内藤正典・同志社大学大学院教授によるアルジェリア人質事件の背景解説

単に政府とそれに抗う過激派だけの構図では理解できない事件の背景、なぜテロリストが生まれるか、などについて解説
内藤正典 アルジェリア テロ
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masanorinaito @masanorinaito
日本では、90年代の常軌を逸したアルジェリアでの内戦について正確に知っている人はほとんどいないから、マスコミがアルジェリアについて論評するのを聞いていると、ひどく紋切型で「知らないんだろうな」という印象を受ける。
masanorinaito @masanorinaito
アルジェリアは「イスラム過激派のテロと戦ってきましたから武装勢力を許さない」という解説を耳にするが、そういう表現をすると、アルジェリアが親米だったかのように聞こえることだろう。とんでもなくずれているが。
masanorinaito @masanorinaito
中東・イスラーム世界の出来事を断片的にみていると、こういう出鱈目な解説を流しやすい
masanorinaito @masanorinaito
各国首脳の発言をみると、安倍首相のが最も平和的に見えるのは皮肉なことだ。しかし、日本はなぜ救援機を飛ばさない?解放された人たちや負傷された人たちを迎えるために
masanorinaito @masanorinaito
これまで何度も中東で日本人が取り残される事件が起きたが、その度に日本政府は救援機を飛ばさなかった。80年代のイラン・イラク戦争の時には、テヘランで取り残された邦人救出に日本の民間機は飛ばずトルコ航空が救出した。国民国家なら邦人救出は国家の責務。
masanorinaito @masanorinaito
一連の事件、仏軍マリ侵攻からアルジェリア人質事件に関する米国、英国、仏国などの報道をみていると、次第にアルカイダがアフリカに猛威を振るいつつあるから、力で掃討するのは正当だという方向に収斂しつつある。
masanorinaito @masanorinaito
だが、これはアフガニスタンにアメリカとその同盟国が侵攻したときに怒涛のような勢いで流布された反イスラム宣伝とよく似ている。当時も、アルカイダがテロを起こしタリバンは彼らをかくまっているから同様にテロリストであるという理屈でアフガニスタンは攻撃された。
masanorinaito @masanorinaito
アルジェリアの犯行グループをテロリストとするのは妥当としても、マリのイスラム勢力ごと叩き潰すことの正当性がどこにあるのか?フランスは、マリへの軍事介入を正当化するために、介入後に起きた人質事件を引き合いに出している。我々の介入は正当化されたとオランド大統領
masanorinaito @masanorinaito
アフガニスタンのときもそうだったが、マリについてもイスラム勢力の支配がいかに残虐かという記事がフランスのメディアのみならず日本のメディアにも並んでいる。窃盗容疑で手首を切断されたマリ人、朝日朝刊。事実なら報道するのはいい。
masanorinaito @masanorinaito
だが、住民の支持がないとイスラム勢力の統治が広まるはずはない。人々がなぜイスラム勢力を支持したのかー欧米や日本のメディアは報じない。イスラムを名乗る勢力を殲滅することは西欧的価値の優位を維持するために許されるというなら、世界は再び9.11の悲劇を繰り返すことになる
masanorinaito @masanorinaito
犠牲者の少ないことを祈るのみ。日本人であろうと、なかろうと
masanorinaito @masanorinaito
2011年に始まった中東での民主化運動、チュニジアやエジプト、リビアで激しかったが、アルジェリアには波及しなかった。2012年にはアルジェリアで総選挙があったが、1960年代からずっと与党の座にあるFLN(国家救済戦線)が勝利。
masanorinaito @masanorinaito
その時も、どうしてアルジェリアでは「アラブの春」が起きないのかと、ずいぶん議論になった。結論的に言えば、1.90年代の内戦があまりに凄惨な殺し合いであり、その鮮烈な記憶が残る人びとは体制変革が再び殺戮をもたらすと危惧した、2.石油とガスの収入を公務員や中流層に還元した
masanorinaito @masanorinaito
いわば一方で「飴」を与え、他方で、「恐怖の記憶」を操ることで、ブーテフリカの政権は、隣国での市民運動のうねりを抑え込むことに成功した。この無言の弾圧は、当初、シリアのアサド政権も同じことを考えていたはずである。
masanorinaito @masanorinaito
しかし、シリアの市民は、南部のダラアという町で起きた治安機関による子どもの殺害に憤りの声をあげ、それが燎原の火のごとく広がって、今日の惨状に至った。
masanorinaito @masanorinaito
アルジェリア政府にしてみれば、今回のオペレーションを国際世論が称賛してくれると期待していることだろう。90年代の泥沼の内戦を制したこと自体、政権にとっては、「イスラム過激派テロ組織」の芽を早くも90年代初頭に摘み取った功績だった。
masanorinaito @masanorinaito
9/11が起きた2001年より前にアルジェリアはすべて知っていたのだと。イスラム主義者の台頭はテロをよぶと。しかし、論理的にも、事実の点からも、これは誤りである。冷戦の崩壊で、ソ連のタガが外れたアルジェリアでも、複数政党制への移行を可能にする選挙をした。
masanorinaito @masanorinaito
90年代のはじめ、地方選挙に続いて総選挙を実施したら、イスラム主義者のFIS(イスラム救済戦線)が勝利した。それをFLN(国家救済戦線)が軍の力を頼りに潰した。フランスは暗黙のゴーサインを与えた。国際社会は、この理不尽な弾圧を非難しなかった。
masanorinaito @masanorinaito
その結果が、悲惨な内戦となったのである。イスラム主義者の側も、政治闘争では軍に勝てないから、地下に潜伏して激しい武装闘争を展開した。市民を標的にする殺し合いが、軍部、過激化したイスラム武装勢力の双方によって続いた。FLNの政権は、治安に絶対的な力をもつ軍にあやつられてきた。
masanorinaito @masanorinaito
その結果としてのアルジェリア政府と、その軍が、今回の人質事件の当事者なのである。武装勢力に対して、どう対処するか、それは事件が起きたときから明白だった。この種の事件について、私には、フランス政府が知らなかったとは思えない。
masanorinaito @masanorinaito
英国のキャメロン首相が「事前に情報がなかった」と不快感を示したことも、もちろん額面通りに受け取れない(英と仏はともに中東・アフリカを分割してきた植民地統治の主役である)が、英国が知らなくても、フランスは知っていなければいけないのである。
masanorinaito @masanorinaito
それでこそ、植民地支配を恬として恥じない大国の面目躍如である。
masanorinaito @masanorinaito
かつて、こういう明確な政治的意図をもって政権を攻撃する勢力は、「反政府ゲリラ」とよばれてきた。いまや、だれもゲリラと呼ばず、「テロリスト」と呼ぶ。違和感がある。ある人物や集団が「テロリスト」と規定されたら最後、誰も、それに逆らうことはできないかのように殲滅される。
masanorinaito @masanorinaito
テロリストを殲滅するのは一向にかまわないが、問題は、彼らが本当にテロリストなのかどうか、である。むろん、ガス田で人質となった人たちにとって、彼らがテロリストであったことに疑いの余地はない。
masanorinaito @masanorinaito
しかし、そのことと、テロリストを育てたのがアルジェリア政権と軍部の残虐な対応だったこととは無関係ではない。90年代以来、政権と軍が、イスラムを掲げて世直しを計ったFISを、市民の支持によって選ばれたFIS(イスラム救済戦線)を、残酷に力で壊滅させなければ、
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コメント

polaris @Polaris_sky 2013年1月20日
自衛隊法には、外務大臣からの依頼があった場合、在外邦人等の輸送に自衛隊の航空機や船舶等を用いることができると定められている。しかし、「輸送の安全が確保されていると認められるときは」という前提条件がついているそうです。リビアの時にも話題になってました http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1252
polaris @Polaris_sky 2013年1月20日
今回のアルジェリアの件でも「輸送の安全が確保されている」という根拠がなければ専用機を飛ばすのは無理でしょうね。何を持って輸送の安全が確保されているか疑問ですが。
FeynmanLeighton @Feynman_L 2013年1月20日
アルジェリアの国内事情や特殊事情はともかくとして、海外にいる邦人を、どう守り、どう救い、どう輸送するのかというテーマは避けて通れない現実のテーマだということです。そのためには現在の憲法も法律も装備も人員も全く不備。前進させていかなければならない
七七四未満六四以上 @zy773 2013年1月20日
『イスラムの怒り』の先生か、このまとめにはイマイチ首肯しかねるな~。地元住人の方々にとっては【現地政権の正義公正<イスラムの正義公正】なんかなぁ?◆話がブレるが イスラムの教義と現代社会、思想が決定的に対立矛盾する場合ムスリムの人達はどうするんだろう?
wisbk @wisbk2010 2013年1月20日
内藤さんは、「テロリストを殲滅するのは一向にかまわない」のか。
輪熊 @wagumanion 2013年1月20日
頭のいい人なんだろうな、文章が凄く読みやすい。内容も面白いし(というと御幣が生まれるかもしれないけど)自分でもっと知りたいと思わせる。
欠点’s @weakpoints 2013年1月20日
フランス政府とアルジェリア政府が旧来の植民地政策に基づいて今度も行動した。そしてイスラムは今度も、かつてより洗練された方法で完全な悪役にされた。ということかな。
seijimatome @seijimatome 2013年1月20日
Polaris_sky で指摘されているように日本では法が未整備なのだが。中東には詳しくても、自国の状況にうといのは問題だ。日本政府への糾弾が的を外れるので、中東の解説だけに止めておいたほうがいいのではないか。塩野七生さんのようにズレている。
seijimatome @seijimatome 2013年1月20日
欧米では神が居場所を失っている、というならば、アメリカの大統領が聖書に手を置いて宣誓するのはなくなっているはずではないだろうか。イギリスの王位継承法にも「英国国教会の信徒でなければならない」という文はなくなっているはずではないだろうか。
knob🇯🇵一聞は0.01見にしかず @knobonzo 2013年1月20日
具体的なアクションを起こすための法整備が出来ていないところで、あれやれ、これやれ、と言ってるのでかなりズレてるまとめだと思った。
k0418 @0418kkk 2013年1月20日
救援機についてのツイートや大学の宣伝はわずかであり、それ以外の主要な主張に影響するものでもないと思う。それが議論のタネになるくらいなら、まとめから外したほうが良かったかもしれないのでは。
neologcutter @neologcuter 2013年1月20日
勝手に判断してまたアルジェリアで死傷者出たらどうするの?平和にみえるんならそれでいいだろ?
紙魚 @silver_fishes 2013年1月20日
彼らがただのテロリストではなく反政府ゲリラだとしたら「そいつらが巻き込まれたら反政府に留まらずテロになってしまう」という相手を巻き込んだのはまずかったよねえ。911だってWTC抜きで国家施設だけならみんなあそこまで騒いでない。
e8o @e8o 2013年1月20日
とてもいいことを言っているのだが、ツイッターという形式であることが玉に瑕。読みにくいんですよね。きちんとブログかホームページにまとめてほしいところ。
Takashi Suzuki @agkfreak 2013年1月21日
内藤氏の著作を読んでも同じ感想を持つのだが、「なるほどいいことを言っている、しかしやはりそういうことであればイスラームとは距離を置きたくなる」というところ。十分な世俗化が為されない宗教は現代社会と相容れない。
マルンボーリ @tandaji 2013年1月21日
武装イスラム集団(GIA)の過去の蛮行を知ると、アルジェリアの対応に対して何も言えなくなってしまう。過激派の中でも一際残虐な組織だから、ああいう対応せざるを得なくなるんだろうと思うのよね。
マルンボーリ @tandaji 2013年1月21日
zy773 少なくともこの事件を起こした首謀者、モフタル・ベルモフタルを現地住民が支持してるってのは聞いたことがないですね。
七七四未満六四以上 @zy773 2013年1月21日
tandaji そりゃそうでしょうね。 軽く調べてみたんですがアルジェリアの場合歴史的には共産主義勢力が政権を取ってたんですねー。って事は現地の方々からすれば、共産主義、イスラム原理主義、軍政(既得権益集団) の3択からしか取れないって事になりますね……、内藤先生の言葉の重みが増します。自分の不勉強を恥じます。
沙織(父) @saorititi 2013年1月21日
何も知らない立場から見て、一方に偏った内容(考え)としか読めない。
瑞樹 @mizuki_windlow 2013年1月21日
イスラムの人々が過去に何をされていようが、今現在、どんな差別を受けていようが、「女だって勉強したい!」叫ぶ小娘相手にアサルトライフルをぶっ放す集団とそのシンパの話をまともに聞こうとは思えないし、それに対してどんな強攻策に政府が訴えても「仕方が無い」としか思えない。
kawonasi @kawonasi4989 2013年1月21日
世界最大のイスラム国家であるインドネシアは政教分離がちゃんとされてるし、テロ国家でもない(テロが皆無というわけではない)イスラムが完全なる悪とは言い難いのでは?
kawonasi @kawonasi4989 2013年1月21日
救援機を派遣できる法整備は実現すべきと考えます。この件では現在の安倍政権には期待できると思います。
Megatherium(メガテリウム) @Dairanju 2013年1月22日
武装勢力の資金、どこが出してるのだろう。湾岸諸国等、富裕な他国からの資金に頼ってるのなら、それらの国による形を変えた侵略であって、欧米による侵略と同様に見るべきなのではないか。
k0418 @0418kkk 2013年1月22日
その後も連続ツイートしまくってますね
erikaribox @erikaribox 2013年1月22日
@masanorinaito 東京に住んでいて理系の修士を持つものです。こちらのプログラムに非常に興味があります。聴講するにはどうすればいいでしょうか?
Hikattenai @genjinotshining 2013年1月22日
日本が救援機を飛ばせないのは,そんな危ないところへ民間人を送り込めないから。送り込むなら公務員と言うことになる。公務員で飛行機を飛ばせて救援できる組織というと自衛隊となる。しかし,自衛隊は海外に派遣できない。海外派遣できるのはPKOの場合か,特別措置法で認められた地域だけだ。救援活動はPKOではないため,派遣できない。
Hikattenai @genjinotshining 2013年1月22日
そのため法整備をしないと救援には行けない。今回,自衛隊法を改正するのではないだろうか。
おたくリスチャン14歳女子 @otakurisutyan 2013年1月22日
同志社は良い先生がいらっしゃるんだなー(しみじみ) 素晴らしいですね。そしてコメント二あるように自衛隊法の改正が待たれますね。
オタンコナス(新潟人民党) @Otankonasuae 2013年1月22日
今回の事件が何故起こったのか分かり易い説明でありがたい。これを読んだ上で、事件について考えた方が良さそうだ。内藤教授の意見が正しいかどうかは別としてだ。
長峯明子 @xshochanx 2013年1月22日
欧米諸国によって植民地化された国は指導者が育っていない。その後の共産主義国家も傀儡政権で真の指導者を育てていない。民衆は教育の機会を与えられず無教養。そういう環境で国を維持していくことの難しさが内戦を招きテロリストを生む構図。西欧諸国の罪は重い。今更ながら。
腐ォトショッピー @IWD1_PhotoshoP 2013年1月23日
「である」「しかし」「だが」「なのである」…ものごっつい書き言葉文体。だらだらと長く述語までの修飾語が多くて、内容が頭に入ってきませんな…。要点がさっぱりわからん。
tracer @tracer13 2013年1月24日
「ふむふむ」と「え?」が交互に襲ってくる纏めログ
maryuw@糖質制限/喪中 無断転載お断り(゚∀゚) @maryuw 2013年1月24日
読んでなるほどとは思うところも多々あるけど人に薦める気にはならないまとめ
尿漏れ @Nyo_moley 2013年1月25日
おーかちこいかちこいねー じゃぁ今度は三行でまとめてみようかぁw
名無し岩手県民(鯨美味い) @iwatekenmin01 2013年1月26日
フランスのマリ攻撃を侵略だと非難していますけど、周辺諸国はフランスの攻撃を歓迎していたりするんですが。
星五89体の地方妖怪 PGERA @PGERA_RX 2013年1月26日
イスラム過激派シンパ丸出しな陰謀論で突っ込みどころしかねぇぞ。つうかな、世俗化してねぇ過激な宗教なんてお断りじゃ。
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