「宇宙戦争」と地球防衛軍、そしてフィラデルフィア実験について

オーソン・ウェルズ「宇宙戦争」が現実の事件だったら、そしてそのテクノロジーがリエンジニアリングされて人類に伝わり、ミステリアンとの戦いに投入されていたなら……という思考実験。
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『地球防衛軍』に登場する原子力空中戦艦(α号および第1、第2β号)は、実は合衆国で開発・生産されていた物を、怪遊星人の襲来に際して急遽日本に空輸、組み立てたのではないかという説を提唱する。

2013-01-13 02:42:26
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

なぜならば、日本に原子力エンジンを開発・運用するノウハウがあるとは思えないし、あれだけの兵器をいきなり設計・建造することに無理があるからだ(マーカライトファープや原子熱線砲については後述)。もともとあった物を持ってきたと考えるのが至極妥当だろう。

2013-01-13 02:44:27
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

さて、マーカライトファープおよびジャイロだが、先の空中戦艦を含めた超兵器の類(しかし原子熱線砲は除く)は、しかし合衆国と言えども果たして開発できるものなのか? という疑問も生じる。

2013-01-13 02:47:31
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

実はこれらの超兵器に用いられている技術や素材は、ミステリアン紛争のおよそ20年前に、合衆国本土で勃発したある事件がきっかけで、人類にもたらされたものだった。その事件とは果たして何か?

2013-01-13 02:51:23
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

1938年10月30日の夜、合衆国の一地方に謎の金属体が複数飛来した。それらは三本の脚を持ったマシンで、突然動き出すと怪力光線を発して周囲を焼き払いはじめた。州軍が出動したが敵うわけもなく、ついには陸軍の出動が要請されるに至った。

2013-01-13 02:55:11
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

戦闘は米軍に圧倒的不利だったが、朝日が昇る頃に事態は急転する。原因は不明だが三脚マシンは活動を停止してしまったのである。後の調査で、これはマシンを操っていたベムが、ビールスに侵されたためと判明した。

2013-01-13 02:58:08
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

とまれ、米軍はすぐに周囲一体を封鎖、事態の収拾に当たった。このときワシントンからの命令でFBIが情報統制に乗り出した。目撃者は拘禁され、秘密の厳守を誓約させられ、事件は地元のラジオ局が、山火事をドイツ軍の侵略だと勘違いしたために起きたのだと言い含められたのである。

2013-01-13 03:00:55
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

後に“マーキュリー事件”と呼ばれることになるこの事件は、恒星間を渡る術を持つ文明の技術の一端を、初めて人類にもたらした重要な出来事として、その名を世界の歴史に刻んだのだった。

2013-01-13 03:03:24
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

米軍はネバダ砂漠の一角に秘密施設を設立し、そこに遺された三脚マシンを収容して、技術の解析と研究を始めた。合衆国は大戦中に唯一核兵器の実用化に成功した国として知られるが、ここで得られた技術が原爆開発にも大きな影響を与えていたのは、今では多くの人が識る事実である。

2013-01-13 03:06:34
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ミステリアン紛争に投入された超兵器のすべてが、実はこの謎の三脚マシンを技術的源流に持っていた。原子力エンジンはむろん、超々ジェラルミンより軽量で、戦艦の装甲板並の頑丈さを持つ素材など、その技術はすべて異星人から得たものだったのだ。

2013-01-13 03:10:09
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

さてミステリアンにトドメを刺した原子熱線砲だが、これは地球防衛軍に編入されたことで、最重要機密であるマーキュリー情報に接することが許可されるようになった自衛隊の技術系幹部が発想したものである(本編で「ウチの若い連中が考えた」というセリフがある)。

2013-01-13 03:13:14
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

さてマーキュリー情報とは、先に述べた三脚マシンに関する有形無形、すべての情報を意味する。ただこれは米軍およびFBIの最重要機密であり、マーキュリー事件発生当時の大統領だったF・D・ルーズヴェルトの死後は、大統領の引き継ぎ事項からは外された。

2013-01-13 03:17:45
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

大統領府をマーキュリー情報から切り離すという判断は、悪名高い初代FBI長官であるJ・E・フーヴァーが行ったとされている。この結果、オーヴァーテクノロジーはFBIと米軍が囲い込むことになった。

2013-01-13 03:21:12
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

これによって、人類が異星からの技術の恩恵に浴することは、1950年代中盤以降まで先延ばしにされてしまったが、逆説的に共産圏のスパイの目から隠し通せたというメリットもまた、忘れるべきではない。

2013-01-13 03:23:34
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ちなみにオーヴァーテクノロジーだが、当時世界最先端の科学と技術を誇った合衆国でさえ、解析できたのはその一部分の、そのまた一部分に過ぎなかった。

2013-01-13 03:26:32
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

これは驚くべき事を意味していた。米軍が得られたのは、ほんの爪の先程度の技術情報に過ぎないが、それだけでも世界の軍事バランスを一変させる充分な力を持っていたのだ。

2013-01-13 03:28:18
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

だがここでひとつの疑問が生じる。それは、原爆以外に、なぜマーキュリー情報を用いた兵器を開発しなかったのか? もし開発していたら、あの長く悲惨な戦争は、もっと早期に終結していたのではないか? というものだ。

2013-01-13 03:30:03
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

当然、米軍上層部もそう考えた。そして実際に、彼らは大戦中にマーキュリー情報の軍事技術転用を試みていたのである。

2013-01-13 03:31:05
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

米軍はニコラ・テスラのレインボープロジェクトの一環として、31年からレスラ・コイルを用いた艦艇のステルス化技術の開発を進めていた。が、それは杳として進まず、計画は座礁しかかっていた。

2013-01-13 03:33:12
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

計画班が絶望しかかっていたそのときにもたらされたのが、マーキュリー情報だった。米海軍はすぐにこれを応用しテスラ・コイルによるステルス装置を建造し、駆逐艦「エルドリッジ」に搭載した。そして43年、実験が行われた。

2013-01-13 03:35:19
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

実験の詳細はいまだ機密に属しており、明らかになっていない。ただ実験は失敗に終わり、多くの犠牲が生じたことは、以来、米軍がマーキュリー情報の応用にひどく慎重になったことから、容易に察することができるだろう。これが大戦中に軍事転用されなかった原因だと言われている。

2013-01-13 03:38:00