＃SJで妄想　＃バーテンソン

noco @nocohyuk

1.〔店長、コレ床に落ちてました。じゃ、俺、お先に失礼します！〕カウンターに置かれた一粒ダイヤのピアス。『おぉ、お疲れさん。』閉店後は一人、カウンターでちびちびと呑むのが日課になっていた。『服にでも引っ掛けたのか…』ピアスを手に取りそれを眺めた。 #SJで妄想 #バーテンソン

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2.いつもと同じ、音もなく静かに過ごす時間…のはずが階段をバタバタと駆け下りてくる音が聞こえ、扉がバタン！と開いた。「…はぁ…はぁ…ピアス…落ちて…ませんでした…か？」息を切らして入ってきたのは…あぁ、さっきの…。 #SJで妄想 #バーテンソン

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3.『こちらですか？』一粒ダイヤのピアスを掌に乗せ、彼女に見せる。「あぁ‼コレです‼良かった…。」大事そうにピアスを摘まみ取る。『大切なピアスだったんですね？』「はい…。彼から記念日に貰った物なんです…。本当にありがとうございました。」 #SJで妄想 #バーテンソン

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4.『今日はお友達と一緒でしたよね？今度は是非、彼と一緒にお越しください。』「覚えててくれたんですね！はい。次は彼と伺います！」ドアの前でもう一度、ありがとうございますと頭を下げて彼女は出ていった。ほぼ同時にポケットに入っていた携帯が震える。 #SJで妄想 #バーテンソン

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5.携帯を取り出すと番号だけが表示された。こんな時間に誰だ？『もしもし…。』（イェソン？久しぶり。）聞き慣れていた、あの声…。『どうした？こんな時間に…。』（うん…。眠れなくて…。そしたら、ふとイェソンの声が聞きたくなったの。） #SJで妄想 #バーテンソン

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6.（…ねぇ、うちに来ない？）甘い誘惑…。でもただ寂しいだけなのは分かってる。『どうせ彼氏と喧嘩でもしたんだろ？』（ふふっ。やっぱりイェソンにはお見通しなのね。あなたと別れるなんて失敗だったかな？）『バカ言うなよ。』（私は結構本気で思ってるよ？） #SJで妄想 #バーテンソン

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7.これも、嘘。この仕事に就いていろんな人を見てきた。男と女…。それぞれの想い…。『俺にこんな電話してるなら彼氏に電話しろ。仲直りしたら俺の事なんてまた忘れるだろ？』（本当にイェソンは優しいね。だから忘れられなくなるのよ？） #SJで妄想 #バーテンソン

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8.（なんてね…ありがと。また電話してもいい？）『いい加減、俺の番号消せよ。』（そうね…。いつか、彼とイェソンのお店に行くわ。まだ…行ってなかったものね。）『あぁ。ちゃんと彼氏と話し合って、俺たちみたいになるなよ。』（…うん。本当ありがと。） #SJで妄想 #バーテンソン

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9.電話を切り、グラスの残りを一気に呑み干した。コートを羽織りポケットに携帯と煙草を入れ、店の電気を消す。鍵を掛け階段を上がるとまだ暗い空に星がよく見えた。携帯を取り出し電話をかけた。あいつ…寝てるだろうな…。 #SJで妄想 #バーテンソン

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10.〈…もしもし？終わったの…？〉『あぁ。寝てたろ？起こして悪かった。』〈どうかした？〉『何だろうな…。お前の声が早く聞きたかったからかな。』〈ふふっ。早く帰ってきてね。お布団温めて待ってるから。〉『すぐ帰るよ。ひとつだけ言っていいか？』 #SJで妄想 #バーテンソン

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11.〈うん、何？〉『愛してる。』〈うん。私も愛してるよ。〉『寒くないように寝て待ってろよ？』〈うん。ありがと。気をつけてね。〉携帯をポケットに仕舞い、煙草に火をつけた。 #SJで妄想 #バーテンソン

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12.誰かが誰かを想う。家族、友達、恋人、好きな人…。たくさんの愛が溢れれば世界は平和なのにな…。柄にもなく、そんな事を思った。夜明けまでもう少し。早くあいつが温めてくれた布団に入ろう。いつもより少しだけ歩く速度を上げた。END #SJで妄想 #バーテンソン