茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第837回「歌舞伎との出会いは、いつか来る」
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かい(1)早稲田大学の国際教養学部で英語でBrain and Cognitionの授業をしている。昨日は、今年度の試験前の最後の授業だった。これまでのemotion, learning, network, irrationality, intelligenceなどのテーマを復習。
2013-01-17 07:56:39かい(2)授業をしながら、補足する映像教材を示した。たとえば、change blindnessについては、http://t.co/ECAiS37h を見た。とてもよく出来ていて、学生たちもよろこんでいた。今は、インターネットで大量の情報にアクセスできるから、授業の構成も進化する。
2013-01-17 07:58:57かい(3)Emotionのところでは、Stingが歌うJohn DowlandのCome againを見るなど、いろいろ工夫した。ところで、学生たちが一番反応したのは、意外なことに、歌舞伎だった。時間の都合があるので、全部を見ることはできなかったが、義経千本桜の「四の切」。
2013-01-17 08:01:25かい(4)まず見たのは、http://t.co/VPb9GL6J の2分くらいから。留学生もいるし、日本人も歌舞伎には慣れていない人がほとんどなので、まずは解説した。「人間の姿をしているけど、本当はキツネだ。母親が殺されて鼓になっているので、それを慕って追いかけている。」
2013-01-17 08:03:13かい(5)全盛期の市川猿之助、現在の猿翁さんが、静御前に、「さてはそなたは狐じゃなあ」と言われ、「ひえええ」とばかりに消えて、あっという間に白い装束に早変わりして出てくると、見ている学生たちが「おおおおっ!」と思わず声を出した。アメリカからの留学生の目が輝いている。
2013-01-17 08:04:39かい(6)そして、http://t.co/ThP8lSqf の5分30秒くらいから。お殿様が狐の心情を哀れんでいると、それを聞いている人間の狐忠信が、その直後に、天井から狐になって登場する。観客の拍手。見ている学生たちも、「おおおおっ」驚いていた。
2013-01-17 08:06:52かい(7)歌舞伎の映像を見たのは、感情表現の烈しさを見てもらいたかったからだけれども、最前列の日本人の学生が、「私のドーパミンが出ている!」とかつぶやいていた。「義経千本桜」のような、名作中の名作を知ることは、university educationの重要な役割だと思っている。
2013-01-17 08:08:10かい(8)歌舞伎との出会いは、いつか来る。私の場合、20歳くらいの時に、カナダのホストファミリーが日本に来て、歌舞伎座の幕見に一緒にいったのが衝撃の出会いだった。その時の演目が、ビギナーズ・ラックというか、まさに猿之助さんの義経千本桜「四の切」だったのである。
2013-01-17 08:09:38かい(9)世の中には、知らないとどうしょうもないというものがある。いいものを知ると、人生を支えてくれる。新国立劇場に頼まれてもいないのに、23日のタンホイザーを「一緒に見よう」とプロモートしているのも、同じ思い。良いものとは出会わなくてはならない。大学教育は出会いの触媒だろう。
2013-01-17 08:11:38