Forbes/日経「放射線と発がん」の突っ込み所

気になる点がいくつかあるので重箱の隅まで全部突っついてみました。 長くなりすぎるので引用ツイートは極力絞ってます。連続ツイートをブツ切りしたりしてます。すみません。 記事に関するまとめの一覧→ http://togetter.com/li/441948 続きを読む
震災 原発 Forbes 被曝 lnt仮説 UNSCEAR
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Forbes記事とその日本語版
リンク Forbes Like We've Been Saying -- Radiation Is Not A Big Deal - Forbes Radiation doses less than about 10 rem (0.1 Sv) are no big deal, so says a new report from the United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR). The implications for Fukushima are critical.
リンク www.nikkei.com 824 users 12956 放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論 :日本経済新聞 昨年12月、極めて重要な報告書が粛々と発表された。そこに結論として書かれているのは、原子力科学の専門家が長年にわたり主張してきたことだ。
12月に発表されたUNSCEAR報告書
※※※※※ 注 ※※※※※ 「LNT仮説は科学的か否か・採用されるべきか否か」についてこのまとめではあえて議論しません。 「低線量被曝対策に労力・資金を浪費するべきでない」とする記者の意見の是非についても議論しません。 明らかな事実誤認や、誤解を招く記述などについて述べていきます。
・事実誤認①および誤解を招く記述 LNT仮説の説明、「被曝量が2倍なら発がん率も2倍になる」について 正しくは「被曝量が2倍なら上乗せされるがん死亡率も2倍になる」

 「発がん率」と「死亡率」の誤りについてはリンク先参照。

 そして「上乗せ」について。

 上の例でさらに被曝量が2倍になった場合、過剰絶対リスクが2倍になるため、生涯ガン死亡リスクは25+(5×2)で計35%になる。
 しかし(「発がん率」を直したとしても)「被曝量が2倍なら死亡率も2倍」というのを文字通り受け取ってしまうと、30の2倍で60%と誤解しかねない。
 もちろんこんな計算は直感的に不自然なのだが、記事は「当然ながら、~発がん率は2倍にならない。」と論を進めているので、計算が不自然である事が論旨と矛盾せず、誤解に気付かない可能性がある。

・事実誤認② 累積被曝量と年間被曝量の混同 「当然ながら、年間0.1Sv(年10 rem)以下では~」について

 LNT仮説が問題にしているしきい値の「0.1Sv」というのは累積の被曝量を指している。
 「年間0.1Sv」の場所に1年より長くいると累積被曝量でしきい値を越えるので、LNT仮説に関係無く健康に影響が出る被曝量に達する。
 一体何が「当然」なのだろうか?

・事実誤認③ 数値誤り 「自然放射線量が年間0.1Sv(10 rem/年)を超える中東、ブラジル、フランス」について
Jun Makino @jun_makino
引用 : There are no observable effects in any population group around the planet that suggest LNT is true below 10 rem/yr (0.1 Sv/yr)
Jun Makino @jun_makino
引用 : even in areas of the Middle East, Brazil and France where natural background doses exceed 10 rem/yr (0.1 Sv/yr).
Jun Makino @jun_makino
とりあえず 1 桁間違えているようである。
Jun Makino @jun_makino
要するに健康調査のデータがあるのは「平均 5.5mGy/ 年」の影響であって、 「 natural background doses exceed 10 rem/yr 」というような場所のデータではない。

 さすがに年間0.1Svを越えるような場所は世界でも滅多に無い。ラムサールでは最高年間0.26Svというのもあるらしいが、一部のホットスポットだけのようだ。

・ミス①(日経)(※後に修正) 日経記事に「2013年1月13日 Forbes.com」と書いてあるが、Forbesの記事は11日付。

 時差があっても2日はズレない。まあこれはどうでもいいです。
※追記:修正されてました。(1/19確認)

・ミス②(日経) 誤訳
flurry @flurry
つうかUNSCEARの囲み記事の部分、incremental dosesを「漸増的な被曝」とか訳してるんだけど。これ、追加被ばく線量http://t.co/LV5oz1H7 )とかそういうはなしじゃないのん…… http://t.co/Dnt6u0WU
・ミス③(Forbes)(日経で修正済み) 日本の新基準値、牛乳 ×200Bq/kg ○50Bq/kg
・ミス④ General Assembly (総会)の解釈間違い
大石雅寿(個人としての発言) @mo0210
@jishin_dema @jun_makino @flurry @miakiza20100906 @Yuhki_Nakatake @glasscatfish 国連総会で承認されたとあるけれど、UNSCEARの総会に提出された報告のようなんですけど。
・論理不明瞭①(Forbes)(日経では削除) Forbes記事中のグラフについて
大石雅寿(個人としての発言) @mo0210
@DanielKahl 横軸の範囲が狭すぎるので、これでLNTについて何かを断言するのは難しいと思います。
大石雅寿(個人としての発言) @mo0210
(そもそも、あのフォーブス記事に掲載されていた図から言えそうなことは、「こんなに低い線量の場合、他の要因による死亡率と放射線による死亡率の差が見えない」ということだけ)
Jun Makino @jun_makino
グラフの LNT の線の傾きも多分 30 倍くらい間違ってる。なんだこりゃ?

 「生涯累積じゃなくて年間になってる」「がん死亡率が上乗せ分じゃなくて総計になってる」「州ごとの点なので線量以外の要因が関係する可能性がある」「原点がゼロじゃない」など色々注意が必要なグラフ。ややこしすぎて合ってるかどうかよく分からない。日経は削除して正解だと思う。

・論理不明瞭②

(これが一番厄介な問題)

UNSCEARが「約0.1Svまたは10 rem以下の放射線の被曝は大した問題ではない」と結論付けたとする根拠について

 記事より引用。
昨年12月、極めて重要な報告書が粛々と発表された。(…)
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が提出した。低線量の被曝の影響は非常に不確かなものであるため、UNSCEARとしては「低線量の被曝と大人数を掛け合わせて、自然放射線量と同等以下のレベルで漸増的な被曝によって健康被害を受ける人数を推定することは勧めない」と述べている。

 こういう書き方をすれば、「低線量の被曝と大人数を~」のカギカッコ部分は12月の報告書からの引用であり、「0.1Sv以下は問題無い」の根拠を表している、というのが一般的な文章の構成であり普通の解釈である。

 しかし…

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コメント

ネット上の情報検証まとめ @jishin_dema 2013年1月29日
日付ミスだけ訂正されたようなので追記しました
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