榊一郎先生による「かつて関わったスーパーロボットものの企画。それに伴う各々の認識の違いの話」
- JORA_JORAEMON
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もう二年以上前のポシャった話な上に、再利用も無理だと思うのし、時効だと思うから書くけども。あるスタジオに頼まれてスーパーロボット系のアニメ(1クール)の企画をいじった事がある。 #sousaku
2013-01-19 22:14:13先方から来たのは「とにかくオリジナルでスーパーロボットものを」というものだったわけですが。私が二本ほど出した企画は両方、細かい部分に駄目が出されて却下。正確には「この部分を変えるともう別の企画になっちゃう」的な所に駄目だしが出たりしてたのね。 #sousaku
2013-01-19 22:15:42で、その多くのポイントがロボットの部分ではなくて、「主人公にこんな行動させないで」とか「敵は必ずこんな風にして」とかそういう注文ばかりだった。とにかく、先方さんの求めるスーパーロボットなるものが何なのか、よく分からなかった、というのが本音。 #sousaku
2013-01-19 22:17:14途方にくれた私は、ミクシイとかで同業者に「スーパーロボットの定義は?」と聞いてみたら、まあ、これが、本当に皆違うんだわw #sousaku
2013-01-19 22:18:05例えばスーパーロボットというのはリアルロボットの対義語みたいに使われる事も多いけど、では、リアルじゃないロボットって何よ? 的な。で、どうもこれはスパロボ大戦辺りの影響なのかもしれんけど、こう、「数値的なスペックでは無く根性でパワーアップ」的なイメージが #sousaku
2013-01-19 22:19:17スーパーロボットにはついてまわってたりした訳です。ところが――確かこれは葛西氏の分析だったと思うけど、いわゆる気力や根性でパワーアップするスパロボって意外に少ないらしく。 #sousaku
2013-01-19 22:20:52また、別口で故・大迫純一氏に尋ねてみたところ、「スーパーロボットの元祖はマジンガーだと思うが、俺はマジンガーは不器用なロボットでそれが良かった」と。「マジンガーは空を飛べない。だから空飛ぶ機械獣が出た時まともに戦えなかった」「そしてだからこそ、その教訓をいかし」 #sousaku
2013-01-19 22:22:39@ichiro_sakaki 気力や根性という条件だと、「オーラバトラー」がスーパー系になっちゃうんですよ(笑)
2013-01-19 22:24:02「次にジェットスクランダーを造ったんだ。つまりな、根性とか勢いで勝ってたんじゃねえの。あれはちゃんと論理、もっといえば知恵と努力で勝ってた。出来ないものは出来ない。だから工夫するリアルだろ?」と。これはかなり眼から鱗だった。 #sousaku
2013-01-19 22:24:13でまあ、大迫純一氏といえば、変身ヒーローな訳ですが。そこでふと気付いたわけですよ。「マジンガーz」がスーパーロボットの元祖だとして、では、それ以前の系譜には何か繋がってないのか?と。 #sousaku
2013-01-19 22:26:46要するに、マジンガーZって、「変身」の代わりに「パイルダーオン」するウルトラマンじゃねえの? と。まあもっと近いのはジャンボーグAですが、それはさておきw #sousaku
2013-01-19 22:27:46@ichiro_sakaki 兜甲児と研究所の面々は考えて戦ってますよ。マジンガーが出撃できなくて、研究所の装備だけで戦った回もあります。
2013-01-19 22:28:27翻って、スタジオの発注、だめ出しの部分を見てみると、「主人公のヒーローらしからぬ行動が全てNG」である事に気付いて。「ひょっとして」と思って、私は「ロボット」の部分を棄てて企画立てました。 #sousaku
2013-01-19 22:29:09@ichiro_sakaki たしか永井先生もインタビューで「変身物の一種として考えた」旨の発言をしていらっしゃいます。
2013-01-19 22:29:40@macchiMC72 そうみたいですね。私も見てた筈なんですが、どうも、印象に残ってない……
2013-01-19 22:29:46具体的には、当時大流行だった「学園異能」つーか能力ものをそのまま代入。具体的には「JOJOのスタンドバトル、ただしスタンドは巨大で誰にでも見える」という形に。 #sousaku
2013-01-19 22:30:55その上で、「主人公は暴走を防ぐ為に、能力の上に『器』を被せている」=装甲、見た目はロボ、と。まあこの辺はうちのストジャっぽいですが。 #sousaku
2013-01-19 22:32:24その上で、ヒーローものを少しひねって、「幼い頃のトラウマでヒーローものが大嫌いな主人公が、自分はヒーローだと認めるまでの話」という風にテーマを決め、それでプロット立てて、提出したら、通りました。 #sousaku
2013-01-19 22:33:32ここで一番勉強になったのは、つまり、発注元も「スーパーロボット」という言葉で発注をかけておきながら、彼等の一番求めるものは、「ロボット」ではなかったという事です。恐らくは共通認識だと思いつつも微妙にずれていて、曖昧なもので会話していたから生じた誤解で #sousaku
2013-01-19 22:35:58当然ですが、イメージ最優先で、言語の意味を突き詰める必要が基本的に無いアニメスタジオの人達が錯覚してもそりゃ当然、というか錯覚しない方がおかしいんですが、対してラノベ作家とかはそうもいかず。その辺で齟齬が生じていたのですな。 #sousaku
2013-01-19 22:37:09互いにレッテル貼って分かった気になってたけど、求めているものが中身半分以上ずれてた、という実例です。まあ、結局この企画、予算が確保出来ずにぽしゃり、ラノベ単体としては中々ロボものは企画が通らない現状があるので、13話分ブロット造ったままお蔵入りな訳ですが。 #sousaku
2013-01-19 22:38:55主人公のトラウマと、彼がヒーローとして自覚する部分のエピソードはすごくお気に入りなので、どっかで再利用もしたいんですけどね。 #sousaku
2013-01-19 22:40:26ともあれ、レッテルを貼るとこんな風に誤解が生じるし、私の様に、困った時に「どうよ?」と同業者に聞いて回れる機会があるとも限らないので(特に作家志望者の人は)、言葉の意味、定義については、「それってなんぞ?」と振り返る癖はつけといた方が便利よーという話。 #sousaku
2013-01-19 22:43:01