ラノベ作家・榊一郎氏:ラノベ業界で一番危ないのは「ラブコメハーレムってこういうもの」と思い込む「レッテル貼り」

「今のラノベはハーレムでラブコメしか駄目なんですよね?」的な思い込みに囚われていた元教え子氏とのディスカッション
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榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

一昨日の内弟子&元教え子達とのディスカッションの備忘録代わりと思考整理をかねて久々に少し。(別に準備してる訳でもないから上手くいくかどうかわからんが)連ツイートがうざいと想う人は一時的にフォロー外すなり何なりで対応してくださいませー #sousaku

2013-01-12 21:30:23
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

元教え子が言うには、「プロットが通らない。どういうプロットを書いたらいいかよくわからない。自分はラノベにむいていないのではないか」的な悩みがあると。で、試しにプロットを一本書かせた上で、別の子には好きな作品を幾つか挙げさせた。 #sousaku

2013-01-12 21:32:30
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

まあ、この悩みを打ち明けてきた元教え子&内弟子は、プロとして通用する文章力はある。構成力もある。ただ企画が上手く組めないと。で、「今のラノベはハーレムでラブコメしか駄目なんですよね?」的な思い込みに囚われていたっぽいので、日高さんと一緒に「それは間違い」と諭す。 #sousaku

2013-01-12 21:34:24
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

現状のラノベ業界の流行廃り云々はおいといて。一番危ないのは「ラブコメハーレムってこういうもの」と思い込む、作者側、及び、編集者側の認識。私がよく危険視して創作関係で指摘する「レッテル貼り」ですね。 #sousaku

2013-01-12 21:35:50
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

例えば以前、文章の書き方の所でも書いたけど、人間は、言葉というデジタルなパッケージを意思疎通に使っている関係上、そのパッケージの表面を見て中身を見ない事が結構ある。例えば「犬」と一言書かれた場合に、同じ文字と単語を見ても、その中身をどう脳裏に描くかは、 #sousaku

2013-01-12 21:37:17
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

人によって本当に違う。犬を飼ってる人は自分の飼い犬を真っ先に思い浮かべるだろうし、それがチワワなのかグレートデンなのかはそれぞれ違う。犬、の一言で「ああ、俺は真っ先に思い浮かべるのは、おまわりかなー」とか危ない事を言ってたのは知り合いの漫画家さんだがw #sousaku

2013-01-12 21:38:48
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

つまり何が言いたいかというと、「ラブコメ」だの「ハーレム」だのという言葉を使った瞬間に分かった気になっている人が結構いるのだが、実は、同じ言葉で意思疎通している積もりで、全然違うものを脳裏に思い描いている場合もあるのだ。いやマジで、よくあるのよこれが。 #sousaku

2013-01-12 21:40:02
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

極端な事を言うと、「ラブコメ」と書いた時点でその中に「ハーレム」の意味を含んじゃう人だって居る。逆も同じ。なので「なんでラブコメなのに、主人公の男の子に惚れているキャラが二人しかいないの?」とかとんちんかんな事を言い出す人も居る。 #sousaku

2013-01-12 21:41:18
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

当然、「ハーレム」というと、コメディが前提とか思い込んでいる人も多い。拙作で言えば、「アーク・ブラッド」や「イコノクラスト」はかなり露骨なハーレムだが、コメディではないしギャグもない。ただ、ハーレムというのは、現代日本の倫理観ではあまり正面から肯定しにくいので #sousaku

2013-01-12 21:42:21
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

どうしても、恋愛を軸にしたハーレムものは、おちゃらけないと、ドロドロの修羅場みたいにならざるを得ないし、そこで、ハーレムものは、コメディ味で料理するのが確実に理にかなっている、という事になるが、これも、「絶対そうしなければならないもの」ではない。 #sousaku

2013-01-12 21:43:37
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

またそもそも「ハーレム」という構造についての理解も同様で、どうも車輪の軸とスポークみたいに、「主人公を中心に等距離の人間関係で美少女を配置し、どれもが攻略可能的な空気を匂わせる」のがハーレムだと定義している人が多いみたいだけど(多分ギャルゲー的構造)#sousaku

2013-01-12 21:45:38
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

私なんかの実感だと、女の子が沢山居て、主人公の事が好きで在る、あるいは好きになる可能性を多分に秘めている、というシチュエーションであれば、等距離である必要すらないと想っています。(キャラを出す順番とか、その他諸々の演出的な『等しい扱い』はまた別の話ね) #sousaku

2013-01-12 21:48:05
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

とすると、例えば、王道の剣と魔法のファンタジーを書いていて、ハーレムものにするのは可能だし、むしろ、「現代日本ではないのだから」という理由で、ハーレム状態を押し切る事はむしろそっちの方が楽だったりもする。となると、 #sousaku

2013-01-12 21:49:43
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

「王道の剣と魔法のファンタジーを書きたいけど編集部がハーレムでないと許してくれない」という状態は、実は、企画を出す側と編集部とが「ハーレム」だの何だのについての、認識にズレがあるだけで、両立し得るかもしれないが、レッテルで理解している時点でその可能性が潰える。 #sousaku

2013-01-12 21:51:27
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

で――もう一つ、教え子や内弟子がぶち当たる問題が「正当派ファンタジーや、自分が好きなタイプの話は、手垢がつきすぎて今時流行らない」と言われること。だが、これも、逆手にとれるチャンスがむしろそこに見えているという事を忘れるべきではないと私なんかは想ったり。 #sousaku

2013-01-12 21:54:07
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

例えば元教え子が提示した「好きな作品」の中に「カイルロッド」「宇宙戦艦ヤマト」があった訳だが、例えばカイルロッドも徹底的に単純化していくと「何かのハンデを背負った主人公が、誰かを(何かを)救う為に旅をし、世界の命運を左右する戦いに挑む話」とする事が可能だが、 #sousaku

2013-01-12 21:56:29
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

先の様に、この旅の仲間に女性キャラ増やせば単純にハーレム状態には出来るし、この「本当によくある構図」も、「本当によくある」ところから逆算し、「よくある」様に見られる「記号」部分をひっくり返してやるだけで、雪崩の様に新しいものが出来上がる可能性がある。 #sousaku

2013-01-12 21:57:55
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

例えば先の「カイルロッド」の骨子構造なんかは、実はうちの「棄てぷり」「チャイカ」にも共通だったりする、典型的な貴種流離譚だ。実は身分の高い●●がとある理由からさすらいの旅に、という。 #sousaku

2013-01-12 21:59:30
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

で。これは貴種流離譚という言葉でくくられる事からも分かるように、大体、「王子」「王女」「貴族」なのだよな。基本は。吸血鬼ハンターDのDですら、いってみりゃ、あれ、神祖の王子だもんな。 #sousaku

2013-01-12 22:00:51
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

これは身分の高い人物が、苦難の旅をしているというギャップがいいんだろうけど、だったら、これ、「普通は旅しないよね?」的な人物であれば、別に王子とか姫でなくてもよくね? という考え方も成り立つ。 #sousaku

2013-01-12 22:01:48
榊一郎@「おお魔王、死んでしまうとは何事か」 @ichiro_sakaki

ファンタジーやりたい! は大前提なのだから、その範囲内で考えると、例えば、大商人の息子、なんてのは充分にアリだ。他にも滅んだ神様の巫女とか、そんなのもいける。此処では仮に先の大商人の息子を主人公に据えるとする。 #sousaku

2013-01-12 22:03:21
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コメント

ぽにか @ponica 2013年1月13日
「目新しい設定」を引き算したあと足し算するみたいな話でおもしろかった
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kaburazaka @kaburazaka1 2013年1月13日
プロップの昔話の形態学を思い出した。すべての昔話は31の機能に分類されるというやつ。
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はくまに・アーチボルト @haku_mania_P 2013年1月13日
やっぱりこの人、頭がいい&分解、再構成する能力、それを他人に説明する能力が高いんだなあ。分かり易くて面白かった。…なにげにラノベと関係ないところにも応用が利く話だよね?
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Erimo@ンデァ @ErimoKYO 2013年1月13日
これ、物凄くためになる話だわ。特に趣味でも同人でも、なんらかのお話を書いてる人にとっては。SSクラスタの自分には色々と可能性が広がりそうな話でちょっとわくわくしてくる。
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リオ @rio4649 2013年1月14日
なんだこれー、面白いー。ラノベ界の赤松健みたいw 理詰めで紐解くというか、ラノベを科学するというか、理系的な筋道の立て方がとにかくよく腑に落ちる。「ヘタッピマンガ研究所」のラノベ版でも出してくれたら凄く読みたい。
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~久家拍徒(){} @signed_coward 2013年1月15日
物語の類型化とか貴種流離譚とかいうと大学時代に一般教養で教わった先生の研究を思い出す(出身大学がバレるかもしれない発言)。
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フローライト @FluoRiteTW 2017年12月10日
今生き残ってる作家陣なら大抵はこういう創作理論を持ってるはず。逆に言えば、感性任せで生き続けてるのはマジモンのバケモノ。初期の電撃大賞組はスタート時点で理詰めだったから全員ヤバい。
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フローライト @FluoRiteTW 2017年12月10日
レーベルとか編集サイドにも同じレベルの器が必要、という話はあるかもしれない。なろう作家に手当たり次第にメール送って文庫本作って一丁上がりとか、売れてる○○みたいなの出そうぜ、みたいなのばっかりだと作家側がどう頑張っても無駄。
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