31 21:28:34
現場猫教授 @Dr_crowfake

そうだ。我々は十分幸福なのだ。未熟な文明しか持っていなかった地球が、遥かに先進的かつ巨大な文明と接しながら、ある程度の独自性を認められ、矜持と能力を尊重されていることは、ひとつの奇跡なのだと……。

2012-12-31 21:30:20