国連科学委員会 UNSCEAR 2012 白書の内容

「0.1Sv/年間はまったく健康に影響なし」との見解を国連が出した(恐らく誤り)とフォーブスの記事が報道。この、きっかけになった昨年の国連UNSCEAR(原子放射線による影響に関する国連科学委員会)の発表があります。 BIOLOGICAL MECHANISMS OF RADIATION ACTIONS AT LOW DOSES http://www.unscear.org/docs/reports/Biological_mechanisms_WP_12-57831.pdf という白書ですが、この中で最新の成果や今後の方向について述べられているので、重要と思われる部分をまとめました。 数年後これに基づいて何らかの決定(か正式な報告書の作成)が行われるようです。 この白書は、(発がんではなく)遺伝的毒性に関してしきい値があることに言及しているので、フォーブス記者の誤解はここに起因するのかもしれません。
原発 震災 国連科学委員会 lnt しきい値 UNSCEAR フォーブス
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ツイートまとめ Forbes の記事について 61293 pv 1179 48 users 73
ダニエル・カール @DanielKahl
フォーブズ誌:LNTはやっぱ、非科学的。<0.1Sv/年間はまったく健康に影響なしと、UNSCEARが発表。LNT主張はかえって、余計に心配させて健康異常を増やす。英語の記事だが、関心のある外国人の友達にどうぞ。http://t.co/v56Am0hX
Tacchan @aonechi
経済紙Forbesに出た”トンデモ”記事が話題にしているUNSCEARのリポートは以下のものではないかと思う(http://t.co/tAHfhcfr)。第67回国連総会への報告で、投票なしで認められたようだけど、これのどこにForbesにあるような話があるのか?ないよねえ。
Haruhiko Okumura @h_okumura
こういうことなのかな→UNSCEARの最新の白書(http://t.co/s6La9qaL の一番上)が出る直前に書かれた解説 http://t.co/3IYQMoVZ を極言した記事 http://t.co/r4CIek9M さすがにまずい
ツイートまとめ Forbes記事「放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論」への反応 ・賛否両論が噴出するのかと思いきや、反原発側の反応が何故か少ない…。 記事:「放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論(Forbes)」(日本経済新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXZZO50651160W3A110C1000000/ 魚拓:①http://j.mp/VpKmfg ②http://j.mp/Whz6Qk ③http://j.mp/10BpAyn ④http://j.mp/V9zFAm ・こちらのタイトルのほうが強烈  「Like We've Been Saying.. 30995 pv 542 26 users 58
s_matashiro @glasscatfish
UNCEAR2012をご覧になった方は、「遺伝的変異の伝達に関しては、0.5mGyのしきい値があるという合意が形成されつつある」という記述が何度か出てきたのにお気付きでしょうか?フォーブス方はこのあた.. http://t.co/r1r78ol5
s_matashiro @glasscatfish
@glasscatfish 0.5Gyの打ち間違いです。失礼しました。 http://t.co/oewk7Sg8
s_matashiro @glasscatfish
.@DanielKahl さん紹介のフォーブス記事の元とおもわれるUNSCEARの昨年末の白書 http://t.co/oDnZfvlM を見てたら、最近の進展として「放射線の遺伝的影響のしきい値は0.5Gyというコンセンサスが形成されつつある」D-40 このあたりが誤解の原因?
s_matashiro @glasscatfish
「LNTが公的に否定された」というでっち上げをしたとされているフォーブス記事、おそらく記事のきっかけは「 原子放射線による影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」が昨年出した白書 http://t.co/oDnZfvlM
naktom @naktom1980
UNSCEAR報告のサマリーでは、「本文書は、非標的効果・遅延影響と呼ばれるメカニズムの理解は進んでおり、遺伝子とその蛋白発現量とにおいて、高線量被ばくと低線量被ばくとでは違う反応が起こるという複数のエビデンスがあったが、各報告のあいだには一貫性と整合性が欠いていると結論した」と
s_matashiro @glasscatfish
実はこのUNSCEAR2012白書ではゲノムの不安定性やその伝達に関するしきい値の存在が繰り返し触れられている。(パラグラフ 20, 27, 40) http://t.co/oDnZfvlM
s_matashiro @glasscatfish
LNTといっても、どんな指標で見るかで評価は違ってくるはずなので、そのあたりもLNTは防護上のものとされる理由ではないだろうか。例えば発ガンの段階が多段階なら当然直線関係にはならないことは、がん抑制遺伝子を学んだ人はご存知かと思う。
s_matashiro @glasscatfish
UNSCEAR2012では、発ガン遺伝的な影響が低線量放射線の効果として考慮すべき課題としている。ここでの低線量は 100mSvまたはそれ以下のこと。線量率は(以前の定義では)0.1mGy/min以下。この白書の内容が今後検討していく方向性を示しているようだ。
s_matashiro @glasscatfish
マウスには放射線に感受性が高い系統とそうでない系統がある。また、遺伝子の中にも放射線で変異が入りやすい場所がある。そうした知見が積み重なって、最近確かになってきたことは、マウスでは 0.1-0.2Gy以下では遺伝子の不安定性が起こらないということ。UNSCEAR2012-20
s_matashiro @glasscatfish
更に、その不安定性が次の世代に遺伝するかという点では、0.5Gy がしきい値ということが二つのレビュー(実験の論文をまとめて議論した論文)で示され、最近の報告でも確認された。 UNSCEAR2012-20
s_matashiro @glasscatfish
これら 0.5Gy 近辺でしきい値を示したゲノムの不安定性の遺伝の実験系は、どれも低LET放射線(γ線)によるもの。高LET放射線(α線)による報告はまだまだ信頼性のあるものが乏しい。 UNSCEAR2012-27
s_matashiro @glasscatfish
UNSCEAR2012 では塩基除去修復系がゲノムの不安定性を防ぐのに寄与しているなど、メカニズム的な進展にも多く触れている。また、バイスタンダー効果や放射線に対する適応現象もゲノムの不安定性を考える上では不可分なものとして取り扱っている。
s_matashiro @glasscatfish
UNSCEAR2012 の内容は他にも、ミトコンドリア、遺伝子の網羅的発現解析、システムバイオロジー的なアプローチと続く。ちょっと意外だったのは、網羅的発現解析では、低線量であまり有効な結果が出ていないこと。発現量の変動も少ないし、平たく言って、しょぼい結果しか出ていない。
s_matashiro @glasscatfish
この論文はUNSCEAR2012に引用していたものではないが http://t.co/jYFvu41N 染色体ペインティングという手法で低線量放射線の効果を見たもの(無料文献)。0.1Gy以下では変異誘導の効果がない
s_matashiro @glasscatfish
@Dreswl 感受性の高いマウスの系統組織検出法でようやくわかるようになったという話です。ヒトでは細胞でしか実験できないですが、UNSCEARの白書にはいくつかの調査が引用されていましたのでご覧ください。
s_matashiro @glasscatfish
UNSCEAR2012 の白書「低線量における放射線の生物作用」 http://t.co/oDnZfvlM から重要と思われるものをいくつかツイートします。昨日の続きです。
s_matashiro @glasscatfish
昨日はUNSCEAR2012が取り上げている放射線の遺伝的影響におけるしきい値についてツイートしました。今日は発ガンにおけるバイスタンダー効果と低線量放射線に対する適応現象について。
s_matashiro @glasscatfish
バイスタンダー効果(bystander effect, abscopal effect)とは放射線を照射されていない細胞や組織が放射線の影響をうけることで、近接した細胞の場合もあるし、離れた細胞や組織が影響を受けることもあるとされています。 #UNSCEAR2012
s_matashiro @glasscatfish
バイスタンダー効果が放射線のリスクを高めるか低くするかについては両方の結果があり、まだコンセンサスがあるとは言いがたい状態。 #UNSCEAR2012 -35
s_matashiro @glasscatfish
小脳に腫瘍ができやすい遺伝子操作を行ったマウスで注目すべき報告がある。小脳を放射線照射から保護しておいてもこのマウスは高率で小脳に腫瘍を作る。高線量(3Gy)でバイスタンダー効果は発がんリスク増加を示す #UNSCEAR2012 -30 http://t.co/74kvmc5L
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コメント

s_matashiro @glasscatfish 2013年1月18日
タイトルの誤字を訂正しました。
nao @parasite2006 2013年1月18日
遺伝子変異が次の世代に伝わるということは、修復が間に合わずに複製されてしまうという事だから、遺伝子構造を引っ掻き回す影響力と遺伝子修復能力のどっちが勝つかという綱引きの結果で決まるというイメージかしら。次世代に伝わってしまうのは、遺伝子修復能力で対応しきれないほどの大きさの影響があったとき。
s_matashiro @glasscatfish 2013年1月18日
本当に遺伝子変異が伝わっているのか、どの程度変異が入るのかは次世代シーケンサーで全塩基配列を比較する研究の結果が出ないと確定しない話かと思います。現状の低線量被曝研究はまだそこまで解明されてなく、変異の入りやすい遺伝子領域(STRなど)で代表させて議論している状態の模様です。
s_matashiro @glasscatfish 2013年1月18日
DNAの異常が即、発がんでないのはもちろんですが、エピジェネティクス(DNAのメチル化やヒストンのアセチル化)とマイクロRNA、更には染色体の再構成や代謝的な変化も寄与するとなると、発がんへの寄与を見積もるのは容易ではないと、半分現段階での評価を投げた?記述もありました。
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月18日
「変異」と「不安定性」は別物としたほうがわかりやすいかと。mutationとinstabilityの違いです。instabilityが次の世代に伝播する、というのをtransmissible instabilityと表記されています。高線量を用いて、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18206182とかの実験で検証されてます。
s_matashiro @glasscatfish 2013年1月18日
STRの結果に言及されていたので、そう書いたのですが、もう少し整理して書いた方がいいですね。変異の蓄積の結果として不安定性が起こるという理解でよいですか?ありがとうございます。
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月19日
glasscatfish んと、古典的には(もっともありそうな仮定としては)二重鎖切断による誤りがちな修復による変異が蓄積する、というモデルなのです。が、高線量・線量率の放射線によって、染色体が不安定になる現象が、遅延して起こることが知られていて、それがTransmissible、と呼称されています。
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月19日
単純な、変異の蓄積→染色体の不安定性、という因果以外にも、DNA以外の標的(non-target)に対した作用によって、染色体の不安定性が起きるのではないか?というのが、上に挙げたような研究によって示唆されています。http://togetter.com/li/427199らへんで言われていたのもその一環。そしてUNSCEARはそういった微細な影響に対しても言及して、真面目に取り組もうという姿勢。
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月19日
染色体の不安定性とガン化は別物として扱うべきなので注意です。Proteomicsやエピジェノミックな「最終的なアウトプットとしてのガン化では影響が小さくて統計的な有意差がつけるの大変だから、DNA以外の影響も含めて考えてみましょうか」「今の技術ならそれができるっしょ」というのが提言の一つです
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月19日
いずれにしても、現在のデータだけでは「よくわからん」ので、もっとがんばって解析して、皆の納得いくようなデータを取りましょうね、というのが基本スタンスでしょうね。今のところ、LNT仮説も閾値あり仮説もホルミシス仮説も、仮説でございますな。現代科学は通説を作る過程にいるのでしょう。ただ「高線領域での影響はLNTに従う」「低線領域での影響は、統計的な有意差がバックグラウンドに埋もれる程度に低くなる」ことは、現象として不変です。
naka-take @Yuhki_Nakatake 2013年1月21日
UNCEAR2012の中身を日本語に直したような研究→http://www.nxo.jp/index1.htmlの左からDLできるPDFを御参照。大体は同じようなことが書いてあります。どっかにあったと記憶してたのですが、ようやく思い出しました。http://togetter.com/li/308581でぷりりんさんが提示してたリンクで、内容は重複しまくりです。
温風式チェロ弾き @tonkyo_Vc 2013年1月21日
UNSCEARのドキュメント読んでいて、「バイスタンダー効果」やそれに類するものって、エクソソーム(exsomeではなくexosome)の作用が大きいのかなと思ったんですけど、ドキュメントには具体的にはそういった記載がなさげですね。
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