宮武外骨の「時事諷刺」(衆議院議員選挙法の「私改正」)という滑稽記事について
[宮武外骨/私改正](1)1908(明治41)年に宮武外骨が「時事諷刺」と自称して記した衆議院議員選挙法の「私改正」なる滑稽記事。しかし、諷刺や滑稽どころか、現実の政治家を見ると時代がこの通りになってきたのではないかと思えてならない。以下、これを紹介する。あくまで滑稽な漫文である
2013-01-19 20:30:20[宮武外骨/私改正](3)第1条 衆議院議員は各選挙区において賄賂の最も多き者を選挙すべし。 議員候補者において採るべき運動の方法は機敏と厚顔なるを要す。
2013-01-19 20:36:14[宮武外骨/私改正](4)第2条 左の要件を具備する者は選挙権を有す。 一、帝国臣民たる男子にして、1円以上10円内外の贈賄を希望する者。 二、宴会に招待を請け無銭飲食希望の者。
2013-01-19 20:39:20[宮武外骨/私改正](7)第4条 左の要件を具備する者は被選挙権を有す。 一、変節者および盲従者。 二、祖先伝来の不動産を失うも顧みざる者。 三、実業家の仮面を被る虚業横着者。 四、政見なく学識なき者。
2013-01-19 20:46:35[宮武外骨/私改正](8)五、当選前に低頭平身し当選後には打って変って傲慢不遜を極むる者。 六、高利貸に面識ある者。 七、議場において人を殴打する腕力ある者。
2013-01-19 20:49:26[宮武外骨/私改正](10)第6条 議員候補者は金銭の贈賄または宴会政略等のほか鶏肉折詰または純金の名刺等を選挙人に贈与することを得。 (注:鶏肉折詰や純金名刺は実際に買収に使われたもの)
2013-01-19 20:54:19[宮武外骨/私改正](11)第7条 選挙運動費は政府党本部の手を経て国庫の支出を受くべし。ただし政府党員にあらざる者はこの限りにあらず。
2013-01-19 20:56:26[宮武外骨/私改正](12)第8条 何人(なんぴと)といえども自己の投票したる被選挙人の氏名を陳述するの義務なきにより承諾の旨をもって数多(あまた)の候補者より各賄賂を貪るも妨げなし。
2013-01-19 20:59:08[宮武外骨/私改正](14)第10条 議員候補者および選挙運動者にしてピストル短刀等、人を殺傷するに足るべき物件を携帯せんとする者は、深くこれを懐中に蔵し機に臨んで任意にこれを使用することを得。 (注:戦前は暗殺や襲撃が頻発したため)
2013-01-19 21:07:11[宮武外骨/私改正](18)第14条 地方長官は選挙長となり内務省の内訓または元老の依頼に基づき反対派候補者の選挙の選挙干渉に関する事務を統轄す。
2013-01-20 06:15:03[宮武外骨/私改正](19)第15条 政府党にあらざる者の氏名を記載したる投票はこれを無効とす。ただし第11条の場合はこの限りにあらず。
2013-01-20 06:17:12[宮武外骨/私改正](21)第17条 反対者の投票非常に多数にして前条の方法によるもなお勝利の見込みなき時は、選挙場においてことさらに騒擾を起こしその間に乗じて投票をスリ代うることを得。
2013-01-20 06:36:13[宮武外骨/私改正](22)選挙場に参会した議員候補者にして形勢いよいよ非なりと認める時は、中途より狐鼠狐鼠(こそこそ)退席すも妨げなし。
2013-01-20 06:38:53