【ネタばれ注意】小林泰三ワールドの人物相関に関する考察
- iamdreamers
- 21268
- 11
- 8
- 10
丸鋸遁吉・・・このマッドサイエンティストが初めにしでかしたのは、「未公開実験」(いきなり別の短編集(^^))にて、時間移動システム「ターイム・マスィーン(ポーズを取る)」を発明し、歴史を改変しまくったこと。そしてこの最後に、世界を滅ぼすことになる。
2013-01-14 10:12:40「未公開実験」の後、未来の自分から「将来、地球は食料危機に陥る」とのメッセージを受け取った丸鋸遁吉は時間移動研究を止め、「肉」にて家畜に遺伝子改造に乗り出し、この最後で自分自身をも改造して肉の塊になる。
2013-01-14 10:14:13その後、体は元に戻ったらしいが、論文捏造を問われ大学を馘首になったらしい。提出した論文の追試を誰もできなかったことが理由・・・とのことだけど、教え子の言葉によると「自分の体にあんなことをする人はいない」から、「捏造」とは言いきれない、らしい・・・(「正直者の逆説」)
2013-01-14 10:16:22その「正直者の逆説」では、職を失って10年経った丸鋸遁吉は、私立探偵を始める。・・・思い付きと成り行きで。ここで丸鋸遁吉の発明したものが「万能探偵ソフトウェア」。この中で究極の論理的思考能力を持つように育てられた人工知能がΣ。
2013-01-14 10:19:43仮想現実空間の中で論理的思考能力を極限まで高められた∑の思考力(・・・と言っていいのかな?とりあえず、そういうことにしておく(^^))は、丸鋸遁吉が起こしたありえない事件で、自分のいる世界が仮想空間であることにも気付く(「超限探偵Σ」)。
2013-01-14 10:21:08「超限探偵Σ」の後日譚(?)が「更新世の殺人」。ここでも∑の論理性が発揮され・・・ているのか?(^^) 恐らく、読者全員、突っ込みまくりだったんじゃないだろうか?(^^) 作中の人物、新藤礼都もその一人で、この作中で一番読者に近い人物なんじゃなかろうか?
2013-01-14 10:22:52ここで新藤礼都の登場を遡っていくと、「自らの伝言」での西条源治とのやり取りにて、過去、殺人を犯していることを認めている。その殺人とは・・・と、その前に。
2013-01-14 10:24:50西条源治を遡ると「氷橋」で、殺人の濡れ衣を着せられそうになった被害者の旦那に雇われた弁護士として登場している。何らかの理由で弁護士としての信用をなくし、今はティッシュ配り(自分宣伝用)をしている。弁護士としての信用をどこで落としてしまったのか・・・と、またまたその前に。
2013-01-14 10:27:09ここにコンビ刑事が登場している。谷丸警部と西中島巡査。この二人はというと「大きな森の小さな密室」にも登場している。この二人の知己として現れる、この作中の探偵役が徳さんこと岡崎徳三郎。
2013-01-14 10:29:01ここで戻って、新藤礼都、西条源治、谷丸警部、西中島巡査、徳さんの五人が関係している事件が「密室・殺人」。この事件は探偵、四里川陣により被害者の自殺として処理されることになった・・・はずだけれど、どういう経緯を辿ったのか、結局、新藤礼都が真犯人として検挙されたみたい。
2013-01-14 10:30:43「密室・殺人」事件の関係者のその後を見ると、徳さんが「路上に放置されたパン屑の研究」で前向性健忘症を患った青年、田村仁吉と暇潰しをしている。
2013-01-14 10:32:16田村仁吉はその前に、「遺体の代弁者」でまたまた登場するマッドサイエンティスト丸鋸遁吉の手により頭部を改造され、スピーカー・フォア・ザ・デッド・システムとして使われてしまう・・・が、患っている症状のために、本人は覚えていられない・・・
2013-01-14 10:34:09田村仁吉が前向性健忘症を患うことになったのは「忌憶」にて友人の藤森直人が街の不良に襲われているところを助けようとし、そのとばっちりをくった格好・・・つくづく、不遇な運命を背負ってしまっている・・・
2013-01-14 10:36:25ここで変なところが一つ。Σは、丸鋸の創った仮想空間内の人工知性。ということは、Σとその関係者はみんな仮想空間内の住人、ってことになる・・・∑の関係者を辿っていくと・・・Σ─(更新世の殺人)→礼都─(密室・殺人)→徳さん─(路上に放置されたパン屑の研究)→仁吉、と繋がる。
2013-01-14 10:39:54あれ?丸鋸って「遺体の代弁者」で仁吉に人体改造してなかったっけ?仮想世界の住人に人体改造??というのが変なとこ。けれど、実はここに矛盾はなかったりする。
2013-01-14 10:41:54その鍵は、「未公開実験」にある。ここで丸鋸は、「この世界がメタ世界の中に構築された仮想世界である」という仮定の下、ターイム・マスィーン(ポーズをとる)を開発し、そして仮定のとおりに動作することを実証した。つまり、丸鋸自身も仮想空間内の住人ということを証明した。
2013-01-14 10:44:20となると、丸鋸が「正直者の逆説」で創った仮想世界も、実は丸鋸の存在する現実世界であるところの仮想世界(ややこしい・・・)の一部であり、すなわちΣも丸鋸と同じ仮想世界=現実世界に生きている、ということになる。
2013-01-14 10:45:30丸鋸は、意識していたかどうかは別にして、人工知性を創るつもりで実は現実の人間を創っていたのである・・・!つくづく、とんでもないマッドサイエンティストである・・・とんでもないからマッドなのか・・・
2013-01-14 10:46:40ところで、「更新世の殺人」で、Σを見た礼都が「あれ?」と言う顔をする・・・礼都はΣに四里川陣の影を見たんじゃないかなぁ・・・すぐに否定することになっただろうけど(^^)
2013-01-14 10:47:47