映画監督細野辰興氏による『高倉健の誕生』

映画監督でもあり日本映画大学准教授の細野辰興(@yojimbo11)さんによる「東映を去った後の新生『高倉健の誕生』」に関してのツイートをまとめました。1月19日の『映画ヒーロー論』を受講された方のご意見、コメントをお待ちしてます。
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細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

19日土曜、日本映画大学の『映画ヒーロー論』と云う授業で『高倉健の誕生』を講義。何故、東映大泉撮影所の健さんが邦画界のVIPになったのか? 【伝説・高倉健が何故ヤバいのかを「あなたへ」まとめエピソード】 - NAVER まとめ http://t.co/XSeIbJuk

2013-01-15 13:06:12
リンク NAVER まとめ 【伝説】高倉健が何故ヤバいのかを「あなたへ」まとめ【エピソード】 - NAVER まとめ 高倉健主演映画「あなたへ」2012年8月25日公開。
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

日本映画大学で行う『映画ヒーロー論』【高倉健の誕生】の荒構成に取り掛かる。マキノ映画の匂い充満の東映時代から始まりメディアmixを経てTV 局主体の現代までトップスターとして主演映画を撮れてきた理由に迫る。待てよ、何となく『スタニスラフスキー探偵団』の台本作りみたいだな(苦笑)。

2013-01-15 17:33:51
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

今日の夜から明後日の朝に掛け、他の仕事をしながら高倉健主演の映画を最小でも五本は見直さなければならない。なければならない、なんて偉そうに言っているが勿論、嬉しいに決まっているが(笑)。

2013-01-17 12:10:34
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

『網走番外地』『燃える戦場』『ザ・ヤクザ』を観直す。『網走』脚本・監督 石井輝男。男性娯楽映画の壺と見せ場を心得た巧さに唸る。矢張、茶目っ気ある健さん良い。『燃える』は流石、アルドリッチ!敵役健さんの使い方が良いね♪それにしても健さん『ザ・ヤクザ』にしろ英語が巧いのに驚く

2013-01-18 10:47:24
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

日本映画大学名物授業『映画ヒーロー論 高倉健の誕生』終了。先ず驚いたのが50人以上の6割が高倉健の映画を一本も観たこがない、ことが判明したこと。観たことがある20人の学生でも3人しか健さんの東映時代のヤクザ映画を観ていないことが判る。その上更に怖ろしいことに…。(続く)

2013-01-19 20:51:35
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

高倉健は知っていたが、ヤクザ映画で人気を得た俳優だとは知らなかった」と云う学生が居た!? と云う事実に思わず転け、笑ってしまう。しかし、彼らが生まれた以降に製作されたの『四十七人の刺客』『鉄道員』『ホタル』『単騎、千里を走る』そして『あなたへ』なのだ。無理はないのか…。(続く)

2013-01-19 21:10:30
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

これも傑作!! 日本映画大学『映画ヒーロー論 高倉健の誕生』受講者アンケート。「ヤクザ映画と言えば『仁義なき戦い』シリーズの様なものだと思っていたがそれが実録モノと云う範疇の作品だと判った。『冬の華』の様な『仁義』のあるヤクザ映画もあったのか!?」(続く)

2013-01-19 22:01:22
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

映画観客動員数は、昭和33年の11億3千万人から滝の様に真っ逆さまに落ち始め、昭和39年には4億人前後迄に落ちたが、後に伝説となるシリーズとヒーローの多くはこの六年間に輩出した。三十郎、座頭市、無責任男、若大将、武蔵五部作、花田秀次郎。(寅さん登場は更に6年掛かるが。)(続く)

2013-01-19 22:58:46
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

昭和40年から6年ほど観客動員数下降の角度が少し緩やかになるが、これは東映ヤクザ映画のお陰。特に『網走番外地』『日本侠客伝』『昭和残侠伝』と3つのシリーズを持つ高倉健の人気は抜群で学生運動華やかりし昭和43、4年には全盛期を迎えることになる。(寅さん登場はこの頃となる。)(続く)

2013-01-19 23:54:08
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

しかし、70年で学生運動が下火になるのに呼応し従来のヤクザ映画にも勢いがなくなり73年の『仁義なき戦い』の出現が任侠映画に引導を渡すことになる。健さんも『新幹線大爆破』『神戸国際ギャング』を最後に76年東映を去る。勿論、若大将、無責任、座頭市等の他シリーズも終焉していた。(続く)

2013-01-20 00:08:52
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

勝新太郎、植木等、加山雄三達、健さんと同時期に一世を風靡したスターの主演映画が作られなくなる中、一人、高倉健だけは主演映画を撮り続け、現在に至る。それは何故なのか? 今回の映画ヒーロー論【高倉健の誕生】はそこに私の仮説で迫ってみた。貴方ならどの様な仮説を立ててみますか? (終)

2013-01-20 00:22:17
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

健さんと同時代にヒットシリーズを持っていた大スター達は映画会社を離れると皆一様に連続性ある主演映画と縁が切れる。健さんもそうなって不思議ではなかったが東映の健さんからMr.日本映画へと昇華して行く。その試金石的作品が3年振りに東映に戻って撮った『冬の華』だと仮定してみた。(続く)

2013-01-20 10:31:21
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

昭和51(1976)年に健さんが東映を出てから『冬の華』迄に出演した作品は『君よ憤怒の河を渡れ』(監督・佐藤純弥)『幸せの黄色いハンカチ』(監督・山田洋次)『八甲田山』(監督・森谷司郎) 。東映時代の「ヤクザ映画」と色眼鏡で見られていた作品とは真逆の「一般映画」ばかりだ。(続く)

2013-01-20 11:31:56
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

これら国民映画ッポイ作品に一般ファンは兎も角「健さんファン」は満足していなかった。欲求不満だった。健さんらしい映画が観たい!! つまり「ヤクザ映画」を観たかったのだ。そう思っていたかどうかは知らないが脚本家倉本聡氏が健さんに宛てて丸でラブレターの様な脚本を書いた。(続く)

2013-01-20 11:43:47
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

『冬の華』は、現在の処、健さんが出演した最後の「ヤクザ映画」だ。しかし、東映で作られたこのヤクザ映画は、実録ものではない作品としては4年ぶりのものであり連続性の中で作られていたモノとは何かが違っていた。倉本聡が東映とは関係ない脚本家と云うことが先ずそれを象徴していた。(続く)

2013-01-20 17:16:48
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

つまり東映の健さん映画の歴史から見ると「バッタもん」なのだ。が、それだけに観客がイメージした「健さん映画の魅力の本質」が良く解る作品となった。『冬の華』と云う題名、横浜、足長小父さん、チャイコフスキー、シャガール等をまぶした倉本マジックの陰に確り見える健さんの魅力の本質。(続く)

2013-01-20 17:47:30
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

仏映画風な味付けの『冬の華』に於ける健さんの魅力の本質の歪な見え方こそが、健さんを「東映の健さん」からMr.日本映画にまで押し上げた決定的な要因なのではないか。詰まり今まで東映の健さん映画を観なかった人が『冬の華』で初めて任侠の健さんを観て彼の魅力をしった筈なのだ。(続く)

2013-01-20 18:01:50
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

大袈裟に云えば『冬の華』はマネーロンダリング的な役割をした映画なのではなかろうか。浄化されたのは一般観客のイメージの中にあった【ヤクザ映画】。「そうか東映の健さんのヤクザ映画ってこういう作品のことなんだ。」観客は、高倉健ファンになっても良い、と云うお墨付きを貰った。(続く)

2013-01-20 18:49:59
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

しかし、東映本流の健さん的任侠映画の「バッタもん」だった『冬の華』が、初めて健さんのヤクザ映画を観たかも知れない人達までをも魅了したのは、時代劇時代から繰返し作られていた長谷川伸の股旅世界の「済まない」と云う情念を行動規範とする健さん演じる加納秀次だったことに注目したい。(続く)

2013-01-21 00:24:28
スズ菌 @boketa

@yojimbo11 細野監督、お久しぶりです。昨年末に飲み会でご一緒させていただいた西北大学の鈴木です。『冬の華』も当然重要だと思いますが、個人的には角川映画の『野性の証明』、そして東宝で製作された降旗倉本コンビの『駅-STATION-』もかなり重要な作品だと思います。

2013-01-21 01:24:10
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

@boketa 久し振り。今、連続して書いている文章は一昨日日本映画大学での私の授業の総括。テーマは【映画ヒーロー論 高倉健の誕生】東映の高倉健が何故、邦画界のVIPになったのか? そのキー・フィルムが『冬の華』だという仮説を立証しようとしたもの。未だ途中なので宜しくです(笑)。

2013-01-21 01:42:32
スズ菌 @boketa

@yojimbo11 なるほど、了解しました(笑 続きのツイート楽しみにしています。

2013-01-21 01:45:19
細野辰興Tatsuoki HOSONO @yojimbo11

高倉健の歴史を観れば任侠、ヤクザ映画において魅力が爆発しスターになったことに異論はないだろう。しかし、その時点では年間観客動員は4億人前後で、東映や映画ファンの中のトップスターではあっても国民的なVIP スターではなかった。一般人は健さんの魅力を未だ知らなかったのだ。(続く)

2013-01-21 11:33:43